百万遍近くの私道が自転車撤去の対象に【市営窃盗団】

2024年4月26日未分類

京都大学のもよりの交差点、百万遍。学生向けの飲食店も多くあるのだが、ここは「京都市自転車等放置防止条例」の「撤去強化地域」に指定されている。そこで学生にとっていわば「抜け穴」的に利用されていたのが北西角のセブンイレブン裏のマンションの道路である。私道ではあるものの、駐輪に供されているスペースも兼ねていたため自転車が大量におかれていた。

しかし27日13時ころ、私道である同所も「撤去強化地域」に指定され、自転車が放置されていた場合には撤去されることとなった。報道によれば道幅3.2m、112平方メートルの区域であるという。

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▲27日16時頃の同所。

Googleマップで見てみるとこの赤色の範囲である。青色の部分は有料の駐輪場である。
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▲なお左下が京都大学の構内である。

京都市の自転車撤去、実は大学生からすこぶる評判が悪く、「京都市営自転車窃盗団」の異名もある。
店の前の街路樹のそば(つまりどう考えても通行の阻害をしない場所)に自転車を置いていても持っていかれる、誰がどう見てもマンション居住者がマンション敷地内に止めているにもかかわらず道路にスタンドがはみ出ているだけで強奪していく。そのくせ「保管にかかる手数料」として3500円を奪い去っていくありさまである(この保管料は近隣の都市に比して高い)。

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▲京都市による自転車撤去の様子(2022年12月10日撮影)

この自転車撤去の根拠は「自転車等放置防止条例」にある。以下必要な条文を引用する

第3条
都市計画法…に規定する市街化区域(…)内に存する公共の場所は、自転車等撤去強化区域(…)とする。
2 前項に定めるもののほか、市長は、自転車等が放置されることにより、機能に障害が生じ、又は良好な都市環境が損なわれるおそれがある公共の場所を撤去強化区域として指定することができる。
第5条
市長は、撤去強化区域内に自転車等が放置されているときは、これを撤去し、保管することができる。
3 市長は、公共の場所に自転車等が放置されているときは、当該自転車等を直ちに当該公共の場所から移動するよう警告するための標章(以下「警告符」という。)を当該自転車等の見やすい箇所に取り付けることができる。
4 市長は、前項の規定により警告符を取り付けた日から起算して7日を経過したにもかかわらず、なお自転車等が放置されているときは、当該自転車等を撤去し、保管することができる。

更に条例5条1項については要綱が定められている。

放置自転車として条例第5 条第1 項を適用し撤去を行うための判断基準は、以下のいずれかに 該当する場合とする。

道路及び場所等の機能の確保のため

放置自転車を撤去することにより、障害が生じている当該道路及び場所の機能が確保でき
る場合。

放置の抑止のため

放置自転車を撤去することにより、放置行為に対する自転車等利用者の意識を高め、更な
る自転車等の放置を抑止することが期待できる場合。

危険防止のため

非常に多くの人出が集中する祭事の現場や、要人入洛時の通行路等において、放置自転車
等の撤去により安全が確保できる場合。

 更に、「放置自転車等は搬送する車両に積載した時点で保管状態であると判断し、当該放置自転車等は搬送先保管所において返還請求手続がないと返還できないものとする。」と定めている。

まず自転車撤去について、①自転車を積み込んだ時点で自転車の利用者が現れても返還しない取扱になっている②要綱に定めている「放置の抑止のため」に結局資していない(ただただ憤懣を集めているだけである)点で不当であるし、③より抑制的な(穏健な)手段として、条例5条3項、4項を使えばいいはずである。

更に今回の私道への指定は、条例に規定されている「公共の場所」に当たると言い切れないし、恣意的な運用への途を開いたものであり不当である。そのうえ、近隣の駐輪場は高いだけでなく、駐輪台数が必要な数だけない(満車だった場合はどうしようもなく、撤去を覚悟で近くに置くしかないことになっている)。しかも京都新聞で報道されてから1か月でこうなっているのだから、今までこの状態を放任していたのに急変した対応であるといえよう。

(タチの悪いことに自転車撤去or保管料の違法性を争おうとすれば、実際に自転車が撤去された人が返還を求める前に訴えるしか方法がなさそうである)

【6月28日追記】

28日に百万遍界隈に繰り出してみたが、むしろ周辺道路・店舗の前への駐輪がより強く印象付けられる結果となった。
【6月29日追記】
2015年までは自転車撤去強化地域が包括指定ではなかった。

参考
2021年2月22日の撤去の様子

5月13日付京都新聞「「京都で最もひどい」放置自転車ぎっしり 京都大学前の生活道路、異常事態に住民ら怒り
5月17日付関テレ「京都の学生街で…“放置自転車”がずらっと並ぶ「最悪の路地」 地域住民にとっては『生活道路』だが“無料の駐輪場”状態に 一体、なぜ?背景を取材
6月22日付京都新聞「京都大学前の「トンデモ放置自転車」私道だけど強制撤去も 京都市がついに本気モード
6月27日付関テレ「“放置自転車”あふれる『最悪の路地』 京都市が初めて「私道」の自転車を強制撤去できる異例の対策!
6月27日付産経新聞「「強化区域」の放置自転車は即時撤去へ 京都市
6月27日13時09分のツイート


6月28日付のツイート(京都大学)