273系新「やくも」運用はどうなる?

2024年4月26日JR各社/三セク国鉄

JR西日本の273系新型車両が先日公開された(鉄道コム)。新型「やくも」車両として2024年ダイヤ改正から導入される。振り子制御はそのままにグリーン車と普通個室(セミコンパートメント)の合造など新機軸も多めである。
ただこの新型車両、4両11編成計44両の導入となる(JR西リリース)。2023年度頭の保有車両一覧を見れば置き換え対象の381系電車は62両である(JR西)。この辺りの差をみつつ運用の動態を見ていきたい。なお、現在「やくも」15往復中3往復は週末・多客期運転扱いの定期臨時列車になっているが、これらが毎日運転される前提で話を進める。

現在の「やくも」は基本4両編成、増結して6・7・9両編成となる(9両編成は滅多にないとのことである)。その運用は8運用である。2サイトの調査を参照し以下記載する(えふたつtc205-37のブログ)。

301:出雲市4:42→岡山7:41/8:05→出雲市11:05/11:34→岡山14:39/15:05→出雲市18:20
311:出雲市5:27→岡山8:34/9:05→出雲市12:08/13:31→岡山16:39/17:05→出雲市20:13
321:出雲市7:21→岡山10:35/11:05→出雲市14:11/15:29→岡山18:39/19:05→出雲市22:11
331:出雲市8:31→岡山11:39/12:05→出雲市15:12/17:19→岡山20:25/21:20→出雲市24:21
332:出雲市10:30→岡山13:38/14:05→出雲市17:18/18:25→岡山21:36
333:岡山7:05→出雲市10:11/12:34→岡山15:39/16:05→出雲市19:21
341:出雲市6:24→岡山9:39/10:05→出雲市13:11/14:33→岡山17:39/18:05→出雲市21:18
351:出雲市9:34→岡山12:39/13:05→出雲市16:08/16:30→岡山19:39/20:05→出雲市23:09
※301,311運用はパノラマ編成、311運用はスーパーやくも編成、321運用は国鉄色編成
出庫・入庫・引き上げ等は簡便のため省略
1.5往復が2運用、2往復が6運用である。出雲市駅での折り返しをうまく工夫できれば1運用減らせなくもないだろうなあというくらいではある(2.5往復が2運用、2往復が5運用など?)ものの、無理して運用数を減らす意義は無かろうと思われる(出雲市駅で一旦引き上げている運用は下線を付している)。
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▲7両編成(4+3)で運転されるやくも号(米子駅)

これを踏まえて273系電車を見る。同形式は組み換えを予定されているわけではないだろうから、4両編成か、あるいは2編成をつなげて8両編成になるのだろうと思われる。ただ11編成あって8運用であれば2編成を使えるのは計算上3運用・最大6往復となる。繁忙期の需要過多がこれで持つのかは疑問である(朝夕の混む時間帯の運用だけ増結するなどの柔軟な対応が可能であれば別論)。
なお、上記の議論はあくまで4両編成が固定であるという前提だが、Twitter上での情報によると6両の組成も可能のようである(もっともこればかりは実際にみてみないとわからない)。

また、混雑の平準化を企図して4両編成で運転士増結はせず、専ら増便で対応する可能性も理論的にはあり得る。ただ、伯備線は備中高梁以北は単線であり、貨物も通ることからして1時間間隔を詰めるにあたっても前後30分にすることは至難の業であろう。
また、ここまでの議論は273系電車が11編成のママであるという前提であったが、当初導入計画より本数が増えることも頭に入れて置きたい。例えば323系電車は当初21編成であったが、その後の輸送計画の変更があり、22編成めが導入されることになった(ただ理由としては桜島線の増強)。しかしこの程度の経営判断がなされるほどの理由は思いつかない。
また、381系電車が残ることであったり、283系オーシャンアローやら(ちょうど差分18両所属)、新幹線開業で余剰の683系改造車といったことを予想する方も居るが、同じダイヤに乗れるかどうかも分からないのでひとまず留保すべきだろう。少なくとも完全置き換え時の繁忙期ダイヤについてはまだ流動的と断定してよいだろう。