北陸本線の移管ダイヤを予想する【福井篇】

2024年4月26日JR各社/三セク国鉄

2024年春移管・開業予定のハピラインふくい。その開業ダイヤをみていく。今回は福井県編。

参照するのは各社の在来線経営計画(執筆時において石川県のものは案)である。実は結構毛色が違う。まず、ダイヤ編成について、福井県は「増便を検討する。「福井・金沢間」の増便についても、今後、IRと調整を進める。」である一方で、石川県は「普通列車の運行本数は現行本数を維持することを 基本として」「る。福井県境を跨ぐ運行本数は、現行の普通列車の運行本数を基本とし、具体的なダイヤ等については、ハピラインふくいと協議を進める。」となっている。

福井県はかなり意欲的で、総論的な書き方で、「本線の運営に際しては、西日本旅客鉄道株式会社(以下、「JR」と記載)の広域的な経営の一部から分離(以下、「経営分離」と記載)されることを好機と捉え、以下の方針で取り組む。」としている。本当に前向きである。

福井県の輸送状況は以下の通りである。輸送密度は普通電車のみについて5,600人としている。また、当然ながら福井駅周辺が輸送密度が高い。またこのままいけば10年後には10パーセント程度の利用減があると需要予測を立てている。これを利用促進で維持しようとするものである。

福井県区間の増便の検討は以下の通り。朝夕は武生ー福井、福井ー芦原温泉を中心に増便を実施。武生ー福井は昼間も増便をする。朝夕に敦賀ー福井間に2往復づつ快速列車を運行する。
またできる限りパターンダイヤを形成するとしている。また、快速列車はJR特急や新快速との接続を意識するとし、10分程度の時間短縮を図り特急に準じる運行としている(停車駅数等を考えると矛盾した言説にも見える)。
想定増便本数は以下の通り
敦賀ー武生:+9本(普通1、快速8)
武生ー福井:+22本(普通14、快速8)
福井ー芦原:+5本
県境区間:0本(「相互乗り入れ実施、快速や増便の検討を含めIRと調整」)
まずは現行ダイヤを見ていこう。

時間帯ごとの増発本数を見ると
6~8時台:福井駅発列車を+7本(普通3、快速4)
17~20時台:+4本(快速4)
その点から見るに、福井ー芦原温泉間は朝ラッシュの増発が主体とみてよいだろう。
武生ー福井間の昼間毎時1本の時間帯を埋めるのに12本、残りはラッシュに回されるだろうから武生発18時台以降は普通電車の増発はほぼなさそうと言える。

他方で、乗車率の低い列車を見直すとしている。これは、「貨物線路使用料の確保に努める」とあるが、これはアボイダブルコストルール、つまりJR貨物の列車が通るために維持せねばならぬ分についてはJR貨物が三セク各社に支払うというものである。

次に駅設備を見ていくと、切符の販売は近距離券については今まで通りに近い形だが、有人駅でかつ新幹線が並置されないことろ、つまり鯖江と芦原温泉で、委託駅の計7駅で発売が継続されるかは検討中である(あいの風とやま鉄道は一部みどりの窓口が廃止となっている)。JRの新幹線とのセットや、福井鉄道、えちぜん鉄道との提携切符の発売もあり得るだろうとのころである。
駅の有人、無人に関しては敦賀・武生・鯖江・福井・芦原温泉が有人駅、今庄・南条・森田・春江・丸岡が委託駅である(大聖寺はIR管轄)。一応この体制を維持する予定である。

敦賀駅はJR所有のままで在来線側にハピラインの窓口がおかれる。今の金沢駅の体制に近いといえる。
新駅設置は3か所で検討している。高岡やぶなみ駅の例に倣い新駅設置の予定は開業3年後あたりが目安とされている。開業前に詳細設置の実施ができればこれより早まる。

車両は運行上必要な16編成(うち予備2編成)を保有する。このほかに観光列車を導入(書きぶりを見るに521系改造ではなさそうである)を検討している。車庫は一旦は敦賀駅、のちに南福井駅のスペースを活用する可能性も考えている。観光列車は小浜線、越美北線への乗り入れをJRとの協議を進めるとしている。

運賃は先行三セクの例による。すなわち、おおよそ普通運賃にかんして1.15倍程度、通学定期は1.05倍程度となるようにし、6年目以降は値上げを検討する。また、大聖寺を跨ぐ場合にはIRと共に乗継割引を行うことになる。この運賃水準は富山、石川に比して高めとなっている。

以上のところが福井県の並行在来線に関する方針(の利用者関係)である。おそらくここから選択と集中がより進んでいくだろうと考えている。その辺りの方針は今後の注目ということでとっておこう。