京急運賃改定認可 10月から実施へ

2024年4月26日未分類

京急電鉄の運賃改定が認可された。2023年10月1日から改定運賃が実施される。

して、過去にも今回の運賃改定申請について取り上げたことがある。
京急 遠距離で「値下げ申請」 なぜ?
運賃改定であるのに敢えて「値下げ」を申請している箇所があるということである。40kmを超える部分はすべて値下げである。
鉄道運賃は上限認可制で、値下げをしたい場合にはわざわざ上限運賃を引き下げた申請をせずとも、実施運賃の届出をすればよいのに、という話を上記ブログではしていた。

運輸審議会の議事概要と資料を見ると
・制度上では実施運賃の引き下げという形での実施も可能である
・短距離帯と羽田空港アクセスが利用者の全体の9割を占める
(以上、審議1回目概要
・遠距離区間で上限運賃を引き下げない場合に、計算上の収支率が100%を超えると申請そのものでの改定は認められないことになる(※収支率:コストに法人税、事業報酬を含んだ適正な原価に対する収入の割合)
(以上、審議3回目概要
・鉄道局の説明資料(第3回2ページ)に記載の41km以降の上限運賃を変更せず、届出と仮定した場合の試算によれば増収額は3年合計で+936百万円になり、収支率は99.8%になる。
・運賃値下げとなり41km以上の輸送人員の構成比は令和3年度時点で4.2%(通勤は5.2%)。平成20年時点では5.7%(通勤定期は7.4%)
・現行運賃が遠距離逓減制(乗車キロが長いほど1kmあたりの運賃が安くなる運賃設定)でないのは、久里浜線の延伸、三浦半島の沿線開発を実施した結果、建設費の早期回収のために加算運賃設定(平成3年まで)のほか、16km以降につき直線的な価格設定にしていたからである。
・上限運賃を引き下げた理由は、「沿線活性化への取り組みが一過性のものではないという会社の姿勢を明示し、申請した遠距離逓減の考え方を、京浜急行電鉄として正式な運賃として位置付けるため
(以上、鉄道局説明資料
とのことである。

上限運賃を引き下げる敢えて不利な改定を申請した理由は、三浦半島への投資、沿線開発をこれからも中長期的に実施するためであるということが読める。そうそう簡単に値上げをすることができないようにしようという覚悟であるというわけである。(あとは京急にとって41km以上の利用者がそこまで多くないというところもあるのだろう。)
いわゆる「横浜逸走」対策にもなる今回の改定がどれほど奏功するかは、羽田空港需要も大きな要素となっているために、今後の経営状況を見守るしかない。