芸備線全線で再構築協議会が設置
国土交通省中国運輸局は芸備線再構築協議会の設置につき公表した。今年度中に第1回の議論がなされ、おおよそ3年以内に決着がつくことになる。
芸備線再構築協議会の設置について
― 改正地域交通法に基づく再構築協議会制度を全国で初めて適用 ―
▲備中神代~備後庄原間の乗換駅、備後落合。18きっぷシーズンは乗客でにぎわう。
JR西日本は同制度ができてすぐの10月2日芸備線備中神代~備中庄原間についての設置を要請し(リリース)、今回同区間を特定区間(法29条の3第3項)とする芸備線再構築協議会が設置された。ただ、広域的見地から全線、つまり備中神代~広島間について議論される。
再構築協議会は複数都府県にまたがるか、広域鉄道網を構成する路線のうち、「輸送需要の減少その他の事由により大量輸送機関としての鉄道の特性を生かした地域旅客運送サービスの持続可能な提供が困難な状況にある区間」について鉄道会社、自治体が、要請することができ、「交通手段再構築」として
- 旅客鉄道事業による輸送を維持
- 旅客鉄道事業の全部又は一部をバス・タクシー・コミュニティバスに転換
のどちらかにして、前者では停車場の改良、運行計画の変更、後者では停留場の新設、運転本数の増加などを行うとしている。会議体は国土交通省、自治体、鉄道事業者、公安委員会、関連する事業者などで構成され、協議会中で実証実験を行う必要があれば実施できる。結論に対しては手続き上のワンストップ特例などがある。
今回は国土交通省中国運輸局・中国地方整備局・岡山県・広島県・新見市・庄原市・三次市・広島市・JR西日本岡山支社・広島支社・両県バス協会・両県警察本部・呉高専の教授が構成員となっている。なお、安芸高田市(甲立・吉田口・向原駅が所在)は構成員に入っていない。これは広島県が全線の広域的取り組みのために議論したいとしたため広島市・安芸高田市・三次市に参加意向の意見聴取があったわけである。報道によれば、安芸高田市はJRの要請に含まれていないために参加していないとのことである。
ちなみに、芸備線は最混雑区間である広島~下深川(2017~19年度平均輸送密度10593人)も赤字である。また、ヒアリング資料によれば備後庄原~備中神代間68.5km中5.3km・26か所で所謂必殺徐行(25km徐行)を実施している。これまでの会議で、事実上存廃協議に自治体が乗らなかったため、このような踏み切った手段に出たと言えるだろう。
【参考】これまでの議論経過
・芸備線 庄原市・新見市エリアの利用促進等に関する検討会議(2021年8月~2022年11月、2023年7月)
→2022年5月会議で交通体系に関する議論をJR西日本が持ち掛けたが、2022年11月に利用促進に関する会議であり、それ以外の議論をしないとの決定がなされている。それを以てJR西日本は国へ検討会設置への相談を実施している。
・JR芸備線の状況等に関するヒアリング(2023年2月~8月)
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