廃線された地方鉄道の時刻表を見てみる。
国土交通省のHPに平成12年(2000年)以降に廃止された鉄道路線一覧のページがあったためこの中からJR線大手私鉄以外の路線を抽出する。
リンクはこちら
平成12年以降に廃止された路線は計45線(札沼線のような部分廃止も1と数えている)。そのうちJR線が10線(うち平成26年/2014年以降に9件)。大手私鉄(16社を指すものとする)の廃線が14線(うち名古屋鉄道が11線)。残り21線区について取り上げる。
21線区中第三セクター線(国鉄転換線)が8線、残り13線が純粋な民鉄路線となる。
なお高千穂鉄道高千穂線が2回に分かれて廃止されたことになっていることに注意が必要である。
今回はこの中で13の地方民鉄の廃止ケースを見ていきたい。廃止時のダイヤがどのようなものであったかを特に注目して記載する。
まずは13線の表から。会社名太字は現在も路線を保有する会社(京福電気鉄道はえちぜん鉄道に継承)
会社名 | 路線名 | 区間 | キロ数 | 廃止日 | |
長野電鉄 | 河東線 | 信州中野 | 木島 | 12.9 | 14.4.1 |
京福電気鉄道 | 永平寺線 | 東古市 | 永平寺 | 6.2 | 14.10.21 |
南部縦貫鉄道 | 野辺地 | 七戸 | 20.9 | 14.8.1 | |
有田鉄道 | 藤並 | 金屋口 | 5.6 | 15.1.1 | |
日立電鉄 | 常北太田 | 鮎川 | 18.1 | 17.4.1 | |
桃花台新交通 | 小牧 | 桃花台東 | 7.4 | 18.10.1 | |
くりはら田園鉄道 | 石越 | 細倉マインパーク前 | 25.7 | 19.4.1 | |
鹿島鉄道 | 石岡 | 鉾田 | 27.2 | 19.4.1 | |
島原鉄道 | 島原外港 | 加津佐 | 35.3 | 20.4.1 | |
北陸鉄道 | 石川線 | 鶴来 | 加賀一の宮 | 2.1 | 21.11.1 |
十和田観光電鉄 | 十和田市 | 三沢 | 14.7 | 24.4.1 | |
長野電鉄 | 屋代線 | 屋代 | 須坂 | 24.4 | 24.4.1 |
阪堺電気軌道 | 上町線 | 住吉 | 住吉公園 | 0.2 | 28.1.31 |
まずこの中で特異な例として除外しておきたいのが阪堺電軌の上町線である。住吉公園電停が廃止されたことによる影響が僅少で、住吉鳥居前電停が近くにあることなどから他の線区とは区別せざるを得ない。また南武縦貫鉄道も実質的な廃止日(休止日)が1997年5月6日である。
この中でインターネット上に時刻表が残っているものを探してみる。とはいえ、2000年であればインターネット黎明期で残っていないものが多いのでそれはお許し願いたい。(そもそも財政難が主な原因で廃線されることを考えればバス事業を営んでいることが多いとはいえこの時期にWebサイトを持っていないことをとやかくいうほうが酷である場合が多いだろう)
調べたところによるとどうやら1日の運行本数が30本程度(25~35本)で廃線のラインに立たされるようである。もちろん以下に調べる通り各社の事情によりその本数のラインはいくらでも引きあがる。ただこの30本程度のラインというのは毎時1本列車を運行できるかのラインでもあるため実際重要なものと考えられるだろう。
なお桃花台交通は既にHPを見ているのでそちらを参照。
長野電鉄
屋代線部分に関しては5~16往復でその運行時間帯もまちまち(朝夕中心)となっている。(なお2011年2月13日改正が最後と思われる。長野線も現在より本数が多い気がする…リンクはこちら)
(2007年9月30日改正リンクはこちら)
また屋代線転換バスにすることによりやや本数が増え、停留所の数が増えたようである。線路維持が大変であったことがこれでよくわかる。(リンクはこちら)
なお屋代線廃止理由として「当該路線は、利用者数が減少し、累積赤字が多額になり、今後も収支改善が見込められないこと。当該路線の鉄道施設の設備更新に多額な投資が必要であり、資金調達の目途が立たず、運行維持が困難であること。」となっている。
(リンクはこちら)
木島線に関して直接時刻表が見つからなかったので付記しておく。また2005年ころまで長野線部分では特急1本普通4本のパターンダイヤが組まれていた。現在はそれより長野線大幅に本数が少なくなっている。参考リンク:
島原鉄道
廃止されたのは35.3kmにわたる路線である。その運行本数は廃止を知らせるPDFファイルによると13往復である。(下画像の南線部分 リンクはこちら)既にワンマン運転を拡大し万策尽きたと言わんばかりである。当時の時刻表のリンクを張っておく。
なお現存路線は現行22往復での運行である。(諫早ー本諫早間は当時より本数が増えている)ただ、南線廃止時同様パターンダイヤが順守されていること(諫早ー本諫早間は当時よりも徹底)、急行列車を減らしていることは注目に値するだろう。
十和田観光電鉄
廃止理由についてHP参照こちら
廃止時のダイヤ(2011年5月21日改正)は平日17往復、土休日12往復であった。(上2枚) リンク
また平成19年(2007年)3月18日改正時点では18往復であった。(下1枚) リンク
更に平成16年(2004年)10月16日改正時点では19往復であった。 リンク
北陸鉄道
北陸鉄道の廃止線区は石川線の鶴来駅より先2駅間の部分となる。
廃止直前の鶴来駅の時刻がこの通りである。昼間32分毎の運転でうち半数が加賀一の宮までの運転であった。リンクはこちら 14往復の運転である。現存区間に対して平日34往復、休日30往復。
なお更に古い時刻(平成13年/2001年3月28日改正)では準急電車の運転もあったようである。このころは毎時1本の運転。当時の鶴来ー加賀一の宮間は15往復。 画像へのリンクはこちら 当時の各駅時刻へはこちら
なお現行の運転本数は昼間毎時1本。平日25往復、休日24往復。
日立電鉄
http://www.hitachi-dentetsu.co.jp/
↑いかにも怪しいサイトになっています(ピーチライナーと一緒??)
廃止届に関するリンクはこちらである。(URLにabrailとあるのがなんとも…) リンクはこちら
全線時刻表は平成16年(2004年)のものがみつかった。
上りはこちら
下りはこちら
常磐線との乗り換え駅となる大甕駅の時刻がこちら。
意外や意外本数は上下25本づつ。(Wikipediaによると2004年以前のダイヤはより本数が多くおよそ1.5倍程度であったようである、平成14年改正時ダイヤについては以下画像の通り)
実際このレベルでの廃線は沿線にとっては痛かったようで、平成25年3月にはBRTの運行が始まっている。現状廃線跡を利用し相当数の本数が運転されているようである。平日昼間は毎時3本、土休日でも毎時2本といったところである。
鹿島鉄道
https://www.kantetsu.
co.jp/katetsu/
関東鉄道のHPに一応のリンクは残っている。なお鹿島臨海鉄道とは無関係なので念のため。
Wikipediaの説明によると石岡ー鉾田間に毎時1本程度、石岡ー常陸小川間に計毎時2本程度あったとある。
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