鉄道事業法関係の省令が改正

2024年4月26日未分類

鉄道事業法関係のことがらは国土交通大臣に申請・届出をする必要があるだが、一部については各地方運輸局長に委任されている(鉄道事業法施行規則71条)。
届出の受理を委任するものや、許認可の権限まで委任するものがある。
そのうち71条5号の2、及び同条6号で「年間の旅客の運賃及び料金の収入額又は収入予想額(中略)百億円を基準として国土交通大臣が告示で定める鉄道事業者」の「鉄道線路使用条件」「旅客運賃等」の許認可が地方運輸局長に委任されている。
(※運賃以外、JRの運賃・特急料金以外は届出事項で認可事項ではない)

これが委任されるとどうなるかというと、①大臣権限分だと許認可の前に運輸審議会の諮問をかけることになり、詳細な資料が出てくるが、地方運輸局長の場合だと詳細な資料が出てこない、②パブリックコメントなどは行われるものの、③公聴会が実施されるわけではない、④他方で許認可が早いということになる。
鉄道会社にとっては④がメリットだが、鉄道趣味をする人からすると①がデメリットである。

さて、この上に書いた文面はもともと「収入予想額(中略)三十億円」となっていた。
鉄道事業法施行規則及び軌道法施行規則の一部を改正する省令案 

今後の運賃改定においては、…運輸関係の事務を総合的かつ一元的に所掌しており、また、これらの事業間の総合調整に関する事務も担当している地方運輸局長への委任権限を拡充する必要がある。
というのが理由である。

そこでパブリックコメントを経て今回、2023年3月17日に告示が出た(参照:令和5年3月17日発行官報号外53号116ページ~118ページ)。富士急行の社名変更(富士山麓電気鉄道株式会社へ)や、富山ライトレールの合併も反映されている(前回改正は令和元年だった)。
新たに権限が委任された会社は以下の通り
・埼玉高速鉄道株式会社
・千葉都市モノレール株式会社
・株式会社舞浜リゾートライン
・株式会社横浜シーサイドライン
・株式会社ハピラインふくい
・伊豆急行株式会社
・愛知環状鉄道株式会社
・泉北高速鉄道株式会社
・北大阪急行株式会社
・神戸電鉄株式会社
・神戸新交通株式会社
・広島電鉄株式会社
・広島高速交通株式会社
これまで112社(市も含む)だったところ、+13-2(ライトレールと北神)で123社が委任となった。これ以外といえはJR6社と(準)大手私鉄、地下鉄くらいしか残らない。

個人的に注目しているのは北大阪急行で、2017年の運賃改定のときに運輸審議会で審理されているものが残っているからなあ…今後その情報が出てこなくなるのか…と少しだけ残念である。
運輸審議会 諮問関係事案の審議状況(平成29年)