福井県、三セク経営「攻める」宣言か?!

2024年4月26日JR各社/三セク国鉄

福井新聞は福井県内の並行在来線(現・北陸本線)の経営計画を報じた。

記事によると、①運行本数は現行の1日102本(普通電車)から24本増、うち快速列車を8本増。②新駅を3つ計画。③パターンダイヤ化の3点を挙げている。

これを元に現行ダイヤや先行して三セク転換した北陸本線を参照してこれらがどのようなものかを検討していく。

まず運行本数についてだが、これはあいの風とやま鉄道のダイヤ改正プレスが分かりやすいのでデータを引用する。

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IRいしかわ鉄道線内にこれとは他に金沢-津幡間に1本含まれる。(上の表には七尾線直通列車は入っていない)
基本的に県境区間に関しては本数が増えないと考えておくべきだろう。金沢~高岡間の増分は快速の5本と石動~高岡間の1本となっているし、泊~糸魚川間も増発はない。
他方富山県内に関しては快速5本のほか、普通電車もそれぞれ6~8本の増発が行われている。
運転延長や直通化などにより本数が増減しているためでは何本増えたかと問われて直に答えることは難しいが快速5本、普通十数本、計20本弱増えたと言えよう。

そのような目線で今回の24本増強の計画を見てみよう。
福井県内の現行の普通電車の本数は下表の通り
(間違っていたらご一報願います…)
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これは③のパターンダイヤ化と関連するが、現行ダイヤでもある程度のパターンができている。敦賀ー福井、福井ー金沢、小松ー金沢が毎時1往復づつといった構成である。わざわざ言及した意図は特急の通過待ちなどでやや乱れているところがあるためそれを改善することにあるだろう。ただ、24本、しかも普通電車は16本の増発では根本までは覆すのは厳しいだろうから、これは朝夕ラッシュ時間帯(特に昼下がりから夕方)の毎時2本化を念頭に置いたものだろうと想像する。
またIRいしかわ鉄道線(大聖寺ー金沢)間との直通電車(福井を越えた直通が現行では4本ある)や、湖西線琵琶湖線への直通、接続が可能なダイヤ編成とするための増発とも取れるだろう。(できれば福井駅での接続を良くしてほしいのが個人的な願望である)

次に快速電車について。この区間の快速電車と言えば、21年春ダイヤ改正で廃止された早朝の快速電車福井発敦賀行(敦賀で新快速に連絡)というものがあった。この電車の停車駅は福井、鯖江、武生、南条、今条、敦賀である。所要時間は41分(なお、普通電車の退避のないものは50~52分)であった。
停車駅のベースとなるのはこれであろうが、今のところ言及されているのは福井-敦賀間8本である。普通に考えれば朝夕2往復づつ、(ライナーとして座席定員制平日のみ運転)or(一般快速として毎日運転)であろう。
言及されていないことを考えるのは良くないかもしれないが、福井ー金沢間の快速、ライナー列車は考えられていないのだろうか。無論福井県のみで決定できないから未定扱いになっているのかもしれない。ただ新幹線が止まらない駅で特急停車駅などの救済や在来線特急が去ることによる線路の余裕を考慮するとあり得てもいいのではないだろうかと思う。

また新駅の計画について、北陸本線は新駅の設置があまり活発ではなかった。JR化後の設置事例は1988年の明峰駅(小松駅の北隣)のみになっている。三セク区間に関してもあいの風とやま鉄道が2018年春に高岡やぶなみ駅を新設したのみである。そこに福井、鯖江、武生の隣に新駅を建設するというのはかなり攻めていると言えるだろう。

最後に、普通電車の速達化である。これは特急街道であった北陸本線特有の事象ではあるが、退避時間が無くなることにより都市間電車として普通電車の役割が増すことがある。現にあいの風とやま鉄道の開業ダイヤのプレスによれば、富山金沢間で特急を3本退避していた列車で22分の短縮が図られたとある。