富山地鉄 支援が足りず減便検討へ【一部廃線検討も】
富山地方鉄道に関する報道が出ている。
富山テレビ:富山地方鉄道に県と沿線7市町村が2億円支援へ 地鉄鉄道線のあり方検討会で運行維持のため決定
北日本新聞:富山地鉄、鉄道線を25年春に減便 支援で赤字補えず、一部廃線検討か
中日新聞 :5億円 25年度に負担を 富山地鉄 沿線自治体に求める
この支援が何を指しているかといえば、2024年2月に設置された「富山地方鉄道株式会社鉄道事業再構築勉強会担当課長会議」から発展し、県、市町村による協議体が9月に組まれたというところが出発点(読売新聞 富山県HP)である。具体的な会議名が出てこない故に、こちらから情報をつまみ出すことができない。2024年11月28日に第1回会合があったようである(日経新聞)。
実際、富山地方鉄道の決算を見れば、2023年度は9億0500億円の赤字である(日経新聞)。更に、2025年4月1日からは運賃改定も実施するとのことである(リンク)。運賃改定の申請書(リンク)を見る限りは年6億円の収支改善が見込まれるように見えたのだが、各記事を見る限り年2億円となっている。
今回、富山地方鉄道が求めた5億円の支援のうち、3億円は赤字補填にしかならないとして見送りとなっている。これを受けて、富山地方鉄道は概ね1時間に1本の運行としている区間のうち
・本線上市ー宇奈月温泉間(※上市以南は毎時2,3本)
・立山線五百石ー立山間(※全線で毎時1本、夕方以降は岩峅寺まで毎時2本)
・不二越・上滝線の月岡ー岩峅寺間(※全線で毎時1本、夕方以降は毎時2本)
を2時間に1本に半減する考えだとしている。
直近の地鉄のダイヤ改正を見る限り増発基調であったが、それとは大幅に異なる話が出ている印象だ。そこで、直近2回の鉄道線ダイヤ改正を振り返ると
【2023年4月15日ダイヤ改正】
●特急運行の再開
〇富山~寺田間パターンダイヤ化
〇西滑川、新宮川に急行停車
〇富山発上市行き最終を25分繰り下げ(23:05発→23:30発)
【2024年4月14日ダイヤ改正】
●不二越・上滝線でパターンダイヤ実施(8時から21時台で、夕方以降は毎時2本)
●特急電車の増発
●終電の繰り下げ(富山発立山線岩峅寺行き20分繰り下げ、不二越・上滝線下り最終10分繰り下げなど)
〇富山発上市行き1本の増結
確かに上記の通りを見る限り、特急を除けば富山ー上市・五百石間を中心とした増発が中心となっている印象を受ける。富山地鉄自体、あいの風線との並行区間もあり、そもそも苦しい状態であるともいえる。しかし北日本新聞のいうよう、「一部廃線」とまで急に話が進むとも思えない。かといって、鉄道事業再構築事業等国の既存スキームを使うとしても覚悟して地域が負担する必要が出てくる。
ディスカッション
コメント一覧
お早いお返事ありがとうございます。
県はあいの風とやま鉄道と氷見線・城端線・高岡市の路面電車万葉線には手厚いですが、地鉄本体へは殆ど関与してもらえない印象です。
今回は運賃も値上げとなりましたが、元々(少なくとも平成8年の改定時から)JR等他社と比較して高額でしたので尚更利用者離れになると懸念しております(地下鉄の運賃比較のページも閲覧させて頂きましたが、地鉄の利用者からしたらどこ都市も安価で羨ましく思います)。
鉄道を普段利用しない大勢の県民だけでなく鉄道ファンからも見捨てられているのではないかと思う程、この件に触れている私設サイトが少ないと感じております。
管理人様は京都の方とのことなので、元京阪の3000系が主力の一つとして走り、かつては大阪から雷鳥が乗り入れていた路線でもあるので、機会があれば是非実際に乗って頂きたいですし、今後もサイトで取り扱って頂けると幸いです。
純然たる民営企業と三セクで扱いが異なるのは致し方ないものと思いますが、これでも他県を見てもよくやっている方だろうと思います。
他サイトでも、ダイヤ改正のリリースが出たタイミングで触れているところがいくつかあったように記憶しています。
地鉄自体は立山線の一部と本線は乗ったことがあります。新黒部駅から宇奈月方面への輸送が奏功している印象はありましたが、それ以外は典型的なローカル私鉄の様相のように感じました(特に寺田から先、電鉄黒部までの利用者数を踏まえるとそのように思います)
20年近く前まで富山地方鉄道で通学していた者です。
今回の地鉄の問題に触れている個人ブログが少なく、取り扱っていただきありがとうございます。
地鉄は平成16年のダイヤ改正からコロナ前まで増発を進めており、富山市の支援もあってか行き先によっては最終の新幹線からも接続できる便も運行されるなど改善されてきた印象でした。
しかしながら、富山県は自動車保有率が全国トップクラス且つ働き口となる工場や事業所が駅から遠く離れた郊外に点在しており、通勤で鉄道を利用する数自体が少ない印象です。(私の前職場は営業所が駅近にも関わらず鉄道通勤はたったの2名)富山市内に関しては市職員の公共交通機関での通勤を推奨していることもあってか、比較的通勤客も見かけますが、市外は高校生と小学生(立山町や黒部市等は公立の小学生が地鉄電車で通学する)が殆どです。ここにコロナと少子化、人口減が追い打ちを掛けたものと思われます。
私が通学していた頃は高齢者の利用も多かったはずですが、今の高齢者(戦後産まれの方々)は車移動に慣れてしまっている世代なので、鉄道を利用していない感じもします。
コメントいただきありがとうございます
地鉄のダイヤ改正の傾向からすると大幅な減便となっているので非常に驚いています。富山県の支援方針ももう少し手厚いのかなと思っていました。
赤字の根本原因はやはりモータリゼーションが根付ききったからのではとも思います