【if】鉄道国有法再来と憲法
地域公共交通の「リ・デザイン」なんていうことをお役所が言い出しているが、もしその答申の中でやはり鉄道を国有化すべきだなんて意見が通り、まかり間違ってこんな法律が通ったらどうだろうか。
令和〇年法律第〇号
鉄道国有法第1条 一般運送の用に供される鉄道はすべて国の所有とする。ただし、一地方の交通を目的とする鉄道はこの限りでない。
第2条 政府は令和〇年から令和〇年までの間において、本法の規定により、次に掲げる私設鉄道の株式会社所属の鉄道を買収しなければならない。
一 北海道旅客鉄道株式会社
二 東日本旅客鉄道株式会社
(以下云々)② 前項に掲げる各会社はほかの鉄道事業者と合併し、又は他の鉄道事業者の鉄道を買収することはできない。
(流石に今の法律なら目的規定も置くだろうし、もう少し色々手当てするでしょうけど)
さて、あなたはJR東海の大株主であり、この買収を何とか阻止したい。さてどうするか…少々無理があるとしても1どこかの法律を巧くとらえて行政事件訴訟法を使って取消訴訟をするしかない。というかどう考えてもこれ違憲では…?!
茶番は置いておいて、今の新自由主義的な考え方からすれば大きな政府かの如く鉄道国有化なんて言う話はないだろうけど、そのうち、鉄道はやはり国民にとって重要なインフラだという話になって再国有化するかもしれない。そうなったときに、出てきそうな条文が憲法29条である。
第二十九条 財産権は、これを侵してはならない。
② 財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。
③ 私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。
適法な買収なら損失補償があるんだけれど、さてこの条文次第ではどうなるんだろうねえ…というお話である。ちなみに明治憲法下ではここまで踏み込んだ話はなかったわけで、ただそれでも抵抗はあったようである。
思考実験するには物足りないくらいのお話でした。
- それこそ、横浜市保育園廃止条例事件などを援用して立法が行政処分だと言い切ったうえで ↩︎
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません