快適移動のための涙ぐましい努力【まとめ】

2024年4月26日未分類

鉄道会社は日々利用者の安全な輸送を使命としている。が、通勤地獄ともいえるラッシュ時の混雑緩和・快適通勤への努力には涙ぐましいものがある。今回はこれら快適通勤・混雑緩和のために各鉄道会社が行ってきた施策を、できるだけ具体例を挙げながら、まとめてみる。ただし、かなりそれら施策を広く許容して類従しているため、「ん?」と思うものがあるかもしれないがご容赦いただけるとありがたい。
何かしら思いつけばコメントなどで教えて下さると助かります。また適宜追加するかもしれません

・複々線化(特に私鉄)
特にわかりやすい例として小田急や京阪があげられよう。都心方を急行線と緩行線に分けて急行種別を早く走らせて利用者の分散を図るわけである。小田急線の複々線計画が長期にわたったように、費用や用地に限りがあるためそうやすやすとできるわけではない。

・バイパス路線の建設
例として御堂筋線に対する四つ橋線や谷町線、堺筋線があげられる。これに関しては本当に窮余の策と言える。なぜならよほど混雑や利用者が見込まれない限り建設するわけにはいかないからである。やや特殊な例として東海道本線に対する東海道新幹線、東海道新幹線に対する中央リニア新幹線がある。

・列車増結
例は探さなくともいろいろある。東海道本線・山陽本線の新快速も西では12両、東海では8両での運転を極力心がけているなどがその例としてすぐあるし、増結編成で10両を15両にする列車を増やすなどというのもある。ただし、御堂筋線の例を考えればわかる通り、固定編成で増結をする場合には車庫の収容能力の問題もあるし、阪神本線の快速急行(6両→8両)の場合では各ホームの有効長を伸ばさないといけないが芦屋駅が両端を踏切に挟まれているため泣く泣く土休日の快速急行は通過になったなどこの単純に車両を作ればできるというものでもない。

・ホーム拡幅or増設
どちらかと言えば混雑緩和いついてである。(何度も例に挙げるが)御堂筋線の梅田駅は谷町線が来る予定となっていたホームを利用したことにより、朝ラッシュには立錐の余地もないほど混雑していたホームの危険さが解消された。ここまで大規模にホーム拡幅できる例はほとんどないが、片町線京橋駅のように島式ホームの片方に別のホームを設けて2面2線とする例もある。
「1方向に関して2つ以上のホームを使う」という方法もある。これは次の項で詳しく書く。

・種別を単純化して本数を増やす
山手線や銀座線などが得意とするところだが、中央線(中央東線)快速も朝ラッシュ時間帯はこれの最たる例である(画像は執筆時現行ダイヤの新宿駅→東京行き平日時刻の抜粋:青が一般の快速である)


8時台の約40分間ほぼ2分おきに快速電車だけが新宿駅に到着する。通勤特快は最も混雑する時間を前後に外した2本づつ、中央特快や特急列車は2時間弱運転がない。
ここで上で言うところの
「1方向に関して2つ以上のホームを使う」ことが出てくる。新宿駅などではラッシュ時間帯(新宿駅であれば7,8番の)島式ホームに交互に電車を止めていくことで停車時間を確保し混雑を避ける。
しかし、このような単純ダイヤでは対応できないような路線もある。

・通勤用種別による千鳥停車
阪神電車の朝ラッシュがわかりやすい例だろう。


これは御影から大阪梅田の停車駅を図にしたもの(公式HPより)である。
例えば御影駅を始発とする梅田行き区間特急(7本)は利用者が多いはずの西宮駅を通過する。利用者の多い優等種別停車駅をあえて通過することで利用者の分散を図る。

また京阪電車の朝ラッシュ線用種別「通勤準急」「通勤快急」も同様である

注釈にある通り上記2種別は守口市を通過する。守口市からの朝ラッシュ時間帯の速達種別は萱島駅を始発とする区間急行となる。

寝屋川市から淀屋橋、中之島方面。青塗りつぶしが通勤準急、紫塗りつぶしが通勤快急。

守口市から淀屋橋、中之島方面。緑が区間急行。通勤種別が通過するため、朝7時台は本数が減る。

守口市から出町柳方面。この方面は準急、快速急行で運転するため、8時台の本数が非常に多い。

以下ドアに関するものである。
・ドアの数を増やす
山手線や総武緩行線E231系は一部車両が6ドア、座席は折り畳み式であったということが記憶に残っている方もいらっしゃるだろう。ドアの数を増やせば早く降りることができるだろう…というものである。国鉄の185系特急/ライナー型電車が特急車両としては珍しく2ドアであったり、京阪電車でも特急車両は2ドアであったのを現存する3000系電車では3ドアにしているなどといった上位種別での例もある。また
車両の大型化に伴ってドア数を増やすという例もある。

総武緩行線の折り畳み式椅子。この車両は6ドアであった

ただ着席サービスが低下するということもあるため、京阪5000系では朝ラッシュ時間帯にだけ使用するドアを1両あたり2つ設けて5ドア車とし、昼間時間帯は昇降式の椅子を用いるというのもあった。
しかし実際ドアの数を多くすると多くの人がいったん降りなければならなくなるためむしろ遅延が生じるなどといった問題が生じたり、ホームドア設置の都合ができたため、現在日本の鉄道は1両片側4ドア以下となっている。(京阪5000系の朝ラッシュ時間帯用ドアは現在使われていない)

京阪5000系 しまっている扉が朝ラッシュ専用のもの。2021年1月30日限りで使用を停止された。(車両自体は記事執筆時点で運用中)

・ドアの開閉を早くする
いわゆる爆弾ドアである。乗降の時間を短くするための施策で、南海6000系がその例であるが、爆弾ドアにするよりは、片開きドアを両開きドアにするほうがドアの開閉を早くできるようである。

・混雑状況を掲示する
ほら、この時間帯の電車は混んでますから時差通勤しましょう、と言いたげなやつである。あまり関西圏ではなじみがないが東京メトロで撮影したものを掲示しておく。

赤い色ほど混雑していることを示す。(2019年9月15日撮影につき、現状とは異なる場合がある)