京都市バス 二重運賃実施へ・法的には?
毎日新聞の報道(おそらく京都市会の市長答弁)によれば、2027年度からの導入を目指している京都市交通局バスの均一運賃区間における二重運賃について、「市民200円・非市民350~400円」での許可を申請していることが分かった。
京都市長が市バスの市民優先価格を公表 実現で全国初の「二重運賃」
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政策的な話ではなく、法律的にはどうなっているかというと、道路運送法9条に規定がある。
第九条 ….一般乗合旅客自動車運送事業者…は、旅客の運賃及び料金(旅客の利益に及ぼす影響が比較的小さいものとして国土交通省令で定める運賃及び料金を除く。以下この条、…において「運賃等」という。)の上限を定め、国土交通大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 国土交通大臣は、前項の認可をしようとするときは、能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものを超えないものであるかどうかを審査して、これをしなければならない。
3 一般乗合旅客自動車運送事業者は、第一項の認可を受けた運賃等の上限の範囲内で運賃等を定め、あらかじめ、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
4 略
5 略
6 一般乗合旅客自動車運送事業者は、第一項の国土交通省令で定める運賃及び料金を定めるときは、あらかじめ、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
7 国土交通大臣は、第三項若しくは第四項の運賃等又は前項の運賃若しくは料金が次の各号(…)のいずれかに該当すると認めるときは、当該一般乗合旅客自動車運送事業者に対し、期限を定めてその運賃等又は運賃若しくは料金を変更すべきことを命ずることができる。
一 略
二 特定の旅客に対し不当な差別的取扱いをするものであるとき。
三 略
要するにバスの運賃は
・運賃の上限は許可を受けなければならない
・運賃の上限の範囲内で届出をして実際に収受する運賃を決める
・特定の旅客に対し不当な差別をするものは変更命令が出る
ということである。
なお、現在京都市がやっている観光特急バスは、「旅客の利益に及ぼす影響が比較的小さいものとして国土交通省令で定める運賃及び料金」という形で届出のみでの設定ができるものとなっている。
(参考)道路交通法施行規則第10条1項
一 路線定期運行を行う一般乗合旅客自動車運送事業にあつては、次に掲げる運賃
イ 定期的に運行する自動車により観光を目的とする乗合旅客を専ら運送するもの又は観光施設への運送を目的とする路線において、停車する停留所を限定して運行し、若しくは起点及び終点のみに停車して運行する自動車により観光を目的とする乗合旅客を運送するもの(…)に係る運賃
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法律の規定はともかく、実務は通達で動いている。これを少し確認しよう。鉄道に類似した制度であると認識しているところなので、間違いがあればご指摘頂きたい。
一般乗合旅客自動車運送事業の運賃及び料金の上限の認可に関する処理方針(国自旅第116号)
一般乗合旅客自動車運送事業の運賃及び料金に関する制度の全部改正について(国自旅第118号)
→上限認可をする際には原価と収入を比較するのだが、収入において「原価計算期間中の輸送人員を基礎に1人平均支払額、定期、定期外旅客の構成比率等を考慮し、運賃改定率に応じた標準逸走率を見込み適正に算定した額とする。」とある通り、届出で引き下げることを予定しているとしても、まずは申請している上限運賃で収入を計算するようである(処理方針の別紙2参照)。
→京都市バスの場合、上限運賃を350円~400円に引き上げて、市民は200円へ「割引」という形の設定ではないというのは留意してみておきたい。割引運賃の種類は「制度の全部改正」の第7にあるように、往復割引や回数券、営業割引が典型である。
→「大人片道普通旅客運賃額」という言い方が出てくるように、大人の性質(今回であれば市民or非市民)で運賃が変わるようなことは想定されていない。
→(参考)新規参入事業者は原則として同一の制定形態とすることが明示されている。
→(参考)特殊割増として深夜運賃がある(2倍運賃までは手続きを簡素化しているため、深夜バスは2倍額というのが通例になっている。「制度の全部改正」の第4の4)。
一般乗合旅客自動車運送事業の実施運賃の届出及び変更命令に関する処理要領(国自旅第117号)
→変更命令の発動基準(第4)がある。その中で基本運賃は「20%」、割引運賃は「50%」を超えて下回るという場合に「検討」となっている。
発動要否の基準、すなわち、法律の要件を満たすかどうかということであるが、「差別的取扱い」かどうかについては、「合理的かつ正当な事由なく、特定の旅客を優遇又は冷遇するものであるとき等」としている(項は法律が改正したことによりずれている)。
→(参考)鉄道の場合の通達(運賃及び料金の変更命令に係る取扱要領(鉄業第15号))では、「差別的取扱い」の例として、「鉄道運送事業者が旅客又は荷主の信条、宗教等によって異なる運賃等を適用する場合。」としている。
ガイドブック
「近畿バス団体協議会」の名義で「乗合バス運賃制度について」というガイドブックが出ている。
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