521系が1編成10億円?! 【福井県議会】
この間Twitterに流れてきた話をしておこう。福井県議会の予算決算特別委員会で、自民党の議員が「ハピラインふくい」について質問しており、車両不足対策についての議論もあった。その中で、南福井駅に検修庫を作り運用を効率化するという事と共に、17編成目となる521系電車を入れるという話もあった。しかし、県職員の答弁によれば、直交流・小ロットということで1編成10億円・納期5年という見積りであるということであった。
いくらなんでも高い…?
過去に私の記事でも取り上げているが、新幹線以外の電車が1両平均1.1億円程度となっている。尤も、この数値は作成編成数で大幅な差が出てくるということになる。そこで521系電車の制作費を調べる。あいの風とやま鉄道については富山県が大量に資料を出している。
【第2回利用促進協議会(2013年11月22日)より】
■ 平成24年5月15日
知事と真鍋社長の折衝
② 必要車両数21編成の2/3程度(14編成)は、現在走行している新型車両を低廉な価格(1編成あたり新造価格を4.6億円と見込んでいたが、約1/3の価格)で譲渡
【第12回利用促進協議会(2018年12月20日)より】
2 車両更新計画
・新型車両 521 系について、2019 年度~2022 年度の4ヶ年で計 4 編成を新製する。(毎年 1 編成ずつ)
製造費(予定) :1編成あたり5億円(税抜)
要は2012年時点では4.6億円、2018年時点では5億円くらいとみてよい。そこからの物価上昇を踏まえれば7億円くらい、そこに小ロットで加算され…となれば確かに10億円まで行く…のか?
そもそも521系電車は、2006年から製造されている車両である。そこの基礎的な話も振り返っておこう
0番台1次車:2006年に5編成10両製造、敦賀駅以南の直流化のため滋賀・福井県が費用負担(現在もJR車)
0番台2次車:2009年~2010年に30編成60両製造
0番台3次車:2013年~2015年に21編成42両製造、2021年に2編成4両製造
1000番台(あいの風車):2017年に1編成(あいの風リンク)、上記の4編成に1編成加えて(あいの風リンク)計6編成12両製造
100番台(七尾線車):33編成66両製造(うち3編成はIR車)
結局形式を同じくしながら内容を変えつつ製造自体は続けられているのだが、あいの風が比較的安く済ませられたのは100番台と製造時期が被っていたからというべきであろう。
じゃあどうする?
ここからは各社の事情を踏まえずにどうすればいいかということを考えておこう。Twitterで出ていたのでいえば
・福知山支社で車両を置き換えて、その押し出しで1編成もらう
・そもそも敦賀以南は直流で済むから227系で置き換えてもらってJRから編成を譲渡してもらう
・城端線氷見線で車両を新造するからそこで+1編成の費用を負担して押し出しであいの風から譲渡してもらう
というあたりであろうか。
何れもウルトラCであることは明らかであるのだが、公共交通としての俯瞰的な視点を各社が持っていると信じたい。

ディスカッション
コメント一覧
1編成10億円の話、個人的にどこかで情報の誤植があったとしか思えないんですよねぇ…
仮に事実だとしたら新幹線車両より車両価格が高いってなる話なので
敦賀駅の構内まで交流にしてしまう。
お二方、コメントありがとうございます。
元々521系電車自体やや高級なので、やや吹っ掛けているとしてもあり得そうな話ではあります。そのうえで、10億円かけるくらいなら別の施策のほうがいいのではという検討は必要です。
敦賀駅構内の再交流化も手ではあるでしょうが、結局交流電車を入れる必要になりますし、工期もかなりかかることが見込まれます、参考までに、黒磯駅の構内直流化工事は5年ほどかかっています。あとは三セク各社で車両が揃っている方が楽という点もあるでしょう(今後運用が拡大するとは思いませんが)。