京都市バスの営業係数と利用動態の相関性を見てみる

2024年4月26日京都市交通局

京都市交通局は毎年営業係数を公表している。また、令和3年には流動調査も実施している。営業係数の公表のみならず結構いろんなデータを公開してくれているので調べがいがある。というわけで今回は営業係数の相関性を見ていきたい。
ひとまず令和4年の営業係数と令和3年の流動調査のデータは以下から閲覧できる。
【広報資料】令和4年度市バス営業係数について
市バス旅客流動調査及び市バスお客様アンケート調査の結果について

①営業係数と乗客数
図1
利用者数が多ければ営業係数が下がる傾向にはあるが、必ずしもこれで相関をみていいかは難しいところである。というのも、86系統の1日の乗車人数は689人だが黒字、204系統は乗車人員9490人だが赤字となっている。収入を支出で除した値に100を書けているのが営業係数なのだから、運転本数が少なければそのほうが有利であることもわかるだろう。
1バス当たりに多くの人数が乗っていれば(ほとんどの系統が均一運賃なのだから)そのほうが営業係数に有利に働くということは言えそうである。

②乗車効率と営業係数
そこで、乗車効率と営業係数を見る。

図1
京都市交通局のデータとして、定員74名の大型車両、55名の中型車両、35名の小型車両でそれぞれ乗車効率が算出されている。こちらのほうが傾向が見出しやすいものであると思われる(同じ程度の乗車効率での営業係数の差が一定程度になっている)。
乗車効率を上げるには利用者を増やすか、バスの減便小型化ということになる(もっとも特に後者が営業係数を引き下げるものになりえるかはまた別論である)。
なお、本当は望ましくないが営業係数は令和4年度、乗車効率は令和3年特定日のデータである。後者のデータは全数調査で得ているものとのことである。

本当はもう少し引っ張るつもりだったが、ある程度のものが出ているのでこれでよかろうと思う。京都市バスの全体の営業係数は令和4年度で112、夫もよかったときは平成28年の90である。平成年間は30~40%程度黒字のバスがあったことからすると現状まだまだ回復しきっていないことは明らかであろう。

(もう少し定量的な議論をすべきだったかな…)