JR西 アシストマルスの営業時間短縮へ
2024年5月10日
JR西日本が思い切ったことを言っている。
JR西日本お客様センター、みどりの券売機プラスのオペレーターによる応対時間変更について
要はこの中で関係していることとは、みどりの券売機プラス(アシストマルス、他社で言うサポート付き指定席券売機)のオペレーター対応時間を現行の5時半~23時から8時から20時に短縮するということである。なお、あくまで昼間時間帯の対応を強化するとしている。
過去にも弊ブログでみどりの窓口の縮小や、駅業務縮小は数々扱ってきている。今回もその一環であると思われる。
JR西日本としては、2022年の中期経営計画の時点で2030年にはみどりの窓口を近畿圏で150駅減らし、みどりの券売機プラスを50駅程度増やすとしている(社長会見リンク)。なお、このような施策の中には列車走行位置サービスや、運行情報アプリなども含まれているが、特に批判されているのは出札の面であることは合っているだろう。
ただ、JR各社としても対策を取っているところはある。例えば、モバイルICOCAの導入、通勤・通学定期券の購入の簡略化、払い戻しを券売機で扱えるようになったことなど、有人窓口・オペレーターなしでも対応できるものが増えていることはまず事実である。また、上記によれば、ICカードの利用率はICOCAエリアで75%になっている。
改善は必須か?
それでも、有人窓口を大幅に減らす、アシストマルスのサービスの在り方については一考の余地があるといえる。
まず、有人窓口・アシストマルスでしか買えないきっぷが全廃されたわけではないことに注意が必要である。例えば学生割引はその代表例である。これはJR単体では対応できず、所管・発行元の文部科学省・JASSOとの連携が必要になるものであるため、一概にJRを責めるわけにはいかない。そもそも学生割引・学割証の理念・スキームごとひっくり返すのか、妥協を重ねて例えばWebページで番号等の発行をしてそれをみどりの券売機で使うなどするのか、方法はさまざまあると思われる。
次に、きっぷを敢えて買う人の割合に比例して有人窓口を減らすのは誤りであるということである。単純なきっぷや、旅慣れている人は人を介さなくても済むが、むしろ今きっぷを(有人窓口で)敢えて買うのは複雑なきっぷの場合や、旅慣れていない人の場合が多いことがあまり考慮されていない。人数が半分となったとて、かかる時間が半分になったわけではない。鉄道旅行=待たされる、面倒となることが得策ではないことは重々承知されているはずである。
券売機のUIが不適切である、慣れていないと使えないことも一因であろう。これは一部は、各駅ごとで対応できる面があり、対応できるものもあるようである(その場しのぎではるが)。
また、慣れている人と慣れていない人の分離も不十分である。e5489などで購入したきっぷもみどりの券売機・券売機プラスで受け取れるが、受け取り専用の端末と新規購入用の端末を区別すれば、そのほうがそれぞれ満足できるものと思われるのだがどうだろうか(現状受け取り専用端末はあることにはあるが、知る人ぞ知る端末状態になっている)1。
もう一つ問題があるとすれば(これが一番大きいと思うが)、拠点駅と思われるようなところでも窓口がなくなっているところである。特急停車駅から無くなっている場合はいくらなんでも問題があると思われる。例えば、出雲市や串本、新宮からもみどりの窓口がなくなっているのである。
この手の駅で見られる滑稽な様子といえば、みどりの券売機プラスでオペレーター待ちをしているきっぷ購入者を横で不思議そうに眺めている駅員たちや、オペレーターにつなぐためにみどりの券売機プラスの横に立っている駅員である。人員削減とは何だったのか疑問に思うレベルである。それこそ、(マルスというのであれば)駅員対応ができるような仕様などがあってもいいのではないかと思いたくもなる。
上記のような問題点を粗方解決しなければ実効的な施策にならないと思われる。オペレーター対応時間の短縮がこれらを増大させることもあると思われる。つまり、朝方・夜であればきっぷを買えるという人がまた日を改めてとなれば、
不満が溜まるに違いないということである。この施策はオペレーターの強化という風に換言するにもやや厳しいかとも思ったりするところである。
この発表の直後、JR東日本はみどりの窓口縮小を一時凍結すると報道されている(日経)。
最後にいえば、なぜ株主総会前で荒れやすいこの時期に発表したのかは気になるところである(発表で株価は下がってはいない)。残念ながら私はJR西日本の株主ではないので、この点質問できない…
参考
【JR西日本】「みどりの券売機プラス」オペレーター応対時間を短縮(8時~20時)昼間中心の時間帯の体制強化を目的に変更(2024.6.1)
過去の弊記事:
JR東海 東海道線6駅を無人化へ【美化語:お客様サポートサービス】
JR西日本、無人化を美化語にした? 【「人ならではのサービス」】
棘のある言い方であることはご承知願いたい
脚注
- あまり強く言えないので注釈にしているが、各社のネット券売機サービスで購入したきっぷをどこでも受け取れるようにすること、及び全国のJR券が買えるほうがいいと思われる。例えば、北海道に旅行する前にe5489できっぷをこさえてから飛行機に乗れる場合などを想定している。複数のサービスを利用する物好きが居ると思わないほうが良い。 ↩︎
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