広電 速度向上試験へ 【あれ、宇都宮…】

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広電は、3月4日から当面の間、横川線十日市町~別院前の770mの区間で時速50km以下での運転をすると発表した。

路面電車の速度向上試験について

路面電車(軌道)は、「新設軌道の運転及び道路の路面以外に敷設する併用軌道」は概ね鉄道の規定が準用されている一方で、道路上の併用軌道は、軌道運転規則に従う必要があり、その中に最高速度規制がある。この規定は昭和29年の制定時から変更されていない。尤も、道路交通法22条2項(道路ごとの最高速度)の規制もある。

(車両の最高及び平均速度)
第五十三条 車両の運転速度は、動力制動機を備えたものにあつては、最高速度は毎時四十キロメートル以下、平均速度は毎時三十キロメートル以下とし、その他のものにあつては、最高速度は毎時二十五キロメートル以下、平均速度は毎時十六キロメートル以下とする。

これが他の道路交通、すなわち車との相性が悪い場合がある(自動車との速度差により、事故を誘発する)。それで、国交省等が構成する「路面電車の速度向上に係る検討会」における検証の一環として、今般の取り組みがなされることになった。手続きとしては例外許可(鉄道運転規則2条1項但書)を受ける形である。

路面電車の速度向上に係る検討会?

まず、「路面電車の速度向上に係る検討会」は何なのか。国交省HPに議事録等が上がっているようではなかった。広電のリリースには国交省、警察、事業者等とあったが、調べてみると、独立行政法人自動車技術総合機構の「業務実績報告書(p.64)」に以下の記載があった。

(B) 当該年度における取組
【基準の策定等に資する検討会及び WG】(12 件)

○路面電車の速度向上に係る検討会
令和5年度までの検討結果について振り返りを行い、検証済みの課題とこれから検証が必要な課題についての整理を行った。その結果を受けて令和 7 年度以降に実施する検証作業について検討を行った。

そのほか、自動車・鉄道分野にわたり検討会をしていることまではわかったが、それ以上のことは見当たらない。

宇都宮LRTは?

広電は典型的な路面電車であるが、軌道法に服する交通機関は複数ある。「道路の路面以外に敷設する併用軌道」の典型例はOsaka Metroの御堂筋線以下各路線であろう。

一方で、先進的な設備を有する宇都宮LRTはどうしたと思って調べてみると、まず、宇都宮市内の区間(約12km)は、「宇都宮市都市計画道路10・7・101号宇都宮芳賀ライトレール線」、芳賀町内の全区間(約2.5km)は「宇都宮都市計画道路10・7・501号宇都宮芳賀ライトレール線」という道路(代表幅員6.5m)である(リンク)。そのため、LRTしか走っていない区間も含めて「併用軌道」となり、軌道運転規則の規制に服する。宇都宮LRTとしては鬼怒川越えの区間を「専用軌道」と言っているが、「LRTしか走らない道路を走っている路面電車」ということになる。今後特認を取って、車と並走する平面区間は時速50km/h、高架区間は70km/hで運転しようとしているということは特許申請時から宣言している(リンク)のに、リーディングケースとしても先を越されたこととなる。

ちなみに、なぜ「新設軌道」にならなかったのかといえば、地方交付税が絡んでくるとされている。地方交付税の算定基準は様々な項目を積算したものであるが、その中には土木費として道路橋梁費が含まれている。測定単位は道路面積及び道路の延長である(総務省リンク)。令和7年度においては道路面積1平米あたり72900円、道路延長1kmあたり187000円が積算されている(総務省リンク)。宇都宮市の「宇都宮芳賀ライトレール線」でこれを計算すると、約56.9億円になる。特にLRTの専用軌道を新設のうえ導入している平出町~作新学院北間の約3.5kmだけでこれを計算すると、16.6億円になり、少なくともこれだけの地方交付税が上乗せされていることとなる。