検索除けと音MADとサジェストと 文化圏の狭間で
この記事を読んでいただくにあたり、二、三書いておく必要がある。
・「こういう類のものを世に出すときは検索除けをすべきだ!」とも「いやそんな検索除けなぞするな!」と言いたいわけではない。
・私は二次創作自体の規制自体が増えても困るけれども、大っぴらにできた方がお互いの創作をより刺激しあえるからよりいい環境になるはずだと思っている立場である
さて少し前置きをしたがこのブログにしては珍しく鉄道の話ではない。音楽をよくYouTubeで聴くのだが、その中でも音MADをよく聞いたりする。特にYouTuberの音源を音ハメし或いは1音づつ切り取ってボカロなどに合わせるものは結構面白い。ネタへの走りやすさもあってかそのような動画は多い。(一応参考例として 【合作】キヨロック )
そんなものをちょくちょく流していたらYouTubeのサジェストでどこかの大学発の知識集団らしき社名のえらく文字化けしたようなタイトルの動画が出てきた。開いてみればどこかで見たことあるようなプロデューサーの顔なども書いてあるし、聞いたことのある声だなあ…でも「実在の人物とは関係ありません」と書いてあるし、いやでも「ご本人様へ迷惑をかけぬよう」ともある、はてこれはいかに
ということで建前を抜きにしてここからは書こう。これはいわゆる検索避けである(よって私が見掛けた当該動画を貼るつもりはない)。Pixiv百科事典の定義曰く、「特定の層向きのイラス卜及び小説がそれらを嫌う人にヒッ卜しないようにするため…普通に検索してもヒッ卜しないように文字を置き換えたりするなどの処置をする。」「人を選ぶ作品だからと考えた投稿者が試みるケ一ス、友人同士がクロ一ズド環境の交流を望むケ一ス…などがある。」「三次元、いわゆるナマモノジャンノレでは昔から叫ばれていることである。」とある。
確かにBLや夢小説などの分野ではこのような文化、というか一種のデファクトスタンダート(マナーとはあまり言いたくない)があることは知っていた。
しかし件の動画は人力ボーカロイドであり、しかもその”某知識集団”を素材にした音MADは普通にある。その種の動画との違いを挙げるとすれば音MADは替え歌や元動画の単純な音ハメなども含むのに対し、件の動画は純粋に歌を歌わせているということくらいである。ここに検索除けをする文化圏と音MADの文化圏の狭間を見て違和感を覚えたわけである。
一旦版権、著作権辺りの問題は置いておこう。それは全ての二次創作で問題になることである。検索除けをすべきと言う理由としては「元ネタの人や意図せずに見た視聴者を不快にさせうるものだ」と言うものが顕著である。まあ確かにそうだ。ただそれを言い出すとどんな創作物でも人を不快にさせうるだろう、杞憂或いは要らぬ配慮だとも思いたくなる(類例としてコスプレ動画などに「オリジナルや創作を含んでいます、ご不快に思われる方はブラウザバックを云々」と書いてあるもの)。そういうことで萎縮効果を生むのは何か違うのではないかと思う。実在の人物を相手にするものだから?でもキャラクターの二次創作でも一緒ではないか?
考え始めるとキリがないのだが、ともかく言いたいのはこのような検索除けや「不快に思われ」文言がマナーや確立されるべきルールなのか?というところで、一歩誤れば単なる自治気取りに堕すところである。このようなことをするかどうかはこの種のコンテンツを作る全ての創作者(二次創作の場合なら二次創作者)がその感性で判断すべきところではないか?と思う次第である。パターナリスティックな規制を一般的な閲覧者全体にしないといけない理由はない(18禁とこの点は大きく異なる)ので、ゾーニングは必須と創作者に強いることは出来ないと思う。
また、いくら検索除けをしようがこのような注意を払おうが、サジェストが軽々とこれらを乗り越えてくるということが別の問題として存在する。媒体によっては表立って表示しない設定もできるが、上で書いたようにYouTubeではそのような設定はない(せいぜい年齢制限をかけるくらい)。この仕様を乗り越えることまで創作者に要求されているとするならかなり酷だと思うのは私だけだろうか。
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