あいの風の経営安定基金残余分の活用【まとめ】
並行在来線第三セクターとして最も経営が好調であるというあいの風とやま鉄道について、その経営安定基金の使い道を見てみよう。
最終更新:2025年12月19日
当初計画
まず、第一次の経営計画において、開業後10年間(平成37年度=令和7年)までについて以下のような計画が組まれていた(富山県並行在来線経営計画概要)。
・開業後10年間の投資:22億円(うち12億円は初期投資に準じて、新指令整備、車両1編成の更新について県が対応)
・乗り継ぎ割引:4億円
・運賃値上げの抑制等:39億円
合計65億円
次いで、第二次計画(2021年度~2030年度)については、以下のような計画となっている(第二次経営計画)。その64億円のうち、2025年までは35億円、2030年までは30億円という内訳になっている。
・乗り継ぎ割引、ライナーの運行:6.3億円
・運賃抑制:10.3億円(うち2021,2022年度は4.8億円)
・設備投資:47.4億円
合計64億円
2026年から2030年までについては、以下のような配分になっている(第18回あいの風とやま鉄道利用促進協議会)。
①運賃抑制:5.5億円
②乗継割引:2億円
③ライナー運行:1億円
④設備投資21.5億円
以上、2030年までで言えば、約15年に渡り95億円の経営安定基金となっている。
上記の経営安定基金については、このリンクのような計画となっていた。
残余分の活用
以上の計画にかかわらず、結構好調なのがあいの風とやま鉄道である。その際に実施された残余分の活用事例を見ておこう。各年度の計画、実際に書いているのは運賃抑制等に使われる(た)ものを記載している。
2014、2015年度
2014年度:計画42百万円、実際1百万円(差41百万円)
2015年度:計画501百万円、実際4百万円(差497百万円)
2014、2015年度はそれぞれ利益を計上している。これらの残余分約5億円は、災害対策のために留保されている。
→2026年度以降についてを参照
2017年度
2016年度:計画489百万円、実際220百万円(差269百万円)
2017年度:計画476百万円、実際200百万円(差276百万円)
2016年度、2017年度で経常損失を経験。
2017年度の経営安定基金の繰り入れのうち、残余分が出たために、以下の内容のために活用されている(第11回資料)。
・無人駅への券売機設置 45百万円(2018年度)
・西高岡駅の屋根設置 52百万円(2018年度)
・消雪設備 79百万円(2018年度)
・ラッセル車の整備 100百万円(2020年度) 合計276百万円
521系車両の新製
521系の車両新製はもともと、並行在来線基金に内包していた設備投資である(第12回資料)。2019年度から2022年度まで1編成ずつ4編成を製作するにあたり、5億円4編成、20億円の2/3の16億円が支出されている。
2018年度
2018年度:計画464百万円、実際284百万円(差180百万円)
2018年度の残余分は以下の通りである(第13回資料)。
・券売機のIC対応:80百万円
・ラッセル車の整備:100百万円
2019年度
2019年度:計画454百万円、実際140百万円(差314百万円)
2019年度の残余分は以下の通りである(第15回資料)。
・斜面工事:30百万円(2020年度)
・滑川駅のバリアフリー化:90百万円(2021年度)
工事費270百万円の1/3
・ラッセル車2台目の整備:194百万円(2022年度)
2021年度の緊急支援
2020年度:計画325百万円、実際325百万円(差0百万円)
2020年度は、経常収支の段階で7.54億円の赤字となり、初めて計画の運賃補助を全て使うこととなった。2021年度に追加支援を求めることとなっている(第18回資料)。
・滑川駅のバリアフリー化(追加予算):64百万円
工事費の追加分190百万円の1/3
・運行水準維持のための支援:133百万円
2014、2015年度の残余分から出捐
2021年度・2022年度
2021年度:計画316百万円、実際276百万円(差40百万円)
2022年度:計画309百万円、実際17百万円(差292百万円)
2021年度、2022年度の残余分を用いて、まずは上記で記載したコロナ禍の133百万円の支援を繰り戻すこととなった。更に、2022年度分の残余は利便性向上のために521系中間車を新造するために充てられている(第21回資料)。
2021年度の残余分
・運行水準維持のための支援繰り戻し:40百万円
2022年度の残余分
・運行水準維持のための支援繰り戻し:93百万円
・521系中間車の新造(基本設計):199百万円(2024年度)
2023年度
2023年度:計画302百万円→61百万円??、実際0百万円(差302百万円)
2023年度は8年ぶりに経常損益の段階で黒字、純利益は2億円、累積欠損を全て解消した。
同年度では乗継割引・ライナー支援に相当する61百万円を受け取らず、521系中間車の製造に充てられることとなった。製造両数は3両を予定している(第23回資料)。
・521系中間車の新造(2025年度3両製造):61百万円(2025年度以降)
2024年度~(521系中間車の新造)
2024年度:計画294百万円→59百万円、実際0百万円(差59百万円)
2025年度:計画287百万円→59百万円、実際???
第26回資料によれば、基本設計に199百万円ではなく168百万円に縮減されていた。中間車両の新造経費は873百万円で、そのうち、582百万円は基金からの補助。うち、92百万円は減収補填分(基本設計の縮減分が回されているようである。)
2025年12月の第26回資料によれば、設備投資に対する区分について、「A安全性・防災力の強化、安定輸送のための施設整備」と「B旅客移動に係る利便性向上等の環境改善」に区分しなおすこととなった。それぞれの事業として類型的に適用できるのは、
A 除雪車・作業車等の更新、消雪施設等の整備、変電所や光ケーブル等の電気通信関連施設等の整備、気象監視・電力制御等システム改修、旅客案内・列車運行管理等システム整備
B エレベータ等のバリアフリー設備の整備、キャッシュレス決済対応、新造車両導入、自由通路を活用したホームへの階段整備、IC 機器・券売機等の駅務機器の機能向上
である。
2026年度~2030年度以降に向けた変更
2026年度以降は、第2次計画の後期となるため、種々の見直しが行われている。減収補填分については、以下の通り計画されている(資料)。
・2026年度:66百万円
・2027年度:183百万円
・2028年度:184百万円
・2029年度:241百万円
・2030年度:176百万円
さらに、2014年、2015年度の基金保留分(約5億円)について、災害復旧費用は保険ないし、自己資金で賄えるものであったため、設備投資の財源に回すことになったということである。



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