「1両まるまるグリーン車」って最近少なくないか?

2024年4月26日JR各社/三セク国鉄

12:26追記 読者の方より誤りの指摘を受け、訂正いたしました。不正確な情報を記載したことをお詫びいたします。
・E751系が改造を受けて半室グリーン車を設定した旨の記載がありましたが、そのような事実はありませんでした。
・E255系電車を10両編成と表記していましたが、正しくは9両編成です(図も訂正いたしました)
・787系電車のDXグリーンやグリーン個室を半室グリーン車と混同して記載していました。

グリーン車と言えばいにしえの二等車であり、現在もなお特別車としての意義を有するものである。
特に特急列車においてはその花形であり最新技術が反映されるもの…のはずなのだが最近様子がおかしくも思われる。グリーン車が「半室グリーン」として設定される場合が増えているのだ。
このような場合往々にして車両の真ん中に1枚自動扉があるだけでグリーン車単体よりも居住性を損ねている気もするので今回現況を調べてみた次第。
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▲JR四国2600系アンパンマン列車。向かって左が普通車、右がグリーン車。
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▲扉1枚をはさんでいるだけということがわかる。

ひとまず新幹線を見ていこう。

N700S/N700A(16両):8~10号車がグリーン車
N700系(8両):6号車半室グリーン車
700系レールスター:グリーン車なし
500系:グリーン車なし
800系、N700S(6両):グリーン車なし
※N700系(8両),800系,N700S(6両)は指定席を4列シートにしている
E2系(10両):9号車がグリーン車
E3系、E6系:11号車がグリーン車
E5系/H5系:9号車がグリーン車、10号車がグランクラス
E7系、W7系(12両):11号車がグリーン車、12号車がグランクラス

と、山陽・九州新幹線の一部は例外として基本的にはグリーン車があるという認識で間違いないだろう。

次いで在来線を見ていく。が、結構長いのでここに概略を示す。
観光特急には料金確保のためグリーン車にすることがあるのはともかくとして、各社の特徴としては

・JR北海道はそこまで明確な区分けができるわけではないが、長距離輸送を主体とする場合には全室グリーン車を導入したそうである。
・JR東日本は特急の編成長がそもそも長いために、1両グリーン車あるいは基本となっている。
・JR東海は急行型相当の373系を除いて全室グリーン車をつけている。
・JR西日本は6両編成でも半室グリーン車にする傾向にあり、今後1両グリーン車ができる可能性は低い。
・編成の短いJR四国は半室グリーン車のみである。
・JR九州も半室グリーン車しか持っていないが、電車特急にはすべてついている。

なおあくまで形式に着目しているものであることにはご理解頂きたい(つまり運用列車によってはモノクラスであったりすることはあるということである)。

JR北海道
特急すずらん向けの785系及びすずらん・ライラック向け789系電車は5両編成すべてがモノクラスである。789系電車のうち、6両編成は1号車は半室グリーンである。
気動車特急についてはキハ261系にはグリーン車があるが、宗谷・サロベツ向け0番台には半室グリーン車が、とかち・おおぞら・北斗向け1000番台には1両まるまるグリーン車ある。ただ、5000代こと多目的特急車両は当該号車がフリースペースとして作られている。なお、1000番台が今後の都市間特急の主力になるとしている。
かたやオホーツク・大雪に使用されているキハ283系には現在グリーン車がない。

次いでJR東日本。少し雑な書き方になっていることはご容赦願いたい。
現在は日光方面の特急としている253系電車は6両すべて普通車である。
1993-94年製造の255系電車(9両編成)は東京方から数えて4号車にグリーン車がある。
E257系電車は房総方面の500番台等(5両編成)はグリーン車がなく、踊り子に転用された2000番台・5000番台(9両編成)には4号車にグリーン車がある。
成田エクスプレス向けE259系電車(6両編成)は成田空港方の6号車にグリーン車がある。
サフィール踊り子向け車両のE261系電車は8両中食堂車を除いた7両がグリーン車、プレミアムグリーン車である。特急あずさ・かいじ向けE353系電車は基本編成(9両編成)に1両グリーン車がある。
E653系電車は特急いなほ号向け7両編成にはグリーン車があるが、しらゆき向け4両編成にはグリーン車がない。特急つがる号に利用されるE751系(4両編成)には半室グリーン車がある。E657系電車(10両編成)は常磐線特急であり、5号車にグリーン車がある。
少し煩雑なので図を作った。短編成の特急が少ないこともあって、半室のグリーン車が作られた事例は非常に少ない。
図1
▲上記説明を図解したもの

JR東海は最新のHC85系に4両編成に全室グリーン車が併結されている(が、南紀号については併結されない)。383系にも6両編成、4両編成にグリーン車が1両併結され、繁忙期4+6両で運転される場合には2両グリーン車が含まれることもある。他方373系電車はそもそもモノクラスである。
定期運用からは退いたが、キハ85系には半室グリーン車もあった。

JR西日本
を見てみよう。サンライズ号285系電車や87系などはともかく置いておく
サンダーバード・しらさぎに使われる681・683系電車は、9両編成・6両編成の列車は1号車にグリーン車がある。増結用の3両編成はすべて普通席である。他方、これを改造し直流化した289系(4両編成・6両編成)は半室グリーン車化改造を施している。これはもとより北近畿方面の特急及びくろしおに使われていた287系電車も同様である(いずれも附属編成である3両編成はすべて普通車)。
くろしおは289系、287系は先述の通り6両編成の1号車が半室グリーン車であるが、オーシャンアローこと283系電車は1号車がグリーン車である。
特急はるか号の281系電車も基本6両編成の1号車がグリーン車、3両編成の附属編成(271系含む)が普通車モノクラスである。
現在唯一の国鉄型特急電車である381系やくも号は基本4両
編成(増結で6~9両になる)中、1号車がグリーン車であるものの、置き換えとなる273系特急電車(4両編成)はどうやらグループ向け座席を置く都合で半室グリーン車になる可能性がある。
気動車特急に目を向けると、キハ187系・キハ189系ともにモノクラス特急である。また、JR保有の車両ではないはくと向けHOT7000系も5両編成中4号車に半室グリーン車がある。
こうやって見てみるとJR西日本が1両まるまるグリーン車を作ったのは683系が最後ということになりそうである(天地などの臨時列車は措いておこう)。

JR四国はどうか。
電車特急である8000系はL編成の松山方1両目が半室グリーン車である(3両編成のS編成はモノクラス)。8600系も3両編成の一部に半室グリーン車がある。
気動車に目を向ければ、現在特急剣山等に使われるキハ185系はすでにグリーン車はない。宇和海・あしずりに使われる2000系も同様である。特急うずしおに運用される2600系はもとより2両編成モノクラスである。南風など広汎に用いられる2700系は岡山・高松方最後尾に半室グリーン車がある。
そもそも6両以上の長編成が組まれにくいために、1両をグリーン車にする必要がないのだろう(また自由席中心の座席配置も関係しているかもしれない)。

最後にJR九州。D&Sで、性質を異にする場合には記載しない。
ハイパーサルーンこと783系電車は、主に佐世保線特急に運用されている4両編成の電車だが、各車両をA室B室に区分けし柔軟な座席設定を施している。そして半室がグリーン車である。ただ車両中央に扉があることからして、一般的な半室グリーン車よりは居住性が担保されているといえよう。
787系電車はリレーかもめ、かささぎなどで利用されている8両編成はDXグリーン及びグリーン個室を備えている。にちりんなどの6両編成もDXグリーンを配置しているが、何れも1両全てがグリーン車である。他方で、ワンマン改造された4両編成にも半室グリーン車がある(こちらは一般的は半室グリーン車である)。
青いソニックこと883系は7両編成中大分方1号車半室がグリーン車である。白いソニック(たまに白いみどり)こと885系6両編成も同様に半室がグリーン車である。
気動車特急に目を向けてみれば、ゆふいんの森のキハ71系、あそぼーい!の183系、豊肥・久大線特急185系はすべてモノクラスである。