北陸新幹線の迂回路としての優秀性を見たい

2024年9月25日未分類

【この記事は6月に執筆されています】

昨今の大雨(台風2号)で東海道新幹線が半日運休し、その後の回復も大変なことになったことがある。
JR東海はのぞみ12本ダイヤを遺憾なく発揮しなんとか乗客を捌ききったところだが、普通車全車両自由席の「のぞみ」を何本か臨発してようやく捌けたところで、半日止まってこれとすれば地震で一週間止まれば恐ろしい話である。

東京と大阪を結ぶ代替的輸送網を考えるとやはりリニア中央新幹線…なのだが、そういえば全通した際の北陸新幹線はどれほどのものかということが少し気になってしまった。
ひとまずは輸送スピードという面で見れば東海道新幹線は時速285km/h、北陸新幹線は260km/hで、いやはや大したことがないのかと思えばそんなこともない。
東海道新幹線の現行ダイヤであれば「のぞみ」は最速2時間22分、「ひかり」は昼間に2時間54分、「こだま」は同じく3時間54分。開業当時の「ひかり」より今の「こだま」のほうが早いありさまである。
他方北陸新幹線はどうか。「かがやき」の東京ー金沢間最速は上野通過の509号で、2時間25分。ここに新大阪ー金沢の到達見込みが1時間20分で、これを足すと3時間45分(参考:期成同盟会のHP)。

▲現在の最速時分比較。
上野停車でも+5分程度で、そのほか種々の要因を足しても4時間は切ってくれるだろうというのがざっとした見込みである。

輸送人員はどうか。1時間当たりの本数を見る。
東海道新幹線は「のぞみ」は4本に臨時が最大8本。「ひかり」2本と「こだま」は1本(+名古屋止め1本)である。
他方北陸新幹線は、昼間の「かがやき」は臨時が1本、「はくたか」が昼間も1本、「あさま」が1本(+臨時1本)、「つるぎ」が1~2本である。
どうしても東北口の新幹線は3系統が一挙に集まるために本数が減らざるを得ない。また、N700A/Sは16両編成、W7/E7は12両編成であることも考えれば、実はそこまでという感じである。ただ、そこまで気に揉むまでもないかとは思われる。…と信じたい。せめて輸送網全体としての冗長性を考えると平時の東海道新幹線の半分~7割程度の輸送力を必要なときに出せるようなダイヤになれば良いのかなあと思う次第。昼間基準で「かがやき」が毎時3本出せるようになればひとまずは臨時輸送のみを考えれば十分というところ(もちろん平時にこれだけの利用者はないことは重々承知している)。
対名古屋を考えれば名阪間は近鉄が息していればなんとかなる面は一定程度あり、東名間であれば敦賀乗り換えで対処することになるのかなという所感である。

そして、これに関しては完全に余談ではあるが、
東海道新幹線往復:営業キロ552.6km×2 運賃・料金14720円×2
東海道新幹線+北陸新幹線:北陸新幹線が約700kmであるから営業キロは1241~1280kmに収まるとすれば運賃は14740円、東海道新幹線の料金が5810円、北陸新幹線の料金は、金沢延伸時の資料(東北新幹線の水準に上越妙高またがりは1300円を加えるなどするもの 参考 )を見れば8000円強で落ち着くのだろうと思われる。
意外とトントン…のような気もしてしまい、オタクホイホイに見えてきた。

ひとまず今後の北陸新幹線の趨勢を見守るほかなく、2024年春ダイヤ改正を見るところにはなる。

参考:
幹線鉄道ネットワーク等のあり方に関する調査について(令和2年度調査)