ハピライン 利用促進協議会資料を読む

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福井県HPにある、ハピラインふくい株式会社の利用状況を読んでみよう(富山県のほうが記載が細かいことは言うまでもない)。事実上の開業初年度となった2024年度であるので少し丁寧に確認しておきたい。

ハピラインふくい利用促進協議会
(福井新聞)ハピラインふくい赤字見込みが8億円から1200万円に縮小…想定以上の結果 福井-森田駅間の新駅の進み具合は
(ハピラインHP)事業報告

2024年度の利用者数は経営計画が20167人/日であるのに対し、定期外の利用が大きく伸び21060人と目標を達成した。運賃収入についても、定期外の利用が伸びたことで、予算では17.4億円であったところ、20億円の大台を超えた。一方で、通勤・通学定期券利用者は予定額を下回る結果となっている。

利用者数の目標との差についてみれば、12月、2月、3月と通学定期の利用者が少ないことで日平均利用者を割り込んでいたが、その他は目標値を上回る結果となっている。また、2025年4月は、前年よりも利用者が多いということで、またこれも吉報であろう。

利用促進協議会が2025年6月と、ダイヤ改正から3か月経過した時点で実施されていることから、2025年春改正におけるダイヤ施策の検証が行われている。今回のダイヤ改正の目玉は昼間の福井~武生間普通電車8本を福井~敦賀間6本に置き換えたことである。このダイヤ改正の結果、福井ー敦賀間の昼間ダイヤ(9時~16時)の利用者数は、改正前後で2570人から2870人と300人増という好成績を収めている。
夕ラッシュ時間帯の混雑緩和についても、17時台の最混雑列車を4両編成に増結することで、乗車率を抑えることに成功している。

その他の利便性向上策について。現在ハピライン線からJR線(敦賀以南)へICOCAへの通過利用ができるのは、湖西線と敦賀~米原~大阪間のみであり、例えば環状線内から利用する場合はいったん敦賀駅で下車する必要があった(さもなくば下車駅でエラーが出る)。乗り換え時間の短い列車での乗り継ぎに対処するために、敦賀駅構内に乗り換え改札機の設置が行われることとなった(2026年3月を予定している)。
その他、今庄駅のバリアフリー化、北陸トンネルの電波対策、新駅設置(武生王子保間新駅であるしきぶ駅など)、各駅の整備計画についても述べられているところである。

ところで、過去の新聞報道によれば、予算では営業赤字を8億円と見込んでいたところ、1200万円の赤字で済んでいる。この理由をもう少し探りたいところである。決算報告に該当する書類は、上で述べたもの以外で特に見当たらなかったので、ハピラインふくいHPも見ようということにした。

営業収益は43.9億円なので、残りのほとんどはJR貨物から徴収した線路使用料であろうと思われる(あいの風線社・IR社の決算を読む限りそこまで違和感はない)。営業利益自体は447万円、営業外収支を差引すると(開業費の償却が2.26億円と大きい)経営損失は2.04億円である。ここに特別損益(補助金が98億円、固定資産圧縮損で96億円)と差引すると税引き前で5418万円の黒字、税金を払って1265万円の赤字となっている。ちょっと特別損益の額が大きい気もするが、開業直後故というものと推測される。