21年春JRダイヤ改正の考察

2024年4月26日JR各社/三セク国鉄,ダイヤ改正

去る12月18日、JR各社はダイヤ改正を発表した。(リリースとその概要は以下の記事からどうぞ。)

今回のダイヤ改正、全6社とも粛清かの如く減便を行うだろう…とまで考えられていたが、実際はそうでもなかったという印象。以下、吉報が多いところから順番に見て行こう。

・JR四国 パターンダイヤ区間拡大
大体30~40分間隔前後で運転されていた土讃線(高知-土佐山田間)と徳島線(徳島-穴吹間)で昼間の運転間隔をきっちり揃える。前回のダイヤ改正で牟岐線にパターンダイヤを導入し、日中徳島-阿南間では30分間隔、阿南-海部間では120分間隔での運転としたJR四国がその区間を拡大した格好だ。
土讃線では高知-後免間は土佐くろしお鉄道の列車と向後に30分間隔、後免-土佐山田間は60分間隔になる。ただ土佐山田駅を13時台に発車する列車が歯抜けにはなっている。
徳島線では徳島-阿波川島間は30分間隔、阿波川島-穴吹間は60分間隔になる。一方でリリースに掲載されている改正ダイヤによればしれっと徳島15時01分発特急剣山7号が運転取りやめになっているようである。更に穴吹から阿波池田方面の列車は昼間2本減便となる模様である。
このため長距離利用者より地元の短区間に更に焦点を当てた形になる。

・JR東海 東海道新幹線定期列車の速達化
こちらは現行の列車のダイヤを極力変更せず、2時間30分運転の列車を臨時化、2時間27分運転の列車を定期化することによって定期列車の利便性を先ず向上することに努めた。なお、山陽新幹線への直通可能なのぞみ号(定期+臨時I) を昼間を中心に増やしたがこれが威力を発揮するのはずいぶん先になるであろう。

・JR東日本 東海道・東北・高崎各線 通勤快速を快速に
行先種別が多すぎてわかりにくい…東海道線通勤快速に至っては横浜通過(もちろん遠近分離の意図があるが)となっていたところを1種類の快速に統合した。(湘南新宿ラインは別口としておこう)
一方、平塚-小田原間は毎時7本から5本に減らされることになった。逆に今までそんなに本数があったのかと驚くところではある。これまで熱海行3本連続→小田原行4本連続→平塚行→(以下ループ)といういびつな運転体系となっていたことが解消したことの方が意義があるだろう。同様に、宇都宮線・高崎線も日中毎時1本ずつの減便となった。上野発着の列車がさらにへることとなった。

・JR東日本 新潟地区 快速列車の動向
新潟駅から白新線を通って羽越本線村上駅へ至る快速らくらくトレイン村上号が廃止されることになった。この列車は乗車整理券が必要であるため一種のライナー列車であったがまた一本ライナーが消えることとなった。一方反対側西に向かう直江津行き快速らくらくトレイン信越号(乗車整理券制)と朝直江津発新潟行快速おはよう信越号(全車指定席)を両方快速信越号(全車指定席)に揃える。逆に今まで上下でシステムが違うのかが不思議ではあるがともかく今回これでそろうこととなった。
また特急湘南号とあわせてJR東日本内のライナー列車はすべてなくなった。

・東北新幹線 上野-大宮間 運転時間短縮
この1分を詰めるためにどれだけの労力と時間がかかったであろうか。おそらく各方面からの列車がすべて通るのでダイヤの調整に一番時間がかかったと推察できる。

・東北本線・常磐線 運転系統の分割
長距離輸送は新幹線へ、在来線は短距離利用が多いから直通列車を減らそうということである。去年のダイヤ改正で山陽本線で糸崎・三原駅で必ず乗り換えが発生するようになったのと同様のものであるが、その”拠点駅”が結構多い

・拠点駅間での折返し運転を増やすことで、輸送障害が発生した際の影響範囲を小さくし、
他の線区・区間は可能な限り通常運行を確保します。

※拠点駅…(東北本線)新白河・郡山・福島・白石・仙台・小牛田・一ノ関

(常磐線)原ノ町 

(仙台支社ニュースリリースより引用)

さらにこれで運転間隔を毎時1本に揃えるとしたのでやはりダイヤの改良といえるであろう。

・播但線 普通列車増発
数年前のダイヤ改正でほぼパターンダイヤを確立したものの歯抜けとなっていた13時台をうめあわせることとなった。

<参考>姫路駅 播但線 福崎・寺前方面時刻(抄)
10時 22福 44浜 52寺
11時 22福 52寺
12時 22寺 52寺
13時 25香 29福 52寺
14時 22福 52寺
赤字=特急はまかぜ(浜=浜坂、香=香住) 黒字=普通(福=福崎、寺=寺前)
太字部が新規設定の列車

・北近畿地区 快速列車の各停化
播但、山陰、舞鶴各線は普通列車(約毎時1本の運転)にうち快速列車として利用者の非常に少ない駅を飛ばしていたがそれをもとに復することとなった。

・JR九州/JR北海道/JR西日本 特急列車の臨時化、減便
JR九州は特急列車の号数を振り直し、JR北海道の石北本線、宗谷本線特急は旭川始発のものを曜日ごとの運休とした。JR西日本は運休ということにしておいて番号をそのままにしてあるものが大半である。となればJR西日本はすぐにでも元に戻せるようにとの意図が非常に強いのではないだろうか。

・JR西日本 通勤特急の改善
関空特急はるかの滋賀県区間への本数を増やすことになった(ただし米原発着は0本になる)。南草津駅にも特急が止まるようになる。滋賀県内利用者1位の駅なのに特急がすべて通過していた状態をこれでようやく解消することになった。
らくラクはりま号は新快速の止まらない大久保駅に停車することになった。これまたなんでや…と突っ込みたくなるがそこそこ利用者の多い大久保から1駅で西明石へそこから新快速へ乗り換えとなれば混雑が多い、ならちょっとでもましにしよう…ということであろうか。

・JR西日本 普通列車大減便
一方JR西日本普通列車に対して非常に厳しい改正となった。近畿地区は言わずもがなであるが、一層恐ろしいのは広島地区である。
山陽線の白市-三原間は毎時2本から1本に減便。おそらく今回のダイヤ改正で一番の減便率となった。山口地区の普通列車(山陰線・山陽線)でも3割~4割程度の減便となった。
さらに山陽本線の快速列車(シティライナー・サンライナー)は半分以下の設定となった。仕方ないといえばそうではあるが…
最終電車の繰り上げも、近畿エリアは予告通り30分程度であったが、広島エリアは40分~100分の繰り上げとなる区間も多数ある。となればもはや最終列車の繰り上げというより大減便と言わざるを得ないだろう。

<まとめ>
この記事ではダイヤ改正のポイントの中でも特に注目した点を取り上げた。減便ばかりではなく、一部ではあるが増発や利用しやすいように改善された面もあることは目を向けるに値するだろう。