鉄道事業者の商標いろいろ

JR各社/三セク国鉄,JR西日本

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商標とはビジネスのためなどに使われるための文字なり、図形なり記号なりのことで、これを特許庁へ登録することで、同業などで模倣されることを防ぐことが出来るというものである。

さて、鉄道関係の商標というのも結構色々あるわけで、それの登録がいつなのかを見ていこうという話。もう少し網羅的に話をしようかと思ったが、中々うまいこといかなかったところであるのは読んでもらえるとわかる。

少し補足しておくと、商標法8条で先願主義が取られているので、先に愛称などを発表することで商標を横取りされるというリスクを踏まえてニュースリリース前に出願をするということである(商標出願から公開までは1~2週間ほどかかるということで、事前のネタバレは防げるということになる)。ただ、区分ごとに出願するので、別の範囲で同じ商標が出てくることも十分あり得ることになる(実務上は類別ごとに出願する方法が取られていて、鉄道はだいたい39類をみておけばよい。)。例えば、「新幹線」の文字列についてJR各社が共同出願して各分野で商標登録しているが、「菓子及びパン」の範囲では、株式会社長登屋が保有している(登録4174515号)。

さて本題、JR各社の出願である(ちなみにざっと調べる限り出願・登録件数はJR北82件、JR東604件、JR海318件、JR西254件、JR四122件、JR九127件、JR貨73件である)。たとえばJRマークはJR各社が共同出願している()が、ここでは各社特有の施策をみながら色々雑多に調べてみようというものである。

例えば、227系500番台の「Urara」。2023年1月10日にニュースリリースがあったが、その出願は22年の10月12日(登録6700426号)。ただし、ロゴタイプを商標出願せず、単純な文字列のみを出願している(現在見る限りロゴは出ていない)。

また、モバイルICOCAも2020年10月16日に計画のニュースリリースがあった。これは前日の10月15日に出願している(登録6428304号)。この時同時にICOCA、SMART ICOCAについても、改めて出願されている(同6428305,6428306号)。これは権利の範囲を追加設定するもので、今までICOCAの文字列に権利を設定していなかったわけではない(2002年に登録されている)。ただ、モバイルICOCAのロゴタイプは更に5か月前に出願されている(登録6669254号)。不思議なもんだ。ちなみに「Ainokaze ICOCA」と「SHIKOKU ICOCA」もJR西日本の登録商標である。

東海道・山陽・西九州新幹線のN700Sについても、2018年3月1日に申請された商標登録がある(登録6151626号)。その後2018年3月7日にニュースリリースでシンボルマークが公開されている(リンク)。他方、JR東海が登録している商標のうち、使われていないものがある(登録5906589号)。出願直後のニュースリリース(社長会見)でN700Sという名前は発表されているし、どことなく「S」っぽい感じは感じるが、呼称の参考情報をみれば「エヌナナゼロゼロ,エヌナナヒャク」としかない。商標登録は10年ごとに更新できるので、2026年にJR東海が更新するかは見ものである。

登録が遅いものもある。JR北海道の「フラノラベンダーエクスプレス」(登録6478836号)は、2021年6月14日に出願されている。しかしこちらの列車は1999年から運行されているわけで、もっと早く出願・登録されていても不思議な話ではない。同社の特急列車等について出願があるものを並べると以下の通りになる。

スタートレイン:2024年4月18日出願(4月17日ニュースリリース
赤い星・青い星:2023年12月28日出願(4月17日ニュースリリース
フラノラベンダーエクスプレス:2021年6月14日出願
サロベツ・宗谷・大雪:2016年12月13日出願(12月16日ニュースリリース
 ※宗谷は1960年から、大雪は1963年から、サロベツは1992年改正から存在
はこだてライナー:2015年1月19日出願(2月12日ニュースリリース
Kitaca:2007年6月12日出願(6月13日ニュースリリース
ノロッコ号:1997年6月12日出願
ニセコエクスプレス・フラノエクスプレス・スーパーとかち・はまなす・おおぞら・北斗・すずらん・ライラック・クリスタルエクスプレス・スーパーホワイトアロー:1992年9月29日出願
北斗星:1992年9月26日出願

参考:J-PlatPat