なぜ「北陸エリアはJR西日本」なのか

2024年4月26日JR各社/三セク国鉄

JR西日本の営業エリアは非常に広く、一番西の端が新潟県の上越妙高、北陸新幹線ができるまでは直江津であった。
しかし、よく考えてみると「そんなにJR西に広く持たせなくてもいいんじゃないの?」ともなる気がする。ではなぜ北陸エリアをJR西日本が営業しているのか。

端的な答え?

日本国有鉄道改革法第6条第2項を見ると
「国は旅客鉄道会社として、次の各号に掲げる株式会社を設立し、それぞれ、主としてて当該各号に定める地方において日本国有鉄道が経営している旅客鉄道事業を当該旅客鉄道会社に引き継がせるものとする。
一 北海道旅客鉄道株式会社 北海道
二 東日本旅客鉄道株式会社 東北及び関東
三 東海旅客鉄道株式会社 東海
四 西日本旅客鉄道株式会社 北陸、近畿及び中国
五 四国旅客鉄道株式会社 四国
六 九州旅客鉄道株式会社 九州」
と定められているからである。めでたしめでたし。
…納得できないですよね。

少し深堀りして考えてみる

ではなぜこのような分割をしたのかを考えてみる(当時におけるその理念的是非について論じる意図ではない)。
同じ法律の一条を見ると、「現行の公共企業体による全国一元的経営体制の下においてはその事業の適切かつ健全な運営を確保することが困難となつている事態に対処して、これらの事業に関し、輸送需要の動向に的確に対応し得る新たな経営体制を実現し、その下において我が国の基幹的輸送機関として果たすべき機能を効率的に発揮させること」を目的としていることがわかる。
更に、同法6条1項を見ると「主要都市を連絡する中距離の幹線輸送並びに大都市圏及び地方主要都市圏における輸送その他の地域輸送の分野において果たすべき役割にかんがみ、その役割を担うにふさわしい適正な経営規模の下において旅客輸送需要の動向に的確に対応した効率的な輸送が提供されるようその事業の経営を分割するとともに、その事業が明確な経営責任の下において自主的に運営されるようその経営組織を株式会社とする」と規定している。
太字にした辺りを考えると「中距離輸送でも需要に応じて適正な輸送ができるようにする」ということを法律に丁寧に組み込んでいる。この種の法律(行政法)ならあるあるだけれども、法律にここまでご丁寧に趣旨を記載するということはそれなりのはっきりした意図といえる。

Wikipediaを見ると色々なことが分割方法の指針として書いてあるのだが、正確な実情をここから汲むことは難しいものと思われる。
そのようにして見てみると、確かに中部地方からの特急の本数(しらさぎなど)よりも、大阪方面からの特急雷鳥などのほうが本数が多く、更に首都圏からの北陸方面への特急の本数も雷鳥ほどではない。
そうなると確かに北陸本線のある程度がJR西日本の管轄であること、及び支線についてもJR西日本の線区として扱われるのは理解に難くない。
とはいえ、新潟県内の直江津までまるまるJR西日本であること、大糸線の新潟県区間をJR西日本に分離することまでの相当性はよくわからないところである(もちろん区切るとすれば同所であることは言うまでもないところである)。糸魚川より向こうはJR東日本でもそこまでおかしくはなかったのではないだろうかと思う一方で、本線を分断するのはいかがなものか、いやでも高山本線だって猪谷で分割しているわけだし、とますますわからなくなっていく。現在でこそあいの風とやま鉄道とえちごトキめき鉄道の実質的な乗換駅が泊となり、系統分断されているものの、当時は富山ー直江津の直通電車もざらだったと考えればそこまで不当ではないのだろう…ともかくも当時の検討資料があればいいのだが…