近鉄奈良線 移設せずの方針へ

2024年4月26日未分類

奈良県は知事就任直後に予算執行を一旦停止していた事業についての査定結果を公表した。
令和5年度予算執行査定の結果(概要)

その中で鉄道に関係するものについて取り上げてみよう。

まず、「大和西大寺駅の高架化・近鉄奈良線の移設」について、地下化に向けた調査費用3180万円の執行を中止するとした。更にすすんで「大和西大寺駅の高架化のみを行い平城宮跡内の近鉄線は存置する事業案を新たに検討」するとしたので、事実上近鉄奈良線の平城宮跡からの移設は中止となった。2021年の計画案では、西大寺駅付近の高架化を行ったうえで、奈良駅までの区間は南に移設して地下化。新大宮駅以外に2駅を新たに設け得るものとして近鉄、奈良市と合意していた。2060年度完成予定の計画であったというのも考慮に入っていたのであろう。
なお上述の通り、開かずの踏切と化している西大寺駅付近の高架化は実施される。

次いで、「リニア中央新幹線「奈良市附近駅」の早期確定と関西国際空港接続線」については、「関西国際空港接続線の整備」については不実施とする。関西国際空港接続線についてはかなり壮大なもので、御所ー五条間の改良、岩出附近ー日根野への新線建設を伴うものである(参考資料)。こちらについては確かに納得と言わざるを得ないレベルである(奈良県が当時作成していた参考資料を見ていただきたい。)。他方で、奈良市附近駅については①JR平城山駅②JR八条新駅(郡山ー奈良間)③近鉄橿原線とJRの交点(大和郡山市)あたりが主な候補地となっている。こちらについての早期確定は(直接は書いていないものの、京都府との関連で)急ぐところと思われる。

奈良線の地下化につき800億円、関西空港接続線につき1900億円の将来事業費の節減となる。少なくとも両事業についてはある程度納得の結果となったのではないだろうか。