『JTB時刻表』を読んで 【読書感想文?】

2024年7月11日未分類

※きっかけ
TwitterのFF:普段小説読まないから読書感想文の素材に困る
私:芥川とか青空文庫で探して読んだら?
FF:そこから抜き出して文章にするのが難しい
私:じゃあJTB時刻表で読書感想文
FF:どうすんの…
私:がんばるの
FF:がんばる…?

というわけでちまちま集中力が続く限り1週間かけて書きました。2万字近く書いてたようですがその大半が内容の要約になってしまったような気がします。最後の2段落が実質的な感想文になってる気もします(それでも1200字あるので一般的な読書感想文の字数には足りうるはずです)。なので最後の2段落だけでもいいので読んでください。また私情が入りすぎているようにも思うし、駄文だと思います。それも全て最初に書きだしたときにペースを間違えたからですね。

というわけでどうぞ。

『JTB時刻表』を読んで

旅するマネージャー

 鉄道で旅をするに欠かせない時刻表今一度精読しようと思う。

 普段漫然と見ることが多いのだが、その構成や書かれ方、本文に含まれる(いわば)文章術にまで注目してみることがなかったのでそのような貴重な機会になると思われる。ただ、本式の時刻表であれば各地域の路線から注目に値する路線を取り上げ特集を組んでいる一方、手元にある『小さな時刻表』が季刊であるためにその分が省略されている。

 故にまず最初には特急路線図が来るわけだが、いかに今の特急網が偏在的に拡大しているかを物語っている。すなわち特急街道となる長崎本線、日豊本線、山陰本線、北陸本線、中央東線、総武本線には複数系統の特急が運転されているのに対し、新幹線が普及している地区には当然並行する特急が少なく、それによって分断された在来線網、具体的には日本海縦貫線の北側などが手薄になっていると言えることである。また特急列車はJRの特権ではない。私鉄列車の中にも有料特急が多数運転されていることがよくわかる。ただ、あくまで私鉄はこの時刻表においては副次的な扱いであるから細字になっている。それでも目立つのは近鉄線がJRの特急網を多いに補完していることである。むしろ近鉄の存在がこの地域でのJRの戦略を変えていると言えるだろう。

 次をめくると各地域の路線図が来る。国鉄時代に分類された幹線と地方交通線が明瞭に区別して書かれている。また第三セクター線は黒細字、単なる私鉄線は青細字と国鉄と民鉄の区別が今もなお残っていることを感じさせる。またみどりの窓口が設置されている駅は緑色で表記されるが、指定席券売機のみがおかれている路線はピンク色となっている。その意識で見るとJR西日本のほうがJR東日本より都心部で緑色表記の色が多いように思う。山手線内にもピンク色表記がある一方で、関西はまだまだみどりの窓口が置かれているように見えるが、みどりの券売機プラスという微妙な区分がこの差を明瞭づけているように思う。すなわちみどりの窓口と同様通学定期などを買える券売機というその辺りの区分が行われているようにも考えられる。例えば栗東駅や膳所駅のようにみどり窓口が廃止されている駅もさもみどりの窓口があるように書かれているわけで、実際駅ではみどりの券売機プラスを使うことになる。このようにJRが一枚岩ではない部分は路線図からも現れているといえよう。北海道の路線図を見てみるとかなり鉄道だけでは路線網として衰退しつつあることが分かる。いわば骨格だけが残っていてバスがその補完をしているような書かれ方に見える。ただ実質がそのようなものとも思えない。また、三大都市圏の路線図にも特徴があると言える。中京圏が名古屋を中心とした放射状になっていることが際立つものと思われる。

 さて本文に入る。まずは新幹線の時刻表であるが、東海道山陽新幹線の運行本数は凄まじいものであり、3分で東京大阪間550kmもの遠距離間を結ぶ列車が連続して運転されているのは日本の鉄道が旅客中心であることを象徴するものであると言える。そのせいで横浜名古屋間の駅駅がさも閑散としているかのように見えるがそれでも30分に1本は高速鉄道列車が停車するのだからやはり多いと言える。山陽新幹線になるとその本数は半分ほどに減ると減ると言えるものの、太平洋ベルト地帯、瀬戸内海の旅客需要が大きいことをまざまざと物語っている。そのほかの新幹線、すなわり九州、東北北海道、上越、北陸各新幹線は東海道山陽のそれに比べれば本数はかなり少ない。専用線を持っている鉄道として贅沢な使い方であると言えることもある。特に北海道新幹線では(青函トンネルが貨物併用であることもあるだろうが)そのことが顕著であるともいえよう。

 そこから先には在来線特急が時刻表を列挙している。その順序はまずはおおむね北から順に南下するようになっている。もちろんある程度国鉄時代からの”本線”のまとまりを意識しているようにも感じられる。例えば特急くろしお号の次に北近畿各線の特急、ついではまかぜやいなば、やくもといった山陰本線の特急が並ぶようなところがあった。そしてこの順序に関わらず寝台特急は最後に書かれている。しかし、現在はサンライズ号が1往復あるのみで、紙面も多く割かれていない。現在の特急の置かれている役割がここから垣間見えているように思われる。

 ようやくこの先から本文となるが、その順序は北から順番ではなくまず東海道本線、山陽本線から始まる。そこから南に下る分にはおおむね同様であるが、その後四国、九州と行き北陸本線や中央本線から東北方面と北から上り最後は北海道へと至る。その順序がある程度伝統にのっとっているように思われるが、四国と九州の各線の間に山陰本線と福知山線が挟まっているなど慣れていないと路線図を頼らないとわからない、ただ路線図も多くの情報があるというのが実情でますます時間がかかる、時刻表が使いにくいとなるのかもしれない。ただある程度の目安のツメが付けられているのでざっと見ていけばわからないこともないと言えよう。

 また昔の時刻表に比して細かく区間が分けられている印象である。東海道山陽線と取れば熱海まで、米原まで、岡山まで、岩国まで、小倉までと分けられている。これは1964年の時刻表での豊橋まで、神戸まで、(京都から)広島まで、門司までという分け方、更に当時の時刻表が一旦下りまで行ってから東京に戻るという構成なのに対し、今の時刻表は上り下りを区間ごとに近接して書いてあることから、現在在来線は、こと東海道山陽線という新幹線と並行する路線は近距離利用がメインであると言えよう。ただ大阪方であれば東海道山陽線が直通していてそれが連続して書かれているのに対し、東京口は現在東北本線と高頻度で直通を受けているのになお伝統にのっとり東海道本線と東北本線は遠く離れたページに書かれている。この辺りは長距離利用の想定が残っているともいえる。もう一つ不思議なのは東海地区の東海道本線が熱海米原の下り、米原熱海の上りと書かれているということである。実際の運行系統で言えば豊橋、ないし浜松でほぼ分割され、豊橋より東方は各駅停車主体、西方は名鉄との競合により快速主体となっていることから、この区間が熱海豊橋、豊橋熱海の上り下りページ、豊橋米原、米原豊橋の上り下りページとならないのは何か理由があるのだろうか。そこまでして紙面を節約しようとまでは考えていないのだろう。また路線図に忠実であることの証左もこの東海道本線東海地区のページにある。大垣ー関ケ原間の上り特急列車に関して垂井駅には通過のレ印ではなく他線経由の=で表記されていることだ。実際の利用者からしてもそこまで気にすることではないのだろうが、やはりこの緻密さが時刻表の醍醐味の一端を担っていると言えるだろう。

 山陽本線と総武快速線の間に湘南新宿ラインが挟まっているのは、察するに横須賀線との関連性が深いことからで、総武線は横須賀線と直通しているからやはりこの流れもスムーズに感じる。房総各線がそれぞれ書かれ、内房線と外房線が直通しているのにバラバラに書かれていることも気になりつつそれをやり過ごすとその後にようやく御殿場線、東海道の旧線が来る。御殿場線は小田急と特急の直通が行われ主要駅時刻が書かれているし、続く伊東線も伊豆急行の各駅が書かれている。路線図では第三セクターと明確に区別されているとしてもその直通の重要性を鑑みて書く書かないを決めているようである。そう考えると特急踊り子が直通する伊豆箱根鉄道も書かれても良さそうではあるが、なぜか線内の停車駅を注記する形に留められている。その辺りの一体性の考慮、特に伊豆箱根鉄道は東海道本線三島からの直通だから可読性も考慮されているのであろう。

 その後続くは身延線、飯田線だがこの2線は運転密度が区間によって大きく異なる路線で、飯田線に関しては紙面真ん中がスカスカである。ここをあえて分けずに全線を通しで書いているのは東海道本線ほど駅数が多くなくあえて分けることにより可読性を下げる、そこまでして紙面を減らすまでもないという判断であろうか。東海道本線と中央本線を結ぶ路線であり、その路線網としての立ち位置はいまだ重要なものであろう。

 続いて書かれるのは関西本線と紀勢本線である。この2線はJR西日本、東海の2社で分割されているために単純に関西本線、次いで紀勢本線という書かれ方ではない。関西本線はまず名古屋方は快速みえ号との繋がりから紀勢本線、参宮線が併記され次いで紀勢本線のJR東海区間、関西本線のJR西日本区間(電化、非電化でバラされている)、阪和線、奈良線、きのくに線(紀勢本線のJR西日本区間)となっている。この両線が名阪間をつなぐ路線でありながら、今や都市圏の地方鉄道としての役割を、また近鉄線との競合区間としての役割と果たすことがメインになっていると言える。阪和線と奈良線の順序が逆にも思われるがそこについて特に考察可能な要素が思いつかない。名伊間は快速みえが運行する一方、そこから外れる四日市亀山間、亀山津間もそれなりの本数があると言える。大和路線、阪和線がJR西日本のアーバンネットワークの各翼をなし、きのくに線も一定程度の頻繁運転をしている。他方でいわゆるシティ電車化から取り残された区間もある。具体的には関西本線の加茂亀山間、紀勢本線の紀伊田辺新宮間、新宮多気間である。前者は毎時1本あり両電化区間と連綿としているが、紀勢本線の特に新宮多気間はいわゆる閑散線区でパターンも形成されていない。これら路線が全国に幹線網を作るということからできたものである一方で、現在の鉄道の在り方とは異なると言えよう。この都市交通としての鉄道と全国あまねくあるべきインフラとしての鉄道の狭間の問題は全国各所で見受けられる。

さて隙間に書かれていた赤坂支線、武豊線、草津線、信楽鉄道線を飛ばしていた。できる限り本線に近いところに書こうと、かつ隙間なく書こうとする意図が見える。あくまで可読性を保つために一定程度独立した路線で比較的短距離だから出来ることであろう。(なお武豊線、草津線はそれぞれ東海道本線と朝夕に直通しているがやや離れたページでも問題ないと判断した、あるいはそうせざるを得なかったのだろう)

 ここからJR西日本の中国地方各線の時刻表が列挙されている。姫新線と芸備線の三次までの時刻が書かれているのだが、姫新線の姫路方はともかくそのほかの線区はやはりシティ電車(列車)化から取り残された線区であると言えよう。利用者が少ないから本数が減ったのか、本数は昔から変わらず利用者が減って両数などの効率化を迫られ(そしてなお減少に耐えられず本数が減っ)たのかはよくよく考えなければならない。新幹線以外が近距離輸送主体になった時点でその変革についていけなかった線区ともいえるが、姫新線姫路方のように高速化事業によって救われた線区もある。その点姫新線を乗りとおすのはJRの実情を垣間見るに丁度良い路線なのだろうと時刻表を見てやはり思った。その次のページは加古川線である。加古川線も西脇市を境に大きく本数が異なることで有名で、西脇市より南側は毎時1本間隔が維持される一方、それより北側というのは1日に10本もない。これが関西の路線の一部をなしているわけである。というのも、元々の由来を考えればこれは当たり前で、西脇市から鍛冶屋線なる盲腸線に1駅入ったところにある西脇駅からの需要が多くそちらと加古川駅を結ぶ路線であったというところが鍛冶屋線のその先の区間の閑散具合により赤字線整理で廃止され、より本数の少なかった側である加古川線の北側が残ったというものである。加古川線から分岐する路線として唯一の生き残りである北条鉄道のほうがまだ本数が多いのも皮肉な話である。さて今度は津山線と吉備線である。このページを見ると岡山駅を思い出す。岡山駅の9,10番の汽車ホームである。姫路方から1,2番ホームに着くのが東方からやってくる者の実際で1,2番は伯備線と山陽線の下り、3,4番は山陽線上り(つまりここから帰ることが多い)と赤穂線、5から8番は四国方面のホームになっている。でもって汽車ホームは津山線と吉備線の列車がやってくるホームなわけで気動車の音によって隔世の感を覚えさせられる。津山線はもと陰陽連絡線であったところ智頭急行線の開業により岡山中部の都市津山と県都岡山を結ぶ路線としてその姿を変えた。快速ことぶきと縁起よい名前の列車がありその本数も汽車の行き来する線としては多い。吉備線に関してはその短さから路面電車に変貌することも取りざたされている。実際かのどっしりした気動車がゆっくり走る姿は何とも異質であった。山陽線のバイパスたる赤穂線を横目に、前述の智頭急行線と因美線の時刻表を見る。かたや特急街道である智頭急行線と因美線の北側区間に対し、津山智頭間の因美線南側はまさしく取り残された区間で、最早朝夕しか列車がないも同義である。県境だからこそここの需要がそもそもなくなお長距離輸送、すなわち岡山鳥取の陰陽連絡の需要でもっていたところを全てかっさらわれたわけだからその哀愁は割かれる紙面の少なさからも感じ取るにあまりあるところである。まだ盲腸線の若桜鉄道のほうが本数が多いのは路線網の敗北とでもいうべきか。次いでこちらも特急街道伯備線となる。智頭急行もそうだが特急のほうが本数が多いのではないかと錯覚するくらいの太字の和知愛である。そして普通電車はジャンクションたる新見駅で大概乗り換えするわけだが、5分やそこらで乗り換えが許される列車もあれば昼時には50分ほど待つところもある。新見駅で昼飯でもどうぞと言わんばかりである。2ページを超えて書かれる伯備線の次には福塩線が書かれているがこちらも近代化から取り残された区間とある程度成功した(というより由来が地方私鉄であった)区間とで本数の差が顕著であると言える。後から山陽本線を北にバイパスするようにできた井原鉄道もある程度の本数を走らせていることからするとどのように需要を喚起するかというのは考えねばならぬだろう。そしてそのまま広島市近傍の各線に入る。快速街道の呉線の下に芸備線の広島口の時刻が書いている。ここももう本数が風前の灯ほどに本数が減ってきている。となると対照的に考えてしまうのは姫新線の成功事例となるがそのようにはいかないのだろうか。半ページもいかないところで岩徳線が書かれている。こちらももう通勤通学以外の需要はもう拾うつもりがないほどには本数が減っている。効率化を迫られてしたかなく本数を減らしてそのまま利用者も減って悪循環に陥ったのだろうかなどと無用な推察をしたくなるほどである。そんな岩徳線の次に可部線が書かれている。いささか順番が逆にも思われるのだが、可部線は明らかに都市電車化したことがはっきりしている。そのまま陰陽連絡線の山口県内の2線、山口線と美祢線が書かれている。山口線は新幹線停車駅と県都山口駅を結ぶ分にはかなり本数が多い。陰陽連絡の役割はやや犠牲にされているというのは穿った見方であろうか。となるとかつて貨物輸送で栄えた美祢線もそのようにならないのかと考えてしまう。それくらいには本数が少ない。貨物輸送、特に原料輸送でもってきた線区の実情はやはりシティ電車/列車化から落伍したものと言えるのだろう。そのまま山口県の諸線区、宇部線と小野田線の時刻が書かれている。これもほぼ岩徳線と同じことが言えそうでもある。

 ようやく四国各線に至る。岡山と高松を結ぶ快速マリンライナーの存在が幅を利かせているが実はまだまだ特急街道であることを思わされるところもあるし、予讃線内だけでも普通電車の本数が結構多いように思われる。ただ快速運転は高松方のみでそこから先は純粋な鈍行である。だいたい松山に着くまで特急2本に抜かれる印象である。他方予讃線でも松山から宇和島の区間は本数にメリハリをつけているようで、また内子線があるため見かけの本数は多くなっているように感じられる。そしてひっそりと添えられるのは快速マリンライナーの区間外となる宇野線である。四国と本州との連絡の役割を失ったにもかかわらず毎時1本程度の運転があるのはある意味安心できるところである。四国は県境区間とそうでない区間で普通列車にメリハリをつけるような印象があり、土讃線ではそれが顕著である。すなわち琴平から土佐山田の区間が閑散線区である。他方特急列車はコンスタントに運転されているからそれがせめてもの救いであるのではないかと思われる。高知近傍は本数が多くなりまた県都から離れると本数が急に減るというのがやはりはっきりしているのが分かるのが土讃線の南側の区間である。高徳線も普通列車だけ見れば県境を渡らせまいとしているのか、そこだけ列車の間隔が数時間悪設定になっている。鳴門線や徳島近傍の高徳線はまだパターンダイヤの影響を受けていないがこれからそうなるのであろう。徳島を発着する線区でその他の2線区はパターンダイヤを実施している。特に牟岐線はかなり厳密なパターンダイヤを実施し、とくに閑散線区でも2時間に1本というわかりやすいダイヤを作っている点が他の線区にはない特徴である。あまり1時間に1本以下に関しては考慮されないことが多いパターンダイヤであるがここではそこがはっきりしていると言えよう。他方徳島本線はパターンダイヤ対象外の区間は昼間にほぼ列車がない状態でかなり不便を強いられているのではなかろうかと思われる。土佐くろしお鉄道のごめん・なはり線は快速列車も運行している点で利用の拡充に本気であることが十分うかがえるやはりそれもパターンダイヤに準ずる構成になっていると言える。高知駅まで乗り入れるため土讃線の本数の増加にも結果つながっている。

 なぜか四国の次に書かれるのが山陰本線でその次福知山線を過ぎて九州各線となる。この構成がよく理解できないが恐らく伝統によるものであろう。山陰本線の京都口は最早山陰地方の玄関口とはなっておらず、その役割は東海道線と智頭急行に取られたようで今や北近畿との地域輸送が主軸となっている。鳥取駅までの時刻を見てもそこまで逓減するほどではないものの、兵庫、鳥取県境の区間は特急列車が皆無であることが見て取れる。北近畿までの特急から乗り継ぐのが一番穏当であるのだろう。

 その先の鳥取益田間は特急列車とその補完たる快速列車が芽を惹くが、快速列車の停車駅の法則性がつかみづらいのは山陰本線が一番ではないだろうか。どの2つとて同じ列車がない。効率化の面も透けて見える、すなわち細やかに需要にこたえながらかつ速達需要をみたそうとするものである。その際たる例が米子行アクアライナーの最終便で大田市まで各駅に停車、ただし馬路駅だけ通過し、そこから西出雲まではすべて通過、そして米子まではまた各駅に停車(ここは全列車共通ではある)。同じ快速を名乗っているのに停車駅が全然違うのが面白いところであろう。余白の欄に埋められた小浜線や播但線、境線の時刻もそれぞれ異彩を放っている。特に境線はわずか17kmに対し45分かけているのがその特色で、吉備線よりもLRT化の構想が強いとされている。また、米子空港駅が途中駅としてあるのも特色と言えよう。元来空港連絡鉄道は空港駅が終点となるのが通例であるが、ここだけはその経緯から途中に後から造られた空港連絡駅となっている。山陰本線も下関方になる。ただ益田長門市の県境区間は本数が最も僅少になるところで、全線走破にとって大きなボトルネックとなっていることがわかる。下関方小串までは毎時1本程度はあるようであるが、ここもパターンダイヤが敷かれれば面白いのにと需要に釣り合わぬ妄想をしてしまいたくなる。同じページにある木次線も山間に入るごとに本数が減っていくのだが、日中に保守のため運休する列車が多い。代行輸送があるとはいえこれはやはり致し方ないものだろうか。そこから大きく東へいき、福知山線の時刻となっている。元は弱小路線というべきか、大阪方でも阪急に押されていた路線も電化によって大化けしたという。ただ昼間はフラッグシップたる丹波路快速が区間快速に置き換えられている点がなんとも残念である。張り合うべきは阪急のある宝塚までだ、と言ってしまえば身も蓋もなかろうがこれも現実なのであろう。また福知山線は大阪駅を発着する列車と同じく東西線経由の列車、つまり学研都市線とのダイヤの密接度がかなり高い線区と言える。学研都市線がその歴史的背景から国電扱いで昼間列車時刻が省略されているためその全貌を明しつくすことができないのは残念である。山陰本線の支線の位置に京都丹後鉄道の時刻が書いてある。パターンダイヤを概ね敷いている時刻で、その中に特急列車が京都からやってくる複雑な構成になっていると言えよう。

 ようやく九州に入る。鹿児島本線がその筆頭である。博多から北側は特急ソニック、南へは特急みどり、かもめと特急街道をなす路線であるが一方で快速列車はその勢力を減じている。多くの列車が区間快速となり、小倉から鳥栖、大牟田まで走破する快速は毎時1本となっていて更に昼間は鳥栖で大牟田まで快速の区間快速に乗り換えとなっている。ただ鳥栖以南はほぼ厳密なパターンダイヤとなっていて、八代まで30分に一本、ただ半数は前述の区間快速で県境区間の小駅は毎時1本、熊本県内は毎時2本という扱いになっている。不思議なのは博多まで区間快速、博多から区間快速になる列車が毎時2ほんずつあるのだが、例えば下りであればその2本は05分、43分は博多着となり以降普通電車となる。他方博多から快速運転を行う列車は博多を02分、41分に出る。この感覚、何ともむずがゆくなる。もっとも、夕方になればそのような憂いは全て飛ぶ。区間快速も快速も博多を越えて運転されるものに限られるからだ。八代より南側は肥薩おれんじ鉄道線、そして川内から再び鹿児島本線に復する。並行在来線の問題はかなりデリケートではあるが、JR-並行在来線の三セク-JRと乗ると初乗りを2回取られるわけである。基本距離逓減性のある運賃が多いからこのような扱いは思ったよりも利用者に不利になっているようにも感じられる。この部分については実運賃を見て判断するほかない。ただ肥薩おれんじ鉄道線はおおむね毎時1本の列車があるという印象である。と考えると毎時1本程度あるというのはある意味一つの目安になるのだろうとも推察できる。

 次いで長崎本線や佐世保線と共に筑肥線が掲載されている。筑肥線はそのまま地下鉄の空港線に直結するわけだが、空港連絡の地下鉄というのもの本では珍しいと言えよう。さて長崎本線の時刻を眺めてみると長崎方は旧線も相まって普通列車の本数が多い。また佐世保と長崎を結ぶ都市連絡快速があるのも特色だろう。鳥栖方もそれなりの本数と言ったところだが、やはり県境区間、肥前山口、あるいはせいぜい肥前鹿島、肥前浜辺りで折り返す列車が圧倒的多数を占める。意外と佐世保線の普通列車も本数が多いが、県境区間の需要が皆無たる象徴的な時刻がある。夜間のの鳥栖発肥前大浦行の1行手前に、隣駅である小長井発長崎行が書かれている。この間わずか1駅。ここをまたぐ需要のなさを暗示させている。続いて書かれる大村線は前述の快速が半数近くを占め、松浦鉄道にはその駅間の細かさに驚かされるばかりである。香椎線の時刻も一応香椎線が総体的に書かれているものの、実態は香椎駅で乗り換えが不要で全線を走破する列車がわずか8本とここで分断されていることが印象的な構成になっている。そして取り残された区間かのようにかかれるのは唐津線と筑肥線の唐津、伊万里間である。こと筑肥線に関しては唐津から空港に向かう区間との本数格差が大きい。

 九州地方を横に縫うように走る2路線がある。豊肥本線と久大本線である。本数が多いのは豊肥本線のほうで、これは熊本から肥後大津までが都市電車全と本数があるからである。無論大分との県境区間である宮地豊後竹田間は本数が著しく少なく、また豊後竹田からは本数が大分に向かって増える。久大本線は本数の増減がまだなだらかで、県境区間もまだ本数が豊肥本線に比べて多いように見える一方で久留米方、大分方の本数は豊肥本線の両端に比べて少ない。次いで三角線や甘木鉄道、日田彦山線の時刻がある。日田彦山線は添田から日田までが代行バスの運転となっている。この区間が復活することは一種希望ではあるがその見通しは厳しいい。また代行バスも県境区間たる彦山筑前岩屋間を直通するものが極端に少ない。筑豊本線の原田桂川間も本数が極端に少ない。罫線から直接博多に向かう篠栗線に吸い取られいるかの如くで、昼間数時間列車が来ないのもザラである。やはり路線網として存在しているだけで実質は直接大都市に向かえる方がよいというのが実情だろう。その点平成筑豊鉄道は本数が多いように思われる。単純な比較が野暮であるのは周知のことであるが、第三セクターに移管されていてかつ複数路線を抱えていることもあってその戦略が生まれたのであろう。

 日豊本線は九州の西側を概ね海沿いに進む路線であるがここでやはり注目したくなるのは特急街道であることもそうだが、佐伯延岡の大分宮崎県境であろう。特急に乗ってこの区間を通り過ぎること以外ほとんど想像されていないかのようなダイヤで、普通列車で宗太郎越えをする列車はわずか3本である。是では使いようもないように思われるが実情はどうなのであろうか。他方延岡から宮崎はそのまま宮崎空港線に直通することも多い。一応空港連絡鉄道としての面目を保とうとしている意図はよくわかる。そこから鹿児島方の本数はあまり多いとは言えない。特に都城国分の県境区間はやはり本数が少ない。特に午前中の本数が少ないように感じられる。

 また九州から北陸に飛ぶ。北陸本線はとにかく福井駅での普通電車乗り継ぎが上り下りで大きく状況が異なる。上りは10分程度で敦賀行に乗れるのに対し、下りは30分ほど待たされることになる。この線区はあまり特殊な事情がないように思われるところなのにこのような非対称性があるのが面白いと事である。金沢から先は並行在来線で第三セクターでの運転となるが、あまり県境区間でも大幅に本数が減っていないのが特色である。むしろ富山高岡間だけ本数を増やしているという方が正確であろう。また金沢泊間は座席定員制のライナー列車が走っていることが特色で元特急街道の意地を感じさせる。次いで七尾線は観光特急と通常の特急がそれぞれ走っているところが特色だろう。それでいながら毎時1本程度の普通電車があり全てIRいしかわ鉄道線を跨いで金沢駅まで乗り入れているのが注目に値するだろう。直江津駅で連絡する信越本線が北陸本線の次に書かれる。長野直江津間はやはり並行在来線であるものの、ある程度の本数があることが分かる。また、直江津から新潟へは特急しらゆきの他無印の快速電車がそれを補うように走り、指定席快速である信越号も1往復ある。この無印の快速は山陰本線の2種のライナーと異なり、五停車駅はおおむね同じものになっている。信越本線と同じページには新幹線開業で割りを食った北越急行線がある。特急はくたかが去り普通電車だけでどれほど需要を喚起できるかがこれからの課題と言えよう。信越本線より海側を走る越後線は新潟吉田まではパターンダイヤで本数が多いものの、その先柏崎までは閑散であると言わざるを得ない。飯山線に関しては長野と越後川口、長岡を結ぶバイパスと言えるが1ページに収まるほどに少ない。なぜかその次のページには長良川鉄道が掲載されている。それもそのはずで、次いで高山本線が書かれている。東海道本線の近くに書かれていても不思議ではないのにここに書かれているのはその理由が気になるところである。

 中央本線はその長さから中央西線と中央東線に分けて書かれている。中央西線は篠ノ井線と直通して長野まで特急があるのに対し、中央東線は松本までと旅客営業の管轄分割の論からすると不思議にも感じられる体制が続いているのが面白い。名古屋方は中津川まで都市間電車となっている。快速電車があるものの通過駅が4つしかないためその束田ty津製がどれほどあるのかが気になることろである。他方中津川塩尻間は2時間に1本程度くらいである。篠ノ井線塩尻松本間は中央西線中央東線両方から乗り入れるため普通電車は多い。松本長野間は特急とは裏腹に普通電車は高尾方面にしか直通しない。都市間電車として言えば愛知環状鉄道線の本数の多さが目に付く。第三セクター線として第一の本数であり、三河豊田新豊田間はシャトル列車が走るほどである。中央西線から分岐する路線は他に太多線、明知鉄道線があるが、太多線は高山本線とのショートカットで本数が多く岐阜駅と直通している。明知鉄道線は急行に食堂車があることで有名である。中央東線は新宿高尾間は別欄に快速の連絡時刻表がついているのみで、他は高尾より甲府方により直通する列車のみ主要駅時刻が掲載されている。また旧線である岡谷ー辰野ー塩尻間は岡谷辰野間は飯田線との直通主体で、辰野塩尻間はシャトル列車での運転となっている。そして高尾塩尻間の本数は特急列車の注記が多くその全貌がつかみづらくなっている。ただ塩山ー甲府ー韮崎間がボリュームゾーンに近いようにも思われる。その次は大糸線が書かれている。松本から信濃お待ちまではある程度の本数が多いが、南小谷までは半減し、更に県境の南小谷ー糸魚川間は一桁往復となっている。路線網として残すべきなのかどうかというところがこれから懸案となっていくのだろうという。

 あらかた東北北海道を残してついに北の玄関口上野を発着する路線が記述される。まずは高崎線である。上野東京ラインにより東海道本線と直通するところである。なんなら上に北の玄関口と書いたのにもかかわらず上野駅を始発執着とする列車は昼間になるほ皆無となる。しいて言うなら特急草津号のみである。夕方になるとスワローあがきなる特急が走り出す。これはライナー列車の後継というべきもので東海道本線では特急湘南、中央本線であればはちおうじ、おうめとなる。この辺りは効率化というか収益化の最たる例であろう。なお、JR東日本は快速に愛称をつける慣習があるが、高崎線ではアーバンであるものの、湘南新宿ライン経由すなわち上野駅を経由しない快速特快列車には愛称がない。これは東北本線でも同様である。高崎から先上越線水上までは毎時1本程度あるが、高崎から両毛線に行く列車があるためむしろ本数が見かけ上多くなっている。その両毛線が次いで書かれるが、伊勢崎小山間は東武とやや競合する面があるものの、本数が多くなっているのは高崎伊勢崎間でこちらが毎時2本、伊勢崎小山間は毎時1本となっている。また、高崎前橋間は上野、新宿方面へ直通するためなお本数が多くなっている。その後に上越線の水上長岡までが書かれるが、県境区間である水上越後中里はやはり本数が少ないが、長岡方も数時間に1本という様相である。無論この路線は新潟へのバイパス路線であった。今や新幹線にその役割を譲っている。そのうえで見ると土合駅のモグラ駅たるところ下りホームに関して注記があり曰く「土合駅は改札口から下りホームまで約10分かかります。」確かに1本逃せば大参事なだけにこの注記は必要なのだろう。間藤へ伸びるわたらせ渓谷鉄道は気流で両毛線とある程度の接続を取るだけの本数があるようである。吾妻線がようやくここに書かれているが、最後1駅万座・鹿沢口から大前駅まではわずか4.5往復。なぜ残っているのかも気になるところである。そして盲腸線なのに本数が不釣り合いなのも気になる話だ。

 高崎駅近くから分岐する路線の最後は信越本線である。横川までは1時間に1本くらいあり、長野方はしなの鉄道線があり毎時1~2本程度である。また指定席快速列車が朝夕に走りさぞ盛況、と言いたいがこの間の2駅間、軽井沢と横川にもう鉄路はない。最早JRバスで移動するか新幹線に乗るほかない。峠越え、県境区間は高速鉄道が傍らにあれば需要意地は難しいと言わざるを得ないだろう。

 ここから長い長い東北本線に入る。山陰本線のほうが形式上長いが、上野から青森としてみれば東北本線のほうがない。まず上野方は宇都宮線という愛称があり、上野方の快速愛称はラビットである。ある意味高崎線と対称的な本数になっている。故に昼間時間帯上野を始発執着する列車が皆無である。宇都宮から日光線が分かれているがここを観光列車が直通することはない。と言いうのも新宿方から特急列車はあるが栗橋から東武に乗り入れて東武日光へと至るものと化しているわけである。宇都宮黒磯間はパターンダイヤのようなものが敷かれているものの、宇都宮線自体が流動的なダイヤであるためそこまで等間隔性を貫徹するつもりはないようである。とはいえまだ栃木県内であるから毎時2本ほどあるし、朝時間帯は上野方と直通する。黒磯までの時刻の後に日光線烏山線と宇都宮附近から分岐する列車が書かれている。烏山線自体は非電化であるが列車番号はMでありすなわち蓄電池車が走っていることがわかる。(列車の電化非電化複線単線の別は巻頭ページに記載されている)黒磯から先仙台までの時刻が一気に書かれているがその実情は新白河、郡山、福島、白石での乗り換えが基本となっているから列車時刻の数字が右下へ斜めに段々となっているのが特徴である。また仙台方は東北本線のほかに、常磐線が毎時1本、仙台空港鉄道が毎時約3本あるため、約10分間隔で電車が走るというほどである。このすっきりとしたパターンダイヤが敷かれているのは驚きであった。朝夕は更に本数が増えるわけだが、前述した乗り換えの徹底はあまり行われておらず福島発仙台行なども多くみられるのが特徴である。そのまま仙台から盛岡への時刻が書かれている。大体毎時1本づつくらいあって県境区間でも大きくは本数が減らないというのが特色である。仙台から仙石線直通の快速が毎時1本ほどあり、他方盛岡方は朝に快速アテルイが通勤ライナー然としてあり、快速はまゆりも釜石線からの直通として盛岡にやってくる。利府支線は旧線の一部を活用したものであるが、昼間は岩切から支線ないの運転朝夕は仙台利府間を直通する仕様となっている。また仙台も盛岡もそれぞれ南側、北側からの直通は朝の数本に限られている。盛岡青森間は第三セクター線である、すなわち並行在来線である。運賃が非常に高い印象があるが、そのほかにも特徴として、県境を越える区間だけ多少の間引きをしている列があるという頃である。岩手側からは金田一温泉駅で、青森方は三戸駅で折り返す。割りを食うのは間社境の目時駅である。本数は全線通してで言うと1時間に1本には届かない程度と言える。八戸には大湊線から快速しもきたが乗り入れている。元々は青森発着もあったような印象があったが気のせいであったようだ。

 東北本線の終わりには八戸線と大湊線がある。八戸線は八戸鮫間とその先久慈までの本数が段違いになっている。大湊線は大湊から野辺地方面は午前中に快速しもきたが3連続するところがあるのが驚きである。次いで書かれるのが常磐線であるが、立ち位置はあくまで東北本線に対する支線である。その長さと県都水戸を通ることから本数が多いことによりさも本線かのような表記の構成になっている。東北本線、高崎線とは異なり、上野発着の列車がかなり多い。東京方に抜ける列車も多いが品川発着にとどまるし、中距離電車は毎時2本が最大で朝はもっぱら上野発着が中心となっている。特別快速は土浦止まりであるから特急に押されて存在感がない。特急は茨城県内を結ぶだけでなく、いわきさらには仙台まで結ぶ。新幹線と実質上並行する特急列車がいまだ残っていることは注目に値するだろう。次いでいわきから仙台までの時刻表が書かれているが、いわき原ノ町間が本数のボトルネック区間で、原ノ町から仙台は前述の仙台近郊区間のパターンダイヤの一翼をなしている。そのため昼間の運転間隔が整えられている。そのまま東北本線から分岐する路線が書かれる。水戸線は名前とは裏腹に水戸駅には直結していない。両毛線と似たような立ち位置かと思いきやその本数は大きく差をあけられている印象である。水戸駅を発着する路線がもう一つあり、大洗鹿島線である。JRとの境である鹿島サッカースタジアム駅は全列車通過ながら境界駅であるため常設駅扱いになっている。また水戸駅を発着する水郡線が書かれているが、こちらは東北本線と常磐線のバイパスになっていると言えよう。ただ全線を通じての本数はあまり多くない。

 東北本線の繋がりで会津鉄道が掲載されている。ここでも東武が私鉄ではあるのに記載されている。というのもこれは特急列車が国鉄転換の第三セクターに直通しているからで、そのまま連絡列車も記載されている。東北の玄関口にも東武がなっていることを窺わせている一面であろう。磐越線も1ページに纏めて書かれているが、東北地方をタテに貫くのが東北本線や奥羽本線であるとすれば、ヨコに貫くのが磐越線の2線であろう。ただ磐越西線は快速あがの、快速あいづが走りかなり華やかな線区である一方で、磐越東線はボトルネック区間で5往復になっているほどである。無論磐越西線も県境区間は本数が少ない。只見線や阿武隈急行など福島県内の諸線区ののちに仙石線と仙山線が記載されている。仙山線は県都を結ぶ路線であるために県境を越える割りに本数が多い。また仙石線は成立の経緯から電化方式が異なる上にその本数も多い。古い時刻表を見ると国電同様始発終電のみを記載していたほどである。気仙沼線や大船渡線は一部がバス代替、BRTになっておりかつ鉄道としては廃止されているにも関わらず記載が続いている。路線図も異なる取り扱いでありしかも運賃も定期券以外が別建てになっている。鉄道が通過する場合にはレ印であるのに対しBRTでは別線経由の表示(₌)になっているのも特記すべきことであろう。翻って北上線は秋田県内で冬季通過の駅があり、春の時刻表では4月1日から停車との表記がある。この辺りの特殊な表記はご当地のものになっている。岩手県内の鉄道で海沿いを走る路線は順々に三陸鉄道となり本数も充実したのに対し、東北本線とそれらを結ぶ釜石線、山田線は山間を通るからか本数が少ない。釜石線はまだ指定席付快速が盛岡まで走るが、山田線内で18時台始発になる駅があるほどで、これは高速バスに鉄道が負けたことからによるものである。

 その後東北各線の後ようやく羽越本線が書かれている。羽越本線は新津からであるが、新潟からの白新線が実質的な役割を担う。故に新津柴田の区間は本数が著しく少ない。筑豊本線に似ているところがあるようである。秋田県方では秘境駅になるところは大半の普通列車が通過する。特急列車も多くない。

 奥羽本線は新幹線との直通を受ける。山形新幹線の本数が多い一方で、普通電車も一定以上の本数がある。例外は県境区間で福島と山形は米沢までは新幹線のほうが数倍本数がある。山形新幹線が新庄までで、大曲から秋田までは田沢湖線経由で秋田新幹線がある。新庄大曲間は取り残されたままで、ここを越える普通電車がかなり少ない。この区間の時刻表の特徴として、秋田新幹線こまち号が臨時列車や多くの時刻変更を受け、それに伴い田沢湖線などは1列車に対して複数の時刻変更が記載されている。そのため本数が膨れ上がっているように見える。奥羽本線も終点青森まで向かうわけだが、この区間は臨時列車が多くどの部分を観れば時刻が書いてあるのかが分からないほどである。その臨時列車の多くが観光列車、リゾートトレインであるのだから別の場所に書いてほしい。津軽線と道南いさびり鉄道は新幹線の開業によりローカル線へとその姿を変えた。

 最後にあるのは北海道である。函館と新幹線駅の新函館北斗はライナー電車があり、特急も新函館北斗に止まるが、貨物線経由のために新函館北斗を”通過”することがある。苫小牧と室蘭の間は意外にも本数があるように見える。千歳線や札沼線は近郊電車として本数が多い。新千歳空港までの快速電車は毎時5本ある。15分サイクルや20分サイクルが多いのに12分サイクルとなっているのは特筆に値するのではなかろうか。室蘭本線の苫小牧石見沢間はこれから空港連絡鉄道へと化けるかもしれない期待はあるものの、その現状は厳しいものである。留萌本線も同様と言えよう。こちらは最早その前途が閉ざされているような報道が多い。そのほか函館本線の札幌近郊区間以外の路線はおおむね厳しい現状である。宗谷本線や石北本線もフラッグシップとなる特急列車が一部曜日で運休となるほどに今追い込まれているようである。ただそれでもそれぞれ特別快速きたみや快速なよろなどの快速列車はいまも なお健在である。

 東京近郊区間や大阪近郊区間、昔の国電区間が最後に纏めてある。関東では列車線と電車線がはっきり分かれている区間が多くそのためにこの分け方が機能するが、大和路線や阪和線ではその分け方を行うことによってかえって時刻表を見づらくしているといえよう。

私鉄有料特急や高速バス、私鉄線の時刻は載っているが、こと私鉄線の中である程度以上の規模のあるところは始発終電の時刻だけが記載されている。空港連絡バスの続きで航空ダイヤが書かれている。その順序は羽田、成田、新千歳、伊丹、関空、那覇の各空港相互に次いで東京発着、名古屋発着などと言った順序で書かれている。鉄道に比べて2点を結ぶものであるからその書く順番は複雑になるのは致し方ないだろう。

本書の最後にはJRの営業案内が記載されている。新幹線と在来線特急の運賃料金早見表がまず筆頭にくる。早見表とはあるが新幹線はこれ以上の表は用意されておらず単に「区間ごとに定められている」とあるのみである。ついで運賃計算のルールであるが、運賃の組み合わせが本州内のみか、ほか3社にまたがるか、特定区間内か、幹線地方交通線の別で計19種類のパターンに分かれているようである。東京と大阪の電車特定区間内の範囲が国電の頃から変わっていないのではないかと思う。すなわち福知山線は含んでいないし、奈良や和歌山まであるなどとかなり実情とは違うようにも感じられる。そこからしばらく定期券運賃の表が記載されている。次いで三大都市圏の特定運賃と新幹線定期券の運賃表となっている。この辺りをシステマチックに、普通運賃の何倍、と書いておくだけでは済まなかったのだろうか。かなりページ数が多い。その後ようやくきっぷの諸ルールの説明になっている。この辺りのルールはJR各社で統一されているようで、割とすっきりとしている。ただしその特例ルールが多いのはやはり日本全国にあまねく鉄道を持っているからであろう。各社でそのルールが異なりわかりづらいのは特急料金で、普通運賃と同様JR各社で料金が分かれているのみならず、乗車時期によって、また同社内であってもどの区間を乗るかで料金が戦略によって大きく変えている。ここまでくると利用者本位かどうか怪しくも感じる。グリーン料金も同様で、特別車としてほかにグランクラス、DXグリーン、プレミアムグリーンがあり更に列車によっては乗り継ぎの特例を適用しないなとという画一的な利用を妨げているように思われる。ただ基本的な取り扱いである払い戻しなどは各社で統一されているのがまだマシであると言えるのであろう。ただ手回り品のうち東海道山陽九州新幹線だけは制限が異なるから今後そのような差異が増えていくのだろうと思われる。国鉄各社時代には存在しなかったICカードの扱いも各社で制度が異なる。諸制度の取り扱いをどこまで統一しておくのかということまでは国鉄分割の際にはそこまで考慮されていなかっただろうと思われる。そして最後は列車編成案内が載っている。ただし座席配置の案内はごく一部の列車に限られている。

 ここまで本書を読んできて、形式面や実質面の双方で気になることがある。形式面においては、どのような順番で並べれば見やすいのか、旧来の遠距離輸送に対応した分割にしておくのか、それとも運行系統別に細かく分けておいた方が良いのか、前者であれば実質関係ない地域が同じ紙面に書かれるし、後者であれば連絡列車を見るために使う点では利便性が大きく下がる。また短距離の線区をどこの位置に潜り込ませるのかも見やすさにおいては大きな課題だし、旧来の国電区間やそれに近しい場所(例えば埼京線など)の線区をどこまで省略して記載するのか、というあたりはこの時刻表の方向性からしてまだまだ考えられるところであろう。旧来であれば国電だけ本数が突出していたところが、今や他の線区でも本数が多いということがあるからページ数も膨れてくるし、旧国電区間だけページ位置や記載方法が異なるというのもアンバランスだろう。メタな話で比較論をすれば、ほぼ同内容の『JR時刻表』との差異もある。本書は本文が1色刷りで、JR時刻表は特急、急行は赤太字の2色刷りである。ここは目がチカチカするか否かで好みが分かれるところであるが、JR時刻表は各ページ上部に乗り換え案内がついている。つまりは索引の手間をある程度省くことができるということだ。この辺りの配慮というのがあってもいいはずである。

 実質面、すなわち記載されているダイヤそのもので気になるところがあるとすれば、上述している「(シティ列車化に)取り残された区間」の本数が極端に少なくなっていることである。その分水嶺となる本数の目安は約1時間に1本の列車がある線区で該当するのは内房線外房線の末端区間や山陰本線の大部分の区間、旧東北本線、旧鹿児島本線などである。この辺りの路線で特記すべきは朝ラッシュと昼間のダイヤ(概ね11時台ころ)のあいだで1時間半ほど列車が来ない、9~11時台の本数が特に少ないという断絶した本数になっているということである。この点山陽線の閑散区間である兵庫岡山県境区間や関西本線の非電化区間といった厳密なパターンダイヤを堅持している区間と微妙な差異がある。もう1往復程度増やしてパターンダイヤを貫徹するか、これから更に減便が起こり悪循環が起こるほうへ向かうかの正しく分水嶺であろう。昼前の需要が少ないというのはこれより本数が少ない線区、例えば岩徳線や小浜線などでも同様のことが言える。朝ラッシュが終わり昼下がりに入る前の本数が極端に少ない。地方の鉄道が学生の利用を一番想定している可能性がありつまりは生活利用が取り込めていないことになる。更に本数が少ない路線、1日数往復しか運転がないような路線についてどのように利用を促進するのか、あるいは「維持可能な交通体系の維持(廃線の隠語)」もこれから考える必要はあるが、そのような事態に至る路線、「取り残された区間」になる路線を増やさないためにも約1時間に1本の列車がある線区の需要を喚起することが肝要ではないだろうか。