JR東海の輸送密度を確認・推定してみる

2024年4月26日JR各社/三セク国鉄

JR東海は自社で輸送密度などの経営データを掲載していない。そのためあまり経営状況などについて表に出てきづらいという状況である。
他社はこのサイトで確認できる(JR北海道JR東日本JR西日本JR四国JR九州)

しかしそれで全くデータがつかめないかと言われると嘘である。国土交通省の統計「鉄道統計年報」を見ればある程度のことがわかるようになっている。
国土交通省「鉄道統計年報」 
国土交通省のデータは2年前のもの(執筆時点の5年10月時点で令和2年時点)までである。コロナの影響もあるのでひとまず令和元年のデータを見てみよう。

路線名 輸送密度
東海道新幹線 267039
東海道本線 48113
中央本線 29788
関西本線 14353
武豊線 9738
御殿場線 7218
太多線 5462
高山本線 3366
身延線 2983
飯田線 1799
参宮線 1765
紀勢本線 1721
名松線 287

東海道新幹線の輸送量が全体の9割以上を占めているため、JR東海全体の輸送密度は8.7万となる。
とはいえこのデータだけを上げても仕方ないので、もう少し輸送密度を比定したい。

例えば関西線辺りからやってみよう。参考とするサイトはJR東海 新ダイヤと編成表及びMio Portalである(個人サイトではあるものの、運用を公式に開示していないことを考えれば有用であろう)。このサイトは各運転列車ごとの両数を記載している。区間ごとののべ運転両数で按分して輸送密度を推定する(つまり1両に乗る人数が同じという前提になる)。
すると平日・土休日ののべ運転両数とそれに基づき按分した輸送密度はこのようになる(輸送密度は四捨五入)。

営業キロ 15.8 6.9 13.4 23.8
河原田

亀山

四日市

河原田

桑名

四日市

名古屋

桑名

平日合計 208 276 392 476
休日合計 212 282 394 470
平均両数 209.143 277.714 392.571 474.286
輸送密度 8260 10968 15504 18731

実際の輸送密度より傾斜がついていない可能性があるかもしれないが、だいたいのところで合っているのであろう。また、中央西線・高山線での比定も行おうとしたが、特急列車の動向も考慮せねばならぬのでなかなか難しいかと思われる(一般に特急列車は乗車定員は普通列車より少ない)。

一旦特急を度外視した高山線の輸送密度の推定を掲げるので参考にされたい。

営業キロ のべ両数 輸送密度
27.3 岐阜

美濃太田

175.7 8910
66.3 美濃太田

下呂

63~48 2774
48.1 下呂

高山

44 2231
14.9 高山

飛騨古川

52 2637
37.9 飛騨古川

猪谷

34~32 1664

美濃太田~下呂間は行先別に細かく割ったうえで、改めて均している。あまりにも細かく分けることが輸送密度の意味にはならないためである。それは飛騨古川~猪谷も同様である。
むしろ今回の輸送密度の計算では全体の中で段差のある岐阜~美濃太田間の輸送密度が路線全体の輸送密度を引っ張り上げていることが数値的にも明らかであるといえよう。

本稿の推定では両数に輸送密度が単純比例するという前提であるということであるので、朝夕ラッシュのほうが混雑しているとか、昼間がガラガラであるとか、車両ごとのキャパシティがどうだということは考慮していないことだけはご容赦願いたい