JRが三セクを吸収したら…?

2024年4月26日JR各社/三セク国鉄

様々な事情で第三セクター鉄道としてJRと別会社として運営されている鉄道がもし、JR線と一体に運営されていたら…?という妄想以外のなんでもない話。

・仙台空港線
仙台駅から東北本線を南に4駅進んだ名取駅から仙台空港駅までを結ぶ鉄道で、基本的に仙台ー仙台空港を17.5km約25分(快速は17分)で結ぶ路線で、毎時2~3本、721系が2or4両編成で運転されている。
さて、名取ー仙台空港間は仙台空港鉄道(SAT)というJRとは別路線なので運賃も別建てになっている。
仙台ー名取:JR幹線10.4kmで240円
名取ー仙台空港:7.1km420円
と計660円。もし仙台空港が全線JRの幹線(地方交通線でもさして変わらないが)として運賃計算されたとすると17.5kmの運賃で330円となる。
まさかの半額…仙台空港鉄道が自治体からの出資であることを考えると多分あり得ないだろう話だが、ここまで安ければ福岡空港同様都市部から近い空港としてより認知されることだろう。

・愛知環状鉄道
多治見と岡崎を結ぶ予定だった岡多線の大部分と瀬戸市ー高蔵寺間の瀬戸線を組み合わせた路線。第三セクターの中では一番輸送密度が高く、16分間隔の運転となっていてさらにシャトル列車も朝夕には運転するといったところである。転換を決めたタイミングでは全線開業していなかったから生じたことではあるので仕方ないところもあろうが、JRでいえば幹線扱いされるはずである。現在はTOICAなどのICカードが使え、更に朝夕の直通運転を中央本線方と行っている。また車両も313系によく似たフォルムをしている車両が用いられている。だから吸収されたとしてもそこまでの違和感を覚えないかもしれない。

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JR東海の路線図(路線記号導入前/愛知環状鉄道にICカード導入前)伊勢鉄道とは異なりなぜか全駅掲載されている

・伊勢鉄道
特急が走っていたのに三セク転換された路線で、四日市-亀山-津を鈴鹿経由でショートカットする路線である。運転しているのは日に4往復の特急南紀号、毎時1往復名古屋と伊勢鳥羽を結ぶ快速みえ号、そして線内を毎時1本運転する普通列車である。快速みえ号の場合(こと18きっぱー)、車内で伊勢鉄道線(実際には四日市から西に3駅の河原田から津)の運賃520円を精算する光景がよくみられる。(指定席料金は設定されていないので指定席、グリーン車を線内のみで利用することはできない)
名古屋方の分岐駅が四日市ではないところがややこしい(河原田をまたぐ場合に運賃が跳ね上がる)ことを考えるとぜひぜひJRが吸収してほしいといいたくなるが、普通列車の扱い(四日市駅、津駅共にちょっとJRの駅本屋から相対的に離れたところにあるのをJR化した場合利便性を上げたくなるはずであろう)

・智頭急行
上郡から佐用を通って智頭に至る路線。京都・大阪から特急スーパーはくと号、岡山から特急スーパーいなば号がこの路線を経由して鳥取・倉吉へと結んでいる。この路線が開業したことによって京阪神地区からは山陰線経由より、岡山からは津山線・因美線経由より(遠回りではあるが)より速達となったわけである。(そのため因美線の津山ー智頭間がローカル線となり、急行つやま号なる迷列車が誕生したりしたわけである)そのため特急の利用者は非常に多い。しかし、普通列車は基本単行でそこまで利用者がいるわけではないのが非常に気になり、現にダイヤ改正ごとに減便されているのが現状である。もしJR西日本が吸収したとしたら、更に淘汰される可能性がある。また若桜鉄道・因美線とともに運用されているので若桜鉄道にも少なからず影響がでるはずだ。

・井原鉄道
平成11年1月11日という1並びの日に開業した井原鉄道。伯備線の総社から福塩線の神辺を結ぶ路線である。1日3往復が福塩線福山へ乗り入れている(清音ー総社間は線路は伯備線のものを借用しているが重複区間)。もし井原鉄道がJR線に編入されたならと考えると福塩線福山乗り入れの本数が増えることも予測されよう。

とはいえ、国鉄転換の第三セクター鉄道は元々赤字路線として国鉄/JRから切り離されたものであるからまず空想のお話であろうし、地域密着の経営から俯瞰目線からのものに切り替わる影響もあるはずなので頭の中で楽しむものに過ぎない。更に第三セクター鉄道の中には破格のフリー切符を発売している会社もある。例えば智頭急行では土休日+繁忙期に全線1200円の1日フリーきっぷを発売している。これは上郡ー智頭全線の1320円より安い。(参考:JR西日本地方交通線で智頭急行線全線56.1kmに相当する区間を乗る場合の運賃は1170円)だからどちらのほうが利用者にとって至便かはわからない。でも、でも、ちょっと考えたくなるもんですね