Osaka Metroは折り返し放題?

2024年9月22日未分類

2024年5月22日 

大概の場合、終点駅での折り返し乗車というのは、当該区間で有効な乗車券を持っている必要がある。

例えば阪急電車は「有効区間外を折り返し乗車されますと別途、折り返し乗車区間の運賃が必要となります。」としている。

↑あるいはこの通りである。JR高尾駅は中央線国電の終点であるが、その一つ手前、西八王子から高尾に行ってそれから東京に向かうのであれば有効な乗車券が必要である。「改札を出なくても折り返し区間は別途運賃が必要となります。」と記載がある。

ところが、Osaka Metroの駅に行くとこのような掲示は見当たらない。せいぜいこれくらいである。

これは御堂筋線新金岡駅(なかもず駅の一つ都心寄り)であるが、「折り返し乗車をやめてくれ」としか言っていない。運賃を取る!とまでは言っていない。そして、大阪市交通局時代に書かれた記事(日経)を読むと、「(大阪市営)地下鉄の場合、運賃は乗降駅の組み合わせで決まる」とある。

流石にこれらだけを信じて、「Osaka Metroは折り返し乗車がし放題である!」と言い切るのは怖い。それぞれの運送約款をみてみよう。

JR(引用元は東日本):

第26条 旅客が、列車に乗車する場合は、次の各号に定めるところにより、片道乗車券、往復乗車券又は連続乗車券を発売する。

(1)片道乗車券
普通旅客運賃計算経路の連続した区間を片道1回乗車(以下「片道乗車」という。)する場合に発売する。ただし、第68条第4項の規定により営業キロ、擬制キロ又は運賃計算キロを打ち切って計算する場合は、当該打切りとなる駅までの区間のものに限り発売する。

(後略)

68条4項2号:計算経路の一部若しくは全部が復乗となる場合は、折返しとなる駅の前後の区間の営業キロ、擬制キロ又は運賃計算キロを打ち切って計算する。https://www.jreast.co.jp/ryokaku/02_hen/02_syo/02_setsu/index.html

阪急(なお、近鉄27条も同文):

第 19 条 普通券は、次の各号によって発売する。
(1) 片道券
旅客が、普通運賃計算経路の連続した区間を、片道 1 回乗車(以下、「片道乗車」という)する場合に発売する。ただし、経路が折返しとなる場合、または環状線を 1 周しさらにこれをこえる場合を除く。https://www.hankyu.co.jp/traveler/01_ryoryaku.pdf

京阪(なお、南海25条も同文):

第23条 普通券は次の各号によって発売する。
(1) 片道券
旅客が普通旅客運賃計算経路の連続した区間を片道1回乗車(以下「片道乗車」という。)する場合に発売する。ただし、その乗車が折返しとなる場合を除く。https://www.keihan.co.jp/traffic/ticket/terms/pdf/002-02.pdf?230501

阪神:

第 24 条 旅客運賃を計算する場合に使用する営業キロ程は、当社線が連続する限りこれを通算する。ただし、その経路の全部又は一部が複乗(同一の区間につき、複数回列車に乗車することをいう。)となる場合は、複乗が開始される駅において打切って各別に計算する。https://www.hanshin.co.jp/ticket/yakkan/pdf/hanshin-passenger.pdf

神戸市(条例の施行規程):

第2条3項

(2) 料金計算経路の一部若しくは全部が複乗となる場合は、折返しとなる駅の前後の区間の料金計算キロ程を打ち切って計算する。https://www1.g-reiki.net/city.kobe/reiki_honbun/k302RG00001098.html

さて、要は「折り返し乗車は別に計算するぞ!」とはっきり書いてあるものが多い。しかし、ここで大阪市高速電気軌道旅客営業規則を見てみると…

(普通券の発売)
第28条 普通券は、旅客が乗車経路の連続した区間を片道1回乗車する場合に発売する。https://subway.osakametro.co.jp/guide/libray/unsoyakan/20230701_ryokakueigyoukisoku.pdf

そう、はっきり書いてないのである。更に、「折り返しは打ち切って計算する」とも書いていなさそうなのである。(なお、名古屋市高速電車乗車料条例施行規程も同様に、打ち切り計算や、折り返しは不可については記載がないが、「普通券は、乗車経路の連続した最短経路によって片道1回乗車する場合に発売する。(28条1項)」とある。)

ここまで調べた限りだと、JRの(極端な)大回り乗車のように、「書いていない方が悪い!」と言い張れそうなレベルである。念のため、Osaka Metroにも尋ねてみたところ、

 Osaka Metroでは、きっぷを発・着駅で改札することで、その区間の最短経路の運賃を計算しております。
 途中下車しない限り、どの経路でもご利用いただけます。「折り返し乗車」について制度上の規制はありませんが、通勤時間帯については、始発駅でお待ちのお客さまへの配慮・乗車マナー啓発の観点から、ご遠慮いただきたい旨、ご案内しております。

ということである。規制がないからご遠慮願いたいというにとどまっているということだそうだ。なら仕方ないかぁ…

なお、本記事執筆に当たり、Osaka-Subway.comさんにもご協力頂きました。末筆ながら御礼申し上げる次第です。