路面電車/LRT開業、延伸の展望は? 【金沢、札幌、岡山など】

2024年6月11日未分類

2023年8月26日、実に現万葉線以来75年ぶりとなる新設の路面電車、宇都宮LRTが開業。過去に当ブログでも2021年11月に他の都市について展望を扱ったりしていたのだが、その続きを見たい。2年前のブログの体裁も少し今と違うなあと思いながら加筆しています。
2年ほど経って、前に進んだもの、夢やぶれたもの、忘れ去られたものと様々である。

札幌市

※2015年12月札幌市電環状化、利用者が1日辺り2000人増

札幌市電の延伸、現時点で黒字化は困難…融雪対策の整備やランニングコストなどがネックに
現在は環状線の運転となっているが、2022年度中に延伸の可否を検討する。
札幌駅前、苗穂駅前、桑園方面が延伸の候補となっている。

と2021年11月時点では調べていたのだが、2023年3月15日、札幌市は検討結果を明らかにしている。
札幌市路面電車延伸検討結果について
検討方面は桑園地域、都心地域(札幌駅方面)、創生川以東地域(苗穂駅側へ)で、道路支障なども踏まえて、各3ルートずつ検討。最終的に30年後も単年度赤字が解消する見通しが立たず、「路面電車の延伸を行うことは極めて困難である」との結論を得ている。

函館市

函館市電に延伸構想、「民営化1年」空港アクセスの胎動
東端の湯の川電停から函館空港までの延伸が出ている。函館空港の民営化もあったためかなり前途が拡がっていると言えよう。

今のところ、函館市も消極的な見解を示すにとどまっており、少なくとも機運が醸成されているわけではない。

宇都宮市・芳賀町

宇都宮ライトレール株式会社
先に挙げた宇都宮市LRT。現状宇都宮市の東側への整備が進んでいるが、駅の西側に延伸が検討されている。なお、栃木県真岡市もLRT延伸に関して調査費を計上している。

2023年8月26日開業の宇都宮~芳賀・高根沢工業団地間14.6kmは現状暫定ダイヤで、今後快速運転、増便が行われる予定である。
宇都宮市から西側の延伸については、より具体的な計画が出ており、宇都宮駅は駅北側を超えて西側に高架区間が伸びる。その先、東武宇都宮駅附近を経由し、教育会館附近までの5kmは整備区間、その先大谷街道を通って、観光エリアまでが検討区間である。整備区間については、2024年に軌道事業特許申請、2026年に工事開始、2030年代前半に開業という目標が立っている。検討区間はその後ということになるだろう。
真岡市の予算については、2021年度予算を見ると確かにLRT調査費650万円が計上されているが、2022年度予算をみてもその記載はない。結局立ち消えとみるのが良いだろう(当初予算について(真岡市))。

金沢市

新しい交通システムについて
北陸鉄道野町駅から金沢駅を通って金沢港へ至るBRTないしLRTの整備が適当との提言が出ている。

などと書いているが、そもそも北陸鉄道、特に石川線のほうはBRT化すら検討するような状態であった。結局存続が望ましいという結論となったわけだが、中長期的な検討として野町駅から香林坊方面、そして西金沢駅から北陸本線(現在)への直通運転も俎上にあるという次第である(石川中央都市圏地域公共交通計画)。この点では特段LRTという話は出てこない。

岡山市

岡山市路面電車ネットワーク計画
現在岡山駅前広場への岡山電気軌道の延伸工事が行われているが、2020年2月、岡山市は路面電車のネットワークを検討している。
計画ではまず清輝橋線と東山線をバイパスする0.6kmの整備が優先課題となっているが、後楽園や岡山城、大学、高校、市役所へ向けての総計6km程度の路線が提案されている。

岡山電気軌道の岡山駅前乗り入れの工事は延期が続き2025年度開業目標になっている(岡山市HP)。上記ネットワーク計画や、吉備線LRTについても全てストップしているのが現状のようである。

広島市

【広島電鉄株式会社からの軌道事業の特許申請(軌道延伸)事案】
広島駅前への乗り入れ方法が変更になる。比治山下~稲荷町~広島駅前が新設となり、現広島駅~的場町が廃止となる。2025年度の開業予定。

JR広島駅2階に市電乗り場が乗り入れる計画、2025年春の開業予定も変わらずである(広島市HP)。
また、直接LRTと言うわけではないが、アストラムライン延伸についても、西広島駅への延伸計画があり(HP)、2023年度中の軌道特許申請の報道もある(中国新聞)。

松山市

幹線道路・路面電車計画
大手町から松山環状線の700mの延伸が計画されている。『「将来は松山空港まで・・・」という大きな夢も描け、

』とあることから空港延伸はまだ夢物語である。なおこれは松山駅高架化が前提の計画である。

大手町~松山環状線延伸の軌道特許申請の報道もない。計画の前提とされている松山駅の高架化についても、半年程度の遅れが見込まれているため、幸先不安である(日経)。

長崎市

路面電車の南部延伸計画 長崎港2バース化で、長崎県受け入れに条件 混雑解消へ「短絡ルート」、県は「分岐追加」案
大浦海岸から松が枝埠頭への延伸を長崎県が計画しているが、長崎電気軌道は思案している状態である。

上のリンクは長崎新聞であるが、長崎県のHPにも、「長崎市中心部の交通結節等検討会議」として記載がある(参考として長崎市のHPのリンクも載せておく)。松が枝埠頭に総合ターミナルを作るという前提もあるし、長崎駅に西九州新幹線が来る前ということも念頭に置いて計画を見なければならない。

熊本市

第1回基幹公共交通・第1回バス路線網再編 合同部会(参考資料3:市電延伸の概要について)
健軍町~市民病院までの1.5km延伸が優先整備となっているほか、そのほか4方向総計18kmの延伸構想が市によって策定されている。

いわゆる自衛隊ルートについては、2023年7月に議論が再開され、健軍町~新電停まで1区間を単線化するという案が出ている(日刊建設工業新聞熊本市HP)。早ければ2029年度開業も見込まれるとしている。また、10月10日には市HPでアンケートも始まっている。そのほかの4方面については今のところ進捗がないといってよいだろう。

鹿児島市

路面電車観光路線基本計画策定委員会(平成30年度~)
2020年に路面電車に関し、観光路線の想定ルート4つについて具体的な検討が行われた。
ここからルート案の評価を行い事業化への準備が行われることになる。

ここに書いてあるルート案の評価については、上記リンクの委員会第2回が最後になっている。結局特に動きはない。