JR東日本 運賃改定に関する運輸審議会資料&パブコメを読む
JR東日本の上限運賃変更認可申請は無事認可されたわけだが、その際の運輸審議会(に提出した鉄道局の)資料がようやく出てきたので読んでいく。パブコメも多いけど読んでいく。
運輸審議会 諮問関係事案の審議状況(2026年度以降この記事を見ている方は令和7年を選択)
参考:申請時の弊記事
参考:申請書
パブコメ以外
輸送量の推計について
→インバウンドは実はそこまで運賃増に影響していない模様(第2回)。
前倒しにした減価償却費・設備投資費の繰り入れについて
→減価償却費が138億円、設備投資が270億円である(いずれも2026~2028年度の3年間の合計額)。
相鉄・JR線直通について
→開業効果は年数億円、一方で相鉄・東急相互直通に伴う収入影響は15億円減(第3回)。
鉄道線路使用料について
→2026年度ベースで、公団(京葉線)は173億円、新幹線は590億円、成田線空港支線は6.9億円。
電車特定区間・山手線内区間の経緯について
→前掲の第3回資料の17頁以下が非常に詳しく記載しているので、これを読むことをお勧めします。シーズン別料金や、幹線、地方交通線、電特の由来がよくわかります。昭和62年当時の運賃からするとJR東日本はほとんど上がっていないけれど、大手民鉄らもなんらかんだそれに追いつく形になっていることも示されている。
変動運賃制の利用について(恐らくオフピーク定期券のことを念頭に)
→2028年度までで、関連通達を適用した引き上げは予定していない(第5回)。
整備新幹線の貸付料について
→算定方法であるWithとWithoutの差について、JR東として特段「なかりせば」を考えているわけではない。
特定区間の廃止について
→流動の少ない区間、他私鉄が強い区間、競合関係が無くなった区間(渋谷~桜木町)
パブコメ
◎は私の書いたもの、(?:旅マネの私見)が後ろについている場合は、コメント者と鉄道局の回答がかみ合ってないと思ったものをを示しています(第4回)。
とにかく、JRがそれぞれ他社であるという建前と、JRはそれぞれ繋がっているという事実がそろそろほころびそうになっているということは確かである。
また、往復乗車券、往復割引、連続乗車券の廃止が重なることによって、その関連の質問が飛び交っている印象である。
バリアフリー加算関係
今後バリアフリー加算を行うのか
→未定。もし実施したら逆転現象が発生する”とのことです”。(?:しますとか、すると考えられますと書けば良いものを、なぜか、申請者の伝聞になっている)
東海道線別線化絡み
蒲田から品川乗り換え名古屋の計算方
→東京都区内ー新幹線ー名古屋市内のきっぷで乗車可能なため加算額不適用
横浜市内の取り扱い、東京附近(恐らく旅客営業規則70条の大環状線)の取り扱い
→各社で協議中である
◎別線化にかかわるJR東海の手続きについて
→JR東が認可を受けてからやるもので、地方運輸局長認可事項”とのことです”(?:行政内部関係くらい自信もって答えてくれ)
→営業キロが変更されるわけじゃないので、その点の認可が必要なわけではない
別線化はJR東のいうわかりやすい運賃に反するのではないか
→今後も乗車券変更は使用前で可能である(?:かみ合ってないなあ…)
→フレックスパルも在来線相当額は値上げする
→えきねっとは可能な限り利用者に使いやすいよう、インターフェースを含めて改善を検討していきたい
東京熱海間で特定運賃を設定すればいいのではないか
→「それぞれの会社が認可を受けているものであり、一律に価格を合わせるといった性質のものではなく、特定運賃を設定する考えはない」(?:特定運賃のとしての値下げ自体、競合関係などの理由は別に不要なはず)
行政手続き関係
◎営業キロ程表がないけど電路費はどう計算するのか
→適宜聞き取りをしている
◎申請から運賃改定まで長くないか
→特段の制限はないし、明らかに合理性を欠くものでもない
◎鉄道事業法第 16 条第 2 項の基準を満たしている場合、国土交通大臣は必ず申請を認可しなければならないのか
→原則として認可することになるものと考えております。
賃率・運賃計算の方法について
本州三社の運賃改定は足並みそろえるべき
→JR 各社の運賃については、それぞれの会社が認可を受けているものであり、今回のJR東日本の認可申請により JR 他社の運賃を値上げすることはできません。(?:そうだとしてもこれは立法論として受け止めるべきではないか)
キロの刻み方を変えないのはなぜか
→JR他社との通算において都合がある
分割切符への対策はしないのか
→キロ刻み以外については特定区間も電特も消したからそこまで多くはならないはず
幹線と地方交通線の賃率について(地方交通線を合わせろという意見と、もっと差を付けろという意見)
→内部補助は許されるとして、過度な内部補助をしないために運賃格差を維持する。
→JR東単独で決め切ると他社への影響がでてしまう
幹線と地方交通線の選定基準について
→JR東日本として、現時点ではで幹線・地方交通線を判断する基準は存在していない(?:まあ、旧法だし国鉄だし、合ってはいるか)
→今から見直すとなると、JR他社への影響があるので現行のままとする(?別法人という建前は?)
100km以上の税抜き運賃をこの際50円、10円単位に見直すべき
→改定率が高くなる区間と低くなる区間が発生し、不公平感が生じる(?:IC運賃のときは平気でやってるのでは)
税抜運賃を1円単位で考えるべき
→国鉄から引き継いだ運賃は税抜運賃だったからそれに準じて改定している。(?:まあ申請書などの書きぶりを見ても筋は通っているとはいえる)
賃率が三島会社より一部高いのは納得できない
→実際の運賃は安い(?:三島会社が100kmまで区間制を採っているので単純に比較できない)
大臣指針関係
※JRに対する大臣指針→こちら
通算加算方式はやめるべき
→大臣指針がある、既に三島会社でやってる
運賃制度をリセットすべき
→大臣指針に従っている。今後、国に対して要請はしていく
◎運賃制度のグランドデザインは
→より分かりやすく、窓口等に立ち寄ることなく、利用者自身が自由に購入可能な利便性の高い商品の提供
◎運賃制度改変で支障になる事項は
→運賃の認可制度、大臣指針の「遠距離逓減制」「JR各社での運賃通算」
JR 各社に独立性を認めつつも、JR 各社間をまたぐ乗車における連携を規定した国鉄分割民営化のスキームが既に破綻しているのではないか
→ご指摘はあたらない(?:ほんまか)
大都市近郊区間制度について
廃止した方がいいのでは
→極端な距離の大回り乗車が多数発生している認識はない(?:ほんまかね)
普通電車で移動できないレベルの範囲ということは特急との抱き合わせ販売ではないか
→前提として、Suica の運賃収受ルールは、大都市近郊区間制度を裏づけとして、実際の乗車経路にかかわらず、最安経路の運賃を着駅の自動改札機で収受(?:JR西日本、東海を見てほしい、気にしてない)
ダイヤについて
増便とかが含まれてないのがきがかり
→2025年改正をみてくれ、増便したぞ(※:パブコメはダイヤ改正リリースより前に始まっています)
オフピーク定期券
今後どうするのか
→電車特定区間の運賃区分が廃止されることに伴い、現行の幹線エリアの一部に拡大を検討している(?:別にいいけど、変動運賃制は平年度つまり2028年度まで予定していないといってたのにもう検討しておられるのか)
その他
学生向けの低廉な運賃(2/3程度)を設定すべき
→学割が設定されている(?:そう言う事じゃなくて通学定期にパラレルなものをということでは)
特定の年代への優遇が過ぎる
→今後もアクティブシニアへの旅行促進をしていく
→ほかにもキュンパス出したでしょ(?:これだけでバランスがとられたと言われると)
◎往復割引を無くして運賃改定の余地を狭める理由は
→JR各社で同時期にやっているだけ
中距離(50km 以遠)の運賃を値上げについて逸走を防ぐために抑制的にすべき
→特急料金は改定しないし、601km以降は賃率を据え置く(?:中距離わい)
品川・衣笠間の特定運賃について
→品川・久里浜間の競合関係を鑑みて特定運賃を廃止するので、それに伴う引き上げである。
整備新幹線の貸付料について(長野新幹線について2027年10月以降取扱い未定)
→取扱い未定なので、未定以降は原価(要は支出)に含まれていない
初乗り運賃の割引について
→運賃改定を契機としては見直す予定はない
常磐線と千代田線の関係で、通過連絡運輸運賃の取り扱いがきっぷとICカードで違う件について
→通過連絡運輸、ICカードの100円引きは見直す予定はない
Suicaでなぜ初乗りがないと入場できないのか
→事前にチャージできるようにしているから(?:ちょっと「なお、出場時に残額不足となった場合には精算またはチャージが必要となりますが、チャージが可能な券売機等の設置状況を考慮し、お客さまに事前にチャージいただけるよう、最低運賃相当額のチャージ残額を必要としているとのことです。」だけだと、精算機が足りないから先にやっておけ、とも読める。どっちも?)
連続乗車券の廃止について
→指定席券売機で現状と変わらない操作でそれぞれの区間の片道乗車券をお求めいただけるよう検討中
学割証・ジパング倶楽部について
→往復・連続乗車券の廃止に伴い、学割の発売条件について検討中。割引証(※ジパングなども?)の様式も変更となるので別途お知らせする
→ジパング倶楽部については、「割引条件を片道 101 キロ以上に変更し、1 枚の購入証で同時に購入する場合に
限り、2 枚の片道行程を購入可能とする」
みどりの窓口の閉鎖について
→お客さまの乗車スタイルの変革が進捗するまでの間は、現行の体制を基本的に維持
→えきねっとの操作性を向上していく
JR各社のネット予約共通化について
→“相互受取サービス”を拡大してきた
→「分かりにくい」といった声があることは認識しており、これまで以上に会社間連携を深めていくためのさまざまな検討を進めていきたいと考えているものの、現時点で具体的な計画はないとのことです。
臨時特急信州について
→おはようライナーの使用車両老朽化があったから一旦一般車両にしただけ
車両についての不満
→前世代の車両よりも明らかに劣化・退化していることはない
→HB-E220は従来に比べ窓は少なくなっているものの、左右非対称のデザインにより、車内の明かりは確保されている
→また釜石線は観光列車を別途走らせている(?:一般列車における観光需要を意識した意見に対してズレた回答をしている)
◎パブコメの賛成反対って何?
→運輸審議会の説明のためにかつてつけていた、もう今はやってない
他社線での告知はしないのか
→今後検討が必要だし、大型時刻表でも周知する
10時打ちについて
→窓口混雑の原因となることや大半の指定席券がインターネット予約サービス「えきねっと」の事前受付で対応できるよう、サービス拡充を図ってきたことから、原則として行わない
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