東海道線の代替ルート 対策は充分か?
令和3年12月27日~28日の夕方まで、東海道本線 野洲~米原~関ケ原(あるいは大垣)までが大雪によって運転を見合わせた。
「関ヶ原越え」と呼ばれる滋賀・岐阜県境は豪雪地帯とされている。そのため東海道新幹線は同地域にスプリンクラーを設けるなど対策し同日も速度を落としながらも運転をした。
しかしこれだけの長期間の大雪による運休はこれからも異常気象が続くことを考えれば充分あり得る。また災害に関しても憂慮すべきであろう。となれば代替輸送の経路を考えておかなければならないと思われる。貨物輸送等のことも考えておかなければならないからである。
例えば阪神淡路大震災の際には東海道山陽線三宮付近が長期間運休となっていた。その際には姫路=播但線=和田山=山陰本線=福知山線=大阪、ないし加古川=加古川線=谷川=福知山線=大阪のルートが活用されている。(参考:内閣府HP)
そこで今回はこの近辺の代替輸送経路を考察すると、名古屋=関西本線=柘植=草津線=草津間が思いつくだろう(近江塩津回りは雪の際には役立たない)
このルートは国鉄時代に姫路ー鳥羽間の「参宮快速」が通るなどしたルートである。しかしこのルートは欠点がある。それは柘植~亀山間20km、加太越が非電化であることだ。そして電化の見込みがないどころか、キハ120系単行気動車が1時間ごとにくるのみ、輸送密度も低いという路線である。実際先日このルートで迂回した方のツイート等を見るとすし詰め状態での移動を強いられていた。数日ならこれで我慢、で済むかもしれないがこれが長期間続けばそういうわけにもいかない。かといって気動車の応急的取り寄せも、JR東海のキハ25系のほかは遠いところにあるばかり。(あとはキハ189系が草津に顔を覗かせるくらいではないだろうか)
そこでこの区間の電化ができないかを考えたい。何度も言うがこの区間は平時利用が少ない。しかし日本の大動脈東海道のサブルートとしての必要性はこれから高まるだろうから検討は必要である。更には長期間運休となれば貨物需要も考慮に入れる必要があるから蓄電池車で足るとも行かない。
(なんならJR東海がこの区間を譲り受けてもいいぐらいだがここまでくるとただの妄想になる…)
ネックになるのはまずはトンネルである。この区間には3つトンネルがある。金場トンネル、坊谷トンネル、加太トンネルである。古い路線であるためにトンネルが小さい可能性がある。(例:播但線もそれがネックになっている)
そして気になる費用について。変電所の新設によって大きく費用が変わってくるだろう。
JR東海・武豊線(単線・19.3km)のものが参考になるだろう。曰く、地上設備32億円、車両(313系28両)50億円である。車両に関しては災害用と考えると電車であればかき集めることでまだ足ると言えるだろうからともかく、電化工事だけでもだいたいこれくらいかかると言えるわけである。また日本車両によればこれはコストカットした方である(らしい)。
参考:武豊線の電化について(JR東海,平成22年3月18日)
武豊線悲願の電化開業(日本車両)
また、札幌は学園都市線こと札沼線、桑園~北海道医療大学間の28.9km、(当時あいの里公園まで15.1kmが複線、その先13.8kmは単線)の電化はあいの里公園まで35億円、その先北海道医療大学駅までが11億円の費用となっている。
参考:札沼線(学園都市線)の電化について(JR北海道,平成21年9月9日)
変電所の新設があれば費用が高くなると言える。そしてその設置間隔は都市圏で5km,亜幹線で10km程度である。となると20kmであれば1か所必要になるかもしれない…となるとハードルが上がる
参考:鉄道車両への電力供給方式の変遷 (電学誌,121巻 9号,2001年)
豪雪地帯の大動脈のバイパスについて簡単ながら検討してみた。今回の大雪をきっかけに議論が起こることを期待したい。
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