小野田線 終電復活などの実証事業開始へ

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JR西日本は小野田線沿線地域において実証事業を開始すると発表した。前後の動きも踏まえて確認しておこう。

小野田線沿線地域の公共交通活性化に向けた実証事業について

小野田線は運転系統上山陽線小野田駅から宇部線宇部新川駅を結ぶ路線である(このほか雀田から長門本山への支線がある)。2024年度の輸送密度は391と民営化以前の1/3以下となっている(JR西リリース)。平成24年春ダイヤ改正(広島支社リリース)で大幅な減便(本線14.5往復→11.5往復、支線5往復→3往復)を行ったほか、2021年春ダイヤ改正(広島支社リリース)では、21,22時台の最終列車1往復(改正前宇部新川21:17発→小野田21:49着、小野田22:16発→宇部新川22:48着)を減じ、最終列車を約2時間繰り上げて現在に至っている。

今般の実証実験では2021年春ダイヤ改正で減便した同列車と概ね同時刻の電車が運転される(宇部新川21:13発→小野田21:42着、小野田22:19発→宇部新川22:47着)。運行期間は10月1日から3月31日までとなっている。

更に、小野田線は船鉄バスの複数路線と並行している(ちなみに、20時台に運行を終えている)。そこで今回、小野田~雀田~長門本山間の定期券を有している場合、WESTERとの紐づけを条件として、船鉄バスと相互乗車可能となる。
たとえば、小野田支線の中間駅である浜河内駅から徒歩数分のところに南浜河内バス停、長門本山駅前に本山駅バス停があり、それぞれ1~2時間に1本の運行となっている。その他の区間でも、よく言えば、相互補完的に利用可能、悪く言えば共倒れ状態である。

ところで、この実施主体はJR小野田線活性化委員会(山陽小野田市HP)である。山口大学、市立山口東京理科大学(雀田駅が最寄り)、JR西日本、船鉄、県、2市が構成員となっているが、バスの相互利用は山陽小野田市に限っている。
最終列車の増便の負担金は150万円となっている。参考までに、小野田線の線区営業費用1.9億円と見積もられている
バス事業については、2024年度に、「鉄道・バス共通パスのモニター実験」(小野田工業高校を対象)を実施して、オペレーション上問題ないとみて、実施するということのようである。利用実績を踏まえて船鉄バスへの支払いは60万円となっている。

ついでに、小野田線の特徴を述べている資料があったのでみておくと、他のローカル線に比べて駅勢圏の人口密度が高いわりに輸送密度が低いということである。一方で、路線バスについてもじりじり利用者数が減ってきており、にもかかわらずバスへの補助金は1.2億円/年程度となっているというのである。

今後については、その他資料を読む限り、独禁法特例法の共同経営認可(牟岐線、山田線でやっている総合乗車・通し運賃制度)をも視野に入れているのではないか(検討資料は入っている)と思われる。

小野田線雀田駅
長門本山目の前の本山駅バス停