2021年春ダイヤ改正とICOCAエリアの話
12月ともなれば大晦日の終夜運転の話とともに年度末のダイヤ改正予告が行われる。今回はその中でも列車の増強あるいは見直しではなく、JR西日本のICOCAエリアについて考察したい
この改正でICOCAエリアが急拡大を見せる。具体的な区間は
・福知山線 篠山口から福知山
・山陰線 園部から胡麻と胡麻から城崎温泉までの特急停車駅
・舞鶴線の特急停車駅
・播但線 寺前から和田山までの特急停車駅
・七尾線 全線
・関西線 加茂から亀山
・紀勢線 紀伊田辺から新宮(特急停車駅には導入済)
・伯備線 備中高梁から新見(新見駅には導入済)
となる。にしてもいきなりの急拡大…個々に見ていく。
①北近畿エリア(福知山線・山陰線・舞鶴線・播但線) 2019/7/9ニュースリリースにて
山陰線(嵯峨野線)と福知山線(宝塚線)は2003年のICOCAサービス開始以来のエリア拡大となる。園部(今回導入されるのは隣の船岡から)から胡麻までの各駅は定期券も利用できるようにしているのは恐らく第一に園部発胡麻行き列車があるのでそこでの区切りをつけること、第二に朝晩の特急停車駅である日吉駅や鍼灸大学前駅(読んで字のごとく大学が目の前にあるが現在の名前は明治国際医療大学らしい…)があること、第三に胡麻より向こうに快速(快くは速くないと揶揄されることもある利用者僅少の駅を通過する列車)が停車しない駅が控えていることを念頭に置いているからであろう。
そしてその他の区間は特急停車駅のみの導入、定期券導入見送りとなったが、伯備線や紀勢線同様に今後の全駅導入を見据えてのことにはなるだろう。その際、こと播但線の非電化区間においてはICカードリーダーを車載することも考えられよう。
②七尾線 2019/9/10ニュースリリースにて
第三セクターに移管された旧北陸本線(IRいしかわ鉄道)、そして北陸本線と導入されてついに導入となるわけだが、この際に521系車両を導入(国鉄型同様北陸本線は青に対し七尾線は茜色となっている)し、ICカード読み取り機を車載することとなった。これは境線に続く導入事例(後述するが関西線も同様である)となる。もちろん特急停車駅などには改札にも設置するとしている。ただ七尾ー和倉温泉間はのと鉄道との重複区間で、注釈には「※注釈:七尾~和倉温泉駅間の、のと鉄道の普通列車ではICサービスをご利用になれません。」とあるので和倉温泉駅に果たして導入されるかが分かりづらいところではある。
③関西線 2020/2/26ニュースリリースにて
国有化される前の関西鉄道の本線であったから関西本線と名付けられたものの、大阪・中京の文化圏のはざまで利用者が少なくなってしまった区間である加茂ー亀山間にもICOCAを導入することになった。この区間は軽快気動車キハ120系での運転となっていて恐らく老朽化に対するリフレッシュ改造とともにICカード読み取り機を車載してということになるのだろう。
ここで注目したいのは亀山駅である。亀山駅はJR東海の管轄で、2019年に四日市側からのTOICAエリアに含まれている。
となるとこの自動改札機でICOCAも対応させるのか、キハ120車内で精算したカードを有人改札で見せるのかが今後注目される。(このことは東海道本線米原駅でも同じことがいえよう)
更に亀山駅をまたいだIC定期券が発売されるものの、通常の利用ではICカードで亀山駅をまたぐことはできないことも決定している。
④伯備線 2020/8/26ニュースリリースにて
2007年に岡山エリアでICOCAが利用できるようになった際に倉敷から備中高梁まで利用できるようになった伯備線。第二弾として2016年に新見・生山・根雨・伯耆大山の特急やくも号停車でも利用できるようになったが、岡山県北の主要駅である新見駅は当時のエリア区分でも山陰エリア(現在はエリア制限を廃止している)となり、IC定期券の利用もできなかった。これが今回倉敷・岡山方面へのIC定期券が利用可能となる。
新見駅の運賃表(2017年8月)。ICOCA利用可能駅が通常の水色で塗りつぶしではなく、水色の線で囲んでいるだけである。
結びに、2016年を境に急に積極的な拡大をみたICOCAエリア。2022年春にも南岩国から徳山までの利用拡大が決定している。ただ今のところ都市圏エリアから利用がある程度見込まれてる区間(都市圏区間に対する和歌山線などのローカル線)への拡大とのみなっているためまだいわゆるローカル線(岩徳線や越美北線)への拡大は行われていない。利便性と需要の均衡がとれる場所の模索はこれからもしばらく続くことになりそうだ。
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