進む富山の鉄路再編、高山線移管構想も浮上
ついこの間JR城端線・氷見線のあいの風とやま鉄道への移管が決まったところであるが、高山線の移管についても検討が進んでいる。
Twitterにある富山新聞の紙面
3案は経営移管・上下分離(富山県市が施設保有)・みなし上下分離(富山県市が施設維持費負担)であり、それぞれについて検討が進んでいる。
正直紙面だけを見ても仕方がないので、過去に出ている情報から推測できる事項等を記載していく。
・高山本線ブラッシュアップ会議 とその基本計画
・高山本線沿線ブラッシュアップ会議
富山市の開く会議で、高山本線ブラッシュアップ会議は、富山県市・JR西の3者によるもの。沿線ブラッシュアップ会議はさらにステークホルダーを増やして、路線バスを運行する富山地鉄も会議体に加わっている。
そもそも高山本線は平成18年度から社会実験での増便があり、その後の増便等々を踏まえれば利用者は持ち直している路線である。また、富山市を南北に貫く路線であり、コンパクトシティの形成のための幹として見ているところである。特に婦中鵜坂・速星駅の利用者が特に増えている。他方で、JR西日本としてはこれ以上の増便等の施策は特に疫病の影響を受けて厳しくなっているところである。
ブラッシュアップ会議としては、特定日の列車乗降調査のほか、シニアむけおでかけきっぷの発売の実施などを行っている。更に令和5年春ダイヤ改正では朝速星発の列車を越中八尾発に延長している。
高山本線ブラッシュアップ会議の総仕上げである基本計画について述べる。同計画の目的は富山市が推進する「公共交通を軸とした拠点集中型のコンパクトなまちづくり」の深化のための方向性を決めることである。
まず高山本線の役割を移動手段・都市構造の骨格・市民生活の質の向上、地域活性化に整理して理解している。上記で述べたアンケート・活性化策を踏まえて、下記のような施策を計画している。すなわち、八尾・婦中・大沢野地域については速星駅をハブとした基幹交通として高山本線を位置づけ、細入地域については笹津駅までのフィーダー化を考えている。
具体的な施策としては増便、ICカードの導入、顔パス乗車の実証、あいの風とやま鉄道線(北陸本線)との直通、折り返し設備の増設、列車増強、二次交通との連携強化、パターンダイヤの実施(八尾地域のコミュニティバスでは実施済)、さらに進んでタクトダイヤの実施、運賃施策(シニアおでかけきっぷ・フィーダーバスの乗り継ぎ運賃化など)、西富山・婦中鵜坂駅のアクセス強化(改札や踏切、跨線橋の増設などが念頭か)
沿線ブラッシュアップ会議は前の会議を発展したものであり、現在議論が進んでいる。地域交通法上の地域公共交通計画の策定が進んでいる。その中で鉄道事業再構築計画、つまり経営移管などの案が浮上したものであろうと思われる。同計画の策定は補助金などの面で有利になると言えるものであるため、検討されているわけである。まだ第1回会議の議事録があるのみのため、今までの会議の整理の面が大きい。
沿線ブラッシュアップ計画については、「「いつでも」「誰でも」「気軽に」都心を往来できる公共交通の実現」を目指しているという(上記基本計画と同じである)。先述したものを除いた施策を言えば
、コミュニティバスのダイヤ変更(越中八尾駅での乗り継ぎ・令和6年度では速星駅からのダイヤ見直し)、笹津からの急行バスの設定(高山線補完)、沿線での人流計測、コミュニティバスの顔パス乗車、駅の拠点化などである。
冒頭で、「3案は経営移管・上下分離(富山県市が施設保有)・みなし上下分離(富山県市が施設維持費負担)であり、それぞれについて検討が進んでいる。」と書いてあるのは、令和5年6月29日の会議での支援制度の説明で出ているところである。高山本線ブラッシュアップ会議は年2回程度開催で、2~3年かけて実施される予定である。そのため今回の報道が出て、近々に会議があるということの予想であろう。ただし、本会議にあいの風とやま鉄道は参加していないことに留意すべきである。
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