【広島にも】JR西日本 指定席サービス拡大

2024年9月4日JR各社/三セク国鉄,JR西日本

JR西日本は10月5日以降、中国統括本部でダイヤ修正を実施するとともに、近畿エリアでも指定席サービスを拡充する。それを見ていく。

有料座席サービス拡大のお知らせ ~「快速 うれしート」の線区を拡大し、 「Aシート」を臨時設定します!~

2024年10月5日ダイヤ修正について ~ 有料座席サービス「快速 うれしート」導入 ~

京阪神地区

「うれシート」拡充

2023年秋導入2024年春拡充された「うれシート」であるが、他線区にも拡充される。

※2023年春に導入されたのは
平日朝:大和路線加茂発大阪行き区間快速2本、東線奈良発大阪行き直通快速2本
※2024年度に拡充されたのは
平日朝:大和路線奈良発大阪行き区間快速1本、東線奈良発大阪行き直通快速2本
土休日朝:大和路線加茂発大阪行き大和路快速3本、東線奈良発大阪行き直通快速2本
土休日夕:東線奈良発大阪行き直通快速2本
大和路快速・区間快速は大阪環状線内1周だが、着席指定は天王寺まで

今回導入されるのは以下の通りである。

対象車両:221,223,225系半両(221系は16席、ほかは20席)

対象列車:

JR神戸線【平日】:姫路6:32発・6:50発・7:09発・7:29発快速
須磨・垂水・舞子通過の快速電車で姫路6:32発以外は網干始発
着席保証は大阪まで(それぞれ8:20着・8:40着・8:58着・9:12着)

奈良線【平日】:奈良6:29発区間快速・6:54発区間快速・7:26発快速
(それぞれ京都7:27着・7:53着・8:17着)

大和路線【平日】:JR難波17:32発・18:03発・19:03発・19:33発・20:15発快速奈良行き
(それぞれ奈良18:17着・18:47着・19:47着・20:18着・21:03着)

おおさか東線【平日】:大阪17:35発・18:35発・19:35発・20:35発直通快速
(奈良18:36着・19:36着・20:36着・21:36着)

おおさか東線【土休日】:大阪10:15発・11:15発・17:35発・18:35発直通快速
(奈良11:15着・12:15着・18:34着・19:34着)

なお、おおさか東線の直通快速4往復(平日・土休日とも)はすべてうれシートつきとなった。

指定席券:530円(閑散期330円)・チケットレス指定券300円

Aシート臨時設定

このほどのダイヤ改正で2往復から6往復に拡充された新快速「Aシート」が初めて臨時設定される。

※Aシートの来歴は弊記事参照、一部概略を書くと
・2019年春:2往復で導入、着席定員制
・2020年12月:一部を指定席に変更(通年840円・チケットレス指定券600円
・2022年春:全車指定席に変更
・2023年春:6往復に増発(主に姫路ー大阪間で通勤時間帯を想定)

臨時設定となるAシートはいずれも土休日で、

新快速90号:姫路10:42発→大阪11:43・京都12:14・野洲12:43着
新快速91号:野洲13:45発→京都14:15・大阪14:43・姫路15:47着

である。

現在の土休日のAシートは姫路7:53・8:40・9:41・15:11・16:10・17:41発、草津10:37・11:52・12:52・18:36・19:06・20:06発(斜体が野洲始発)であるから、ちょうど昼下がりの行楽輸送(要は「行き」の時間帯)を補完する動きであるとみてよい。

広島地区

「うれシート」導入

山陽本線(岩国ー広島間)にも有料座席サービス「うれシート」を導入する。京阪神都市圏以外での着席サービス導入となる。

概要としては以下の通り。

使用車両:227系電車(岩国方半両ぶん、20席)

対象列車:平日1本 土休日2本

平日 通勤ライナー(岩国6:48発広島行き)※五日市まで指定席確保
土休日 シティライナー(岩国15:39発・16:39発広島行き) ※全区間で実施

指定席券:530円(閑散期330円)・チケットレス指定券300円
※キャンペーンを実施予定

227系電車 横川駅にて

時刻修正

恐らく繰り上げのみ記載されている

姫新線2834D:津山駅17:31発→17:27発に繰り上げ
呉線5635M快速:吉浦駅16:57発→16:56発に繰り上げ

JR西日本の狙いの推察

通勤需要:客単価に合わせたグラデーションづけ?

今までJR西日本はそこそこ長い距離の着席需要を確保しに行くことから始めている。すなわち通勤特急のやり方である。2019年春ダイヤ改正以降にその動きが顕著で、夕方・姫路方面にははまかぜ・らくラクはりま・スーパーはくと・Aシートで毎時1本着席需要を確保することから始めている。そのあとのダイヤ改正でも、2022年春ダイヤ改正では阪和線特急のダイヤ均一化、2023年春ダイヤ改正では、Aシートの通勤時間帯を中心とした強化が見られていた。

特にJR神戸線の新快速・特急レベルの着席需要を確保したあと、今度はうれシートを導入した。既存座席を活用した方法で大和路線・おおさか東線で実施し、実際好調のようである。チケットレスでの単価も、Aシートが指定席で600円・J-WESTチケットレスが650円~(例:大阪-姫路850円)なのに対し、うれシートは300円である。

うれシート導入線区を見ると、大和路線・おおさか東線のほか、奈良線とJR神戸線の快速、更に山陽本線広島地区となっている(しかも奈良線は区間快速も含む)。新快速や通勤特急に比べれば乗車時間が短い傾向(JR神戸線快速を除けばおおよそ全線乗車してようやく1時間以内)にある。そこである種の「ちょい乗り」的な着席保証を付けようという意図であろう。運賃だけで座れる座席から客を追い出して金で確保させているだけという悪い観方をすべくもない。

なお、夕ラッシュ時間帯の大和路線はJR難波始発に設定しているほか、クロスシート導入線区のうちJR宝塚線・阪和線では導入が見送られている。恐らくであるが環状線始発の奈良・和歌山方面快速で設定すると、車掌側(車両後方)が大阪駅で一番混むことになるので不適当。阪和線は天王寺駅始発で設定できそうだが、そもそも2+1列シートであり、導入には慎重となれるだろう。JR宝塚線は…なんででしょうね(特急こうのとり2号、4号が三田以南ほぼ快速並の停車駅で走行していることは理由にあげてよさそうだ)。

行楽需要:まだまだ実験的か

行楽需要についてはまだまだ実験的であると思われる。おおさか東線とシティライナーのみの設定であるため、そのように評してよいだろう。Aシートの臨時設定には驚いたが、こちらも一挙に拡大させるというよりは睨みつつということであろう。

首都圏グリーン車自由席のようにほぼすべての新快速につけるのは、優等車の座席という慣習が根付くにはもう少し辛抱強くあったほうがよいし、全車指定席というところがなかなか拡大にネックだということは過去に弊記事で指摘しているところである。