万博無事に終わる 中央線加算運賃収入を推定する

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【17時更新】HPの更新に合わせました

さて、2025年日本国際博覧会、要は夢洲で開催されていた万博は2025年10月13日無事に終了した。一部で10月14日以降も続いているという集団幻覚を引き起こしているようだが、それはひとまず置いておこう。

さて、万博に際して開業したOsaka Metro中央線のコスモスクエア~夢洲間には加算運賃90円(通勤定期3370円)が加算されている。この収入について推定を働かせておこう。いろいろ推計が面倒くさい(10月13日までのうち、万博開催前12日間をどうするとか)ので、2025年度末時点までで推計してみようと思う。なお、Twitterにあげたものと若干異なるかもしれない。

どこまでが駅名標なのかわからない夢洲駅

前提条件

まず、2024年度(1月19日開業から3月31日までの71日間)についてはその状況がすでに公開されている(Osaka Metro公式HP)。これによれば、

・A設備投資額は4915百万円
・B2024年度に第二種鉄道事業者であるOTSに支払った施設使用料は142百万円。これは、運輸審議会資料に記載の年額740百万円を71/365倍しているものである(国交省HP)。OTSの20年間累積収支がトントンとなる額を基準とした使用料で、Osaka Metroの受益額を基礎としているわけではなさそうである。Osaka Metroの累積収支は2043年度には黒字転換するということになっている。

・C加算運賃収入は71百万円
・D基本運賃収入からの回収額、つまり鉄道事業の黒字額(一定の条件をおいて推定1)を、基本運賃収入のうち加算区間からの割合をかけた額、は13百万円である。Osaka Metroの2024年度の鉄道事業収支は24070百万円、基本運賃収入(153275百万円)のうち、加算区間からの収入は83百万円なので、これで按分して13百万円となっている。いやそもそも儲かりすぎでしょ

これをもって回収率(C+D) / (A+B) が1.7%となる。

2025年度の推定

というわけで、2025年度を推定してみよう。

●B施設使用料は740百万円。これは先述のとおり。
●C加算運賃収入は
・万博開催期間外(181日間)は2024年度に比例するだろうとして181百万円
・万博開催期間(184日)は夢洲駅の利用者数(=加算運賃区間の利用者数)を基礎に算出できる
Osaka Metroの発表によれば、これは4000万人である。万博協会HPの10月4日までの来場手段別の利用者数推計によれば、1日当たりの夢洲駅経由の来場者数は110,299人(鉄道経由からATC、コスモスクエア、弁天町からのバスを差し引く)であり、これに2と184を掛けると、4059万人となるので、おおむね速報値と符合する(最終盤の積み増しが強く効いていると思われる)。
万博HPによれば、全期間までの来場者数は2902万人で、このうち関係者証(AD証)が344万人である。一般来場者とAD証の比率は7.4:1である。丸めて7:1としておこう。夢洲駅利用者の割合もこれに比例するとすれば、一般来場者3500万人、関係者500万人となる。それぞれ、普通乗車券、定期券(500万人は延べ人数なので、1月定期券を20日=40回使った)として以下算出する。実際、普通乗車券の割合がもう少し高い気がするが、一旦おいておこう。
 非定期:3500万人×90円=3150百万円
 定期 :500万人×3370円÷40回=421百万円
●D基本運賃からの回収は:
・万博期間外は2024年度に日数比例とすれば33百万円
・万博期間中は加算区間に利用が集中しているだろうからざっくり66百万円。どこから乗ってくるかがわからないので、推定のしようがないです。

となれば、以下の通りになります。2025年度末の回収率は67.9%程度となる。

未回収額は1862百万円です。

Osaka Metroからすればちょうどよい回収率であろうと思われる。万一回収率が100%に近づきすぎると、加算運賃を減額・廃止せねばならない(再増額は不可)。しかし施設使用料はOTSに支払い続けることになる。逆に回収率が低いとそれはそれで…ということである。IR開業後は加算運賃収入が1034百万円となるとする運輸審議会資料(鉄道局の推定)があるので、そうすると若干加算運賃を下げる可能性もありそうだけど、あくまでそれはIR開業後のことでしょう。

Osaka-Subway.comさんの推計(万博期間まで)をみると、AD証も関係なく普通券で計算しているため、より高めに出ています。

いずれにせよ、上下分離型新線なので今後も加算運賃でOTSに支払っていくことになります。

  1. 配当所要額が実際の配当額を基にしていないなど、注意が必要 ↩︎